昨季、準優勝のレイカーズ、優勝候補に挙げられる理由=NBAバスケ
昨季初のリーグMVPを受賞したコービー・ブライアント。チームの中心となって、今シーズン頂点を狙う 【Photo:NBAE/Getty Images】
「私たちはシンデレラチームだった」と、レイカーズのヘッドコーチ(HC)、フィル・ジャクソンも言う。「でも、私たちはガラスの靴を履けなかったんだ。まだ、それだけの準備ができていなかった」
実際、昨季のレイカーズの快進撃は出来過ぎだった。予定より早くNBAファイナルの舞台を経験できたのだから、負けても仕方なかったという考え方もあるかもしれない。しかし、だからといってレイカーズのコーチや選手にとって、ファイナル敗退の悔しさが軽くなるわけではなかった。たとえ口にしなくても、夏の間中、負けたときの痛みを忘れることはなかった。
「(ファイナルの思い出は)傷口だ。かさぶたになり、そこが痛みの元だということも分かっている」とジャクソンHCは言う。
若手の復帰で、“ツインタワー”の誕生
その理由のひとつは、21歳になったばかりのセンター、アンドリュー・バイナムの復帰にある。17歳でNBA入り、プロ4シーズン目のバイナムは、成長と可能性を見せ始めていた昨シーズン途中にひざを故障、残りシーズン戦列を離れることとなった。NBAファイナルでレイカーズがセルティックスにゴール下を支配され、ディフェンスが崩壊するのをただ見守るしかなかったのは、フラストレーションがたまる経験だったという。
「チームの一員として、自分が戻ったときに何ができるのか、試合のビデオをたくさん見て研究したりしていた」とバイナムは振り返る。「自分があそこにいれば、シュートを打ちにくくすることができたかもしれない。今シーズンは、そういった面でチームの戦力となりたい」
夏の間、リハビリに励んだバイナムは、今はまったく痛みも故障の影響もないという。昨季後半のチームに欠けていたインサイドでのディフェンス、パワーを持ち合わせた彼の復活は、レイカーズにとって、実質的な大補強であることは間違いない。
バイナムが戻ることで、サイズの割に器用で、パワーよりスキルのガソルが本来のポジションであるパワーフォワードに移ることができる。バイナムとガソルの7フィート(213cm)ツインタワーの誕生である。
「まだ完成にはほど遠いけれど、可能性を考えるだけでワクワクしてくる」と、チームのエース、コービー・ブライアントも期待する。