伊東勤氏のワールドシリーズ展望 「レイズが結束力で頂点に立つか」
“全員野球”で結束力を強めたレイズ
伊東勤氏がワールドシリーズの注目点を語る! 10月20日に渡米し、現地から熱戦をTVで解説する予定 【スポーツナビ】
フィリーズは意外とすんなりと勝ち上がれたので、余裕を持ってワールドシリーズに臨めると思います。気持ちを整理することができると思います。
逆に、レイズはいっぱいいっぱいの戦い方をしてきて、レッドソックスとのリーグ優勝決定シリーズ第7戦も“ピッチャー総動員”みたいな形で勝ってきました。少しずつではあるけれどレギュラーシーズンとは違う戦い方になっています。「よりチームが一つになりそうな勝ち方」をしていると思うんですよ。第5戦では7点のリードをひっくり返されました。そして、そこから2連敗して、「流れ的にはレッドソックスが有利かな」と私は思ったんです。だけど、レイズは追い込まれた中から打ち破ってきた。“全員野球”と言うか、勢いが付くような勝ち方をしましたね。ただ、その疲れだけが心配材料ですね。
レイズ打線のキーパーソンは2番B・J・アプトン
レイズの2番B・J・アプトンがどういう打撃をするのか注目だ 【Getty Images】
レイズは続けざまに長打が出て、リーグ優勝決定シリーズ7試合で16本塁打の新記録を樹立。打線が爆発しました。面白いところです。
――レイズの岩村明憲選手は、地区シリーズでは打率3割8分9厘と当たっていましたが、リーグ優勝決定シリーズ7試合では29打数6安打、打率2割7厘と下降気味です
岩村は第7戦でレフト方向にうまくヒットを打っています。ああいう打撃ができれば調子を落とすことはないです。彼の場合は打てなくても「存在感」という意味ではレイズに必要な選手ですから、そんなに不安視する必要はないと思っています。
――レイズ打線の中でキーパーソンは誰ですか?
2番を打つB・J・アプトンだと思います。今好調でしょ。本来なら2番なので、1番の岩村が出塁して、右打ちしたり、エンドランをしたり、いろいろな小技ができなければいけないタイプの選手です。でも、今は長打を打っている。第7戦の4回無死一塁の場面で、レイズのジョー・マドン監督はアプトンに送りバントを命じませんでした。(結果は空振り三振)。結果的に後続の4番のエバン・ロンゴリアのタイムリー二塁打で同点としましたが、あそこは「この日に勝たなきゃ終わり、1点リードされているからまず同点に追い付きたい」という場面。危険な賭け、クエスチョンが付くさい配だったと私は思いました。
マドン監督はその後、同点で迎えた5回無死一、二塁の場面でも9番に送りバントをさせませんでした。
1点を取りにいく野球をするのか、大量点を取りにいく野球をするのか、2番アプトンがどういう打撃をするのかを見れば分かります。その辺の作戦がキーになりそうです。
レイズ投手陣ではカズミアーの調子に注目
レイズの先発投手の一人スコット・カズミアーは調子を取り戻せるか 【Getty Images】
第1戦の先発は、アンディー・ソナンスタインか、スコット・カズミアーかと予想していますが、2人の内でカギを握るとしたらカズミアーかな。調子が良くないんですよ(リーグ優勝決定シリーズで10回1/3を投げ8安打5失点、6四球、防御率4.35)。よく打ち込まれているし、制球もこのところ定まっていないので。ほかの先発ピッチャーはゲームをつくっています。
後はリリーフ陣がどれだけ頑張れるかに懸かっているでしょうね。レイズの先発投手陣はある程度頑張っていますが、中継ぎ、抑えが先発に不安要素があります。だからワールドシリーズでは「先発をどれだけ引っ張れるか」というところがカギになると思うんですが、やはり小刻みな継投策になってくるかと思います。