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ウオッカ、2センチ差の激戦制す! 武豊「感謝の言葉しかない」=天皇賞・秋
ダイワスカーレット僅差2着も安藤勝「本当にすごい馬」
2センチ差の歴史的激戦を制したウオッカが天皇賞・秋V
2センチ差の歴史的激戦を制したウオッカが天皇賞・秋V【スポーツナビ】

 女傑ライバル決戦、ウオッカが2センチ差劇勝! 現役最強馬を決めるJRA秋競馬の大一番、第138回GI天皇賞・秋が2日、東京競馬場2000メートル芝で開催され、武豊騎乗の1番人気ウオッカ(牝4=角居厩舎)が優勝した。安藤勝己が騎乗する同い年のライバル馬ダイワスカーレット(牝4=松田国厩舎)と壮絶な叩き合いの末、約2センチ退ける激戦V。これでウオッカはGI4勝目、牡牝混合GIは日本ダービー、安田記念に続く3勝目となり、1984年のグレード制導入以降、牝馬による牡牝混合GI3勝は初めての快挙となった。また、ダービー牝馬による天皇賞・秋制覇は1938年のヒサトモ以来70年ぶり。さらに勝ちタイム1分57秒2は、1999年スペシャルウィークがマークした1分58秒0を0秒8上回るレースレコードと、まさしく記録尽くめの優勝となった。


 また、騎乗した武豊は昨年のメイショウサムソンに続く2年連続の天皇賞・秋制覇。この勝利で天皇賞は春・秋を合わせて通算11勝目、歴代単独1位となった。なお、管理する角居勝彦調教師はうれしい初勝利となり、天皇賞トレーナーの仲間入りを果たした。


 一方、今年のダービー&NHKマイルカップを制した変則二冠馬ディープスカイ(牡3=昆厩舎)は、最後の直線でよく追い込んだものの、ダイワスカーレットからクビ差遅れる3着惜敗。敗れはしたが、能力の高さを十分に発揮した。

10分にも及ぶ写真判定、1着に点ったのは……

10分にも及ぶ写真判定の末、一番上に点ったのは「14」だった
10分にも及ぶ写真判定の末、一番上に点ったのは「14」だった【スポーツナビ】

 およそ10分に及ぶ写真判定。電光掲示板の1着に「14」が点ると、12万観衆からの地鳴りのような歓声が東京競馬場を包み込んだ。そして、検量室前ではウオッカ陣営から歓喜の拍手と声。勝利を告げられた武豊は「ヨシッ!」と手をパチンと叩き、満開の笑顔でウオッカに駆け寄った。

 「本当に良かった。ホッとしています。ゴールした時はどっちが勝ったか分からなかったですし、祈るような気持ちでした。本当にシビれましたね」


 競馬史に残る女傑対決、ウオッカvs.ダイワスカーレットのライバル物語。その5度目の直接対決となる第138回天皇賞・秋は、これまでの4回をはるかにしのぐ、まさに競馬史上に輝く名勝負として語り継がれていくだろう。大げさではなく、それほどの激戦だった。

 敢然とハナを切ったのは、これが4月GII大阪杯以来の競馬となったダイワスカーレット。前半やや力みながら刻んだラップは1000メートル58秒7のハイペース。ライバルが引っ張るこの流れを武豊は、「ペースが速いな」と感じていたという。

 「東京2000メートルの外枠はいいポジションがとりにくいですからね。スタートして、他馬の出方を見ながら行こうと思っていました。ペースは速かったですけど、こっちはマイペースで行こうと」

最後の100メートル、女の意地のぶつかり合い!

ウオッカ(左)vs.ダイワスカーレット(右)、残り100メートルからのマッチレース
ウオッカ(左)vs.ダイワスカーレット(右)、残り100メートルからのマッチレース【スポーツナビ】

 道中はちょうど中団よりやや前のポジション。少し引っ掛かる素振りを見せながらも、武豊がこれを御し、絶好の手応えのまま最後の直線525メートルへ。すぐ左斜め前には、今年のダービー馬ディープスカイがいる。

 「直線に向くまでは馬なりで。ウオッカのリズムを優先して乗っていました。ディープスカイが斜め前にいたのはたまたまでしたけど、直線に向いてから本当に手応えが良かったですね。あとは追い出しのタイミングだけだと思っていました」

 鞍上が満を持して追い出しにかかると、ウオッカは弾かれたようにグンと加速。まずはディープスカイを斬り捨て、返す刀で前を行く最大のライバルもねじ伏せるだけ。残り100メートルを切り、いったんは前に出たかに見えた。しかし、やはりダイワスカーレットは強い。ウオッカの本当の勝負は、ここからだった。


 「一気に先頭に出たんですけど、目いっぱい走っていたから、あと数十メートルがキツかったですね。さすがダイワスカーレットは強かった」

 力尽きたかに見えたダイワスカーレットが息を吹き返し、ウオッカとまた鼻面を並べる。ゴールまでの数十メートルは、まさに火の出るような叩き合い、しのぎ合い、ライバルとして負けられない女の意地の張り合いだった。

安堵の武豊「勝てて本当に良かった。同着でもいいと」

「苦しい時間だった」と久々のビッグレース勝利に酔う武豊は、プレゼンターの蒼井優さんとニッコリ
「苦しい時間だった」と久々のビッグレース勝利に酔う武豊は、プレゼンターの蒼井優さんとニッコリ【スポーツナビ】

 2頭まったく同体のままゴールし、勝負の行方は写真判定へ。およそ10分にも及ぶ長い判定の結果、約2センチ、ウオッカが先にゴールしていた。

 「あそこで踏ん張れるのがウオッカ。折り合いにも若干苦労しましたし、外めを走って距離を多く走っているのに、あの速いタイム。本当によく走ってくれました」

 レース後、武豊はウオッカへの感謝の言葉を並べた。3月の国際GIドバイデューティーフリーで初コンビを組んでから前走までの3戦、いずれも未勝利。「これだけの馬を任されて、正直プレッシャーもありました。でも、勝てて本当に良かったです。同着でもいいと思っていました」と、偽らざる気持ちを明かす。


 また、ウオッカで勝てないだけでなく、武豊は勝利数こそ“指定席”の全国リーディングトップを快走しているが、重賞勝利は少なすぎるとも言える2勝。ビッグレースで勝てない日々が続いただけに、「僕自身、今年は大きいレースでなかなか結果が出せなくて、苦しい時間でした。それをウオッカに助けてもらいました。感謝の言葉しかない」と、最大の賛辞をパートナーに贈った。

順調ならジャパンカップへ、女傑伝説次なる相手は世界だ

「順調ならジャパンカップへ。ゆっくり落ち着いて馬をつくっていきたい」と角居調教師(左)
「順調ならジャパンカップへ。ゆっくり落ち着いて馬をつくっていきたい」と角居調教師(左)【スポーツナビ】

 この劇勝でウオッカはGI4勝目、牡牝混合GI3勝はグレード制導入以降、牝馬としては初の快挙。現役最強の称号を得るとともに、名実ともに歴史的名牝の座も揺るがないものとした。しかし、この秋はさらなる戦いが控えている。

 「オーナーともう1回相談してからになりますが、順調ならおそらくジャパンカップになると思います」と角居調教師。

 次は世界の強豪が相手、さらに、JCへ向け万全を期すために天皇賞を回避した牡馬最強のGI4勝馬メイショウサムソンもいる。もちろん、ダイワスカーレットとの直接対決も2勝3敗とまだ負け越しており、このまま終わらせるつもりもないだろう。角居調教師は今後へ向けての展望をこう語った。

 「ダイワスカーレットには何度も負けていましたから、ここで負けたらもう次はないと思っていました。まだ折り合いの課題もあるのかなと思いますし、次へ向けて、またゆっくりと落ち着いて(馬を)つくっていきたい」


 ダイワスカーレットからヒロインの座を奪い取り、日本競馬最高の栄誉を手に入れた11.2府中2000メートル「天皇賞・秋」。もちろん今後、主演女優の座を誰にも譲る気はない。次なるウオッカ女傑伝説の舞台は、11.30府中2400メートル「ジャパンカップ」だ。

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