伊東勤氏のワールドシリーズ展望 「レイズが結束力で頂点に立つか」
フィリーズの主砲ハワードは復調
フィリーズの主砲ハワードはレイズ投手陣を粉砕するか 【Getty Images】
僕はフィリーズの方が“打線のチーム”かと思っていたんですけど、ピッチャーがよく抑えていますよね。
フィリーズのクリーンアップ3番チェイス・アトリー(リーグ優勝決定シリーズ打率3割5分3厘)、4番ライアン・ハワード(リーグ優勝決定シリーズ打率3割)、5番パット・バレル(リーグ優勝決定シリーズ打率3割3分3厘)はやはり超一流ですね。
――フィリーズ打線の中でキーパーソンは誰ですか?
打者では4番ハワードかな。地区シリーズではちょっとブレーキでしたけど、リーグ優勝決定シリーズでは打率3割と、調子を取り戻してきました。クリーンアップの破壊力はフィリーズの方があると見ています。
――両チームの打線を比較した場合、どちらに分があると思いますか?
レイズの場合は、打線的につながりがものすごくいい。だから、2番打者が4番打者になったり、6番打者が1番打者になったり、状況に応じた立場の打撃ができる。誰が何番を打ってもいいような打線だと思っています。「つながり」という点ではレイズの方があるかなと見ています。
――フィリーズ投手陣の中でキーパーソンは誰ですか?
やはり第1戦に先発すると見られるエースのコリー・ハメルズかな。プレーオフに入り、3勝(地区シリーズで1勝、リーグ優勝決定シリーズで2勝)と好調です。
リリーフ陣も安定しています。セットアッパーのJ・C・ロメロ(リーグ優勝決定シリーズ3試合に登板し自責点0)、ライアン・マドソン(リーグ優勝決定シリーズ4試合に登板し自責点0)、クローザーのブラッド・リッジ(リーグ優勝決定シリーズ4試合に登板し自責点0)ですから。
レイズの優勝を予想
ワールドシリーズの解説に「ワクワクしている」と語る伊東氏 【スポーツナビ】
予想が苦しいところだけど、レイズかな(笑)。全員野球で勝ってきたチームで、なおかつ最後に追い込まれた中でリーグ優勝を皆で勝ち取った。結束力もすごく高まったと思うんです。もう怖い物なしというかね。
――最後に、これから現地に行かれる今の心境と、日本のMLBファンに伝えていきたいところを教えてください
私もユニホームを着ていたときには味わえなかった初めての経験ができるわけですから、今とてもワクワクしています。本場のメジャー最高峰の戦いを全試合解説できるのが楽しみです。これからワールドシリーズが開幕する直前には、両チームの練習も取材に行く予定です。メジャーでは野球場のファンも、ホームとアウエーでは圧倒的な差が出ますから、その辺の盛り上がりを肌で感じて、現地の熱気なども伝えていきたいですね。
<了>
■伊東勤/Tsutomu Itoh
1962年生まれ。熊本市出身。埼玉県立所沢高から、81年ドラフト1位で西武ライオンズに入団。頭脳的リードとシュアな打撃で正捕手の座を守り続け、常勝西武の礎を築いた。ベストナイン10回、ゴールデングラブ賞11回、日本シリーズ出場12回を誇る。2003年に現役引退。04年から07年まで監督を務め、就任1年目に日本一に輝く。現在はNHKで野球解説者を務めているほか、共同通信社、ベースボール・マガジン社でコラムを連載するなど幅広く活躍している。