荻野正二インタビュー「勝つまで諦めない」=バレーW杯・男子
そして現在、4大会ぶりの五輪出場を目指す全日本男子の主将を務めるのは37歳の大ベテラン、荻野正二。バルセロナ五輪に出場した“最後の遺伝子”は、プレーヤーとしてだけでなく、精神的支柱としてもチームを支える。「勝つまであきらめない」。衰えることを知らない闘志でコートに立ち続ける男が、五輪出場に懸ける秘めた思いを語った。
最後のW杯に向けた戦い
植田ジャパンで唯一の五輪経験者、ベテラン荻野が精神的支柱としてチームを支える 【坂本清】
だいぶ疲れています。故障はしていないけれど、かなり(疲労が)たまっているので。うまく(休養を)取って、(初戦の)チュニジア戦に合わせたいというのが、個人の目標です。気持ちとしては、昨年も大きな大会(世界選手権)をやっているので(問題ない)。アジア選手権ではメンタル的に弱かったので、そこを出さないように頑張りたいです。
――心理的には、どのような状態ですか?
今は、あまりワクワクしていないです。あまりにも(練習が)しんどいので。(自分自身は)W杯は今度で3回目で、どんな大会かは分かっている。自分では最後のW杯だと思うので、思い切って今までやってきたことを前面に出してやっていきたいです。あとはチームがピンチになったときに(途中から)出て行くと思うので、そこら辺を(気持ちの面で)しっかり作っておいて、リリーフとしての役割をしっかり果たしたいと思っています。
――楽しみというよりは、意外に冷静ですか?
やはり11月に入れば、だんだんと(気持ちが)来るんじゃないかなと。いよいよだなって。そこまでに(気持ちを)作っておきたいと思います。
――チームの中での荻野選手の役割は?
(チームの)調子がいい時は勝つだろうし、負けている時に自分の役目は、(スパイクを)打つことよりもサーブレシーブを拾うとか、つなぎとか、そういう面で出て行くだろうと思う。そこら辺の練習はたくさんやっているし、長年やっていること。大きな大会になれば、メンタル的にもそういうことをやっていかなければいけない。毎日のサーブレシーブでも危機感を持って、本数をどんどん受けています。
初戦の勝利が最低条件
やっぱり勢いですかね。初戦に勝つというのが、最低限の条件だと思います。1995年(W杯)の時も、初戦でカナダにフルセットで勝ったんですよね。それで勢いづいて、ベスト8を通り越して5位になりました。あの時も、やればやるほど強くなっていった。今のチームは若いですし、それに乗っかって、勝てばどんどんいいプレーが出てくる。一番ありがたいのは、日本で(開催)するからホームゲームなので、お客さんの力をもらってパワーアップしたら、絶対チュニジア戦も勝てると思う。それに勝って、一つ一つ上を目指していけたらいいんじゃないですか。
――やればやるほど強くなると
絶対そうなると思いますよ。やっぱり、それは自信にもなるし。過信してはいけないですけど。いい意味で個人の自信にもなるし、チームとしてもこれだけできるんだと、どんどん出てくるんじゃないかな。ずっとここ3年間一緒にやってきて、そういうのがひしひしと大きな大会では出ているので、期待して頑張っていきたいと思います。最初って、本当に大事だと思うので。
――試合で1番大事なことは?
どんな試合になっても、勝つまであきらめないでいたい。あきらめてしまったら終わりだと。その試合でボールを一つ一つしっかり追いかけたり、(スパイクを)しっかり打っていきたいです。自分のバレー人生の中でも、今年が集大成だと思う。国際大会もW杯で最後だと思うし、バレー人生を懸けて頑張ってみようかなと。国際大会では引退試合かもしれないですし、自分がそこで何かを伝えていきたいなと思います。最後にこんな大きな大会にいれる幸せをつかみそうなので。
3位までに入れば一番いいですし、それを目標にやっていきたいと思います。何かできそうな気がしないでもないんですよね。予選グループでも最初に全部たたけば可能性はあると思うし。メンタル的に弱くなっていくときもあるだろうけど、その辺はチームのキャプテンとして、フォローしてまとめていきたいです。
<了>
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