アドマイヤムーン、雨を切り裂く豪脚! 国内GI初制覇だ=宝塚記念 ダービー馬ウオッカ8着に沈む

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雨に泣いたウオッカ……凱旋門賞へ課題浮き彫りに

史上初の3歳馬による宝塚記念制覇を狙ったダービー馬ウオッカは、道中で折り合いを欠き8着敗戦 【スポーツナビ】

 今年の宝塚記念、一番の注目は何と言ってもウオッカだった。今年、64年ぶりという歴史の壁を楽々と突き破り、牝馬として史上3頭目のダービー制覇。秋にはディープインパクトも挑戦した世界最高峰の芝レース・凱旋門賞(フランス)への出走プランもあり、彼女にかかる期待は日に日に膨らんでいった。
 その表れが、並みいる年上の強豪を押しのけての1番人気の支持。しかし、結果は8着惨敗……。現実は厳しく、降りしきる雨が若い牝馬に大きな試練をもたらした。

「うーん、この雨でこの馬場だったからね。みんな馬場の(状態が)いい外、外へ行くから、(他)馬の後ろに入れて(ウオッカを)落ち着かせることができなかった。みんなやっぱりいい所を選んで通っていくから馬群が小さく収まらなくて、自分の馬が落ち着いたと思ったら前の進路が開いて行きたがる。その繰り返しでしたね。4コーナーでは手応えがなかったですね」

 主戦の四位洋文が、悔しさを抑えながらレースを振り返った。ゲートは好発を切ったものの、最初のホームストレッチから激しく行きたがり、鞍上がなだめるのに一苦労。折り合いを完ぺきにつけることができず、ついに能力を全開できないままにレースが終わってしまった。
「ダービーで使ったような脚はさすがに使えなかったですね。レース前はすごく馬が落ち着いていたし、状態はすごくいいと思ったんですけど、折り合いを欠いたことが一番の敗因ですね」

 また、管理する角居調教師は秋の凱旋門賞挑戦プランに関しては「まだレース後にオーナーと話していないので」と明言を避けたが、「ヨーロッパでは今日のような重い馬場(雨のやや重)だろうし、力のいる馬場を走るにはもっとパワーをつけなきゃなと思いました。それに古馬相手で走るには、ちゃんと折り合えて脚をためていかないといけない。いい経験になった」と、ヨーロッパでの戦いを前提に置いて、前向きに語っている。

 ウオッカにとって、今回の結果は決してネガティブな敗戦ではない。大きな糧となり、秋には一回りも二回りも力強く“熟成”するはずだ。

メイショウサムソン2着も納得、順調なら秋は仏遠征へ

2着に敗れたメイショウサムソンだが、陣営は「悪くない内容」と納得 【スポーツナビ】

 一方、古馬最強の看板を引っさげて春締めくくりの大一番に臨んだメイショウサムソンだったが、最後の最後、半馬身及ばずの惜敗。勝ったアドマイヤムーンの豪脚にねじ伏せられた形だが、同馬もまた力を出し切った。高橋成調教師は納得の表情で、レースを振り返った。
「あれしかないという形でマークされていたからなあ。力を出しているし、競馬の内容は悪いものではなかったよ」

 道中はアドマイヤムーンの一つ前のポジション。3コーナー、4コーナーとジリジリと番手を押し上げていくと、直線入り口では4角先頭のカワカミプリンセスを射程に捕らえる2番手の位置。直線最後の坂では堂々の先頭に踊り出た。後は追撃してくる馬を持ち前の勝負根性で封じるだけだったが、この日ばかりはアドマイヤムーンが一枚上だっということだろう。手綱をとった石橋守も“仕方ない”という表情で語った。
「完ぺきにマークされちゃったね。前も後ろも射程圏に入れていたし、みんな早仕掛けだと思うかもしれないけど、あの競馬がこの馬の持ち味だからね」
 敗れはしたが、“サムソン強し”を印象付けるに十分なレース内容だった。

 メイショウサムソンも今年の日本ダービーを勝ったウオッカと同じくフランス・凱旋門賞挑戦プランがあるが、「それは馬のこれからの様子を見てから」と高橋成調教師。ただし、「今日のレース内容なら、このまま馬が無事なら考えておく必要がある、ということですな」とも付け加えており、順調なら秋にもフランス遠征が実現しそうだ。

<了>

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