再び夜空に灯った聖火 北京パラリンピック開幕

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開会式の入場チケットは完売

聖火がともったスタジアムに花火が打ち上げられた 【Photo:越智貴雄/カンパラプレス】

 北京パラリンピックの開会式が始まる5時間前の現地時間午後3時。会場となる国家体育場(通称:鳥の巣)へ行くため、オリンピック公園の入り口へ向かうと、すでに長蛇の列ができていた。この時間はまだ、メディアを含む関係者以外は、オリンピック公園内への通行が許可されていない。そのため、開会式のチケットを持つ一般客は記念撮影に興じながら、今か今かと入場を待ちわびているのだ。その数、ざっと数百人、いや千人は優に超えているだろうか。事前の情報で開会式のチケットはすでに完売したとは聞いていたが、五輪開幕式での“口パク問題”など、いろいろと騒動の多い中国での大会だけに、実際にこの目で見ないことには、真相は信じられなかった。しかし、目の前の光景を見る限り、先に行われた五輪に勝るとも劣らない、パラリンピックに対する中国の人々の注目度がうかがい知れた。

壮大なスケールで描かれる演目

各国の入場行進に、観客も大興奮している様子だ 【Photo:越智貴雄/カンパラプレス】

 開始1時間前の午後7時になると、スタジアム内はほぼ満員。大型モニターには、開始までの1時間がカウントダウンで表示される。すでにこの時点で、観客のボルテージは相当高まっているようだ。
 そして迎えた、午後8時スタートの1分前。スタジアム内の観客は、一斉に大声でカウントダウンを叫び始めた。さらに5秒前からは数字をもじった大型花火が打ち上げられ、盛り上がりが最高潮を迎えたところで、第13回北京パラリンピック競技大会の開会式は、華々しくスタートした。

 ちなみにパラリンピックの開閉会式も、先に行われた五輪同様、総指揮を務めるのはチャン・イーモウ監督。世界的演出家が壮大なスケールで描いていく演目には、ただただ驚かされるばかりだ。注目された聖火台は、こちらも五輪同様、空中遊泳のような派手な演出で見事に点火された。
 果たして2016年に東京で五輪、そしてパラリンピックが開催されることになったら、その開閉会式の演出はいったい誰が務めるのだろうか(チャン・イーモウに対抗するには、やはり“世界のキタノ”こと北野武監督だろうか……)、などと余計な心配をしてしまうほど、われわれ“外国人”の目から見ても、その演出は魅力的なものに写った。

金メダルが期待されるテニスの国枝

14番目に入場した日本選手団は、笑顔で後進した 【Photo:越智貴雄/カンパラプレス】

 さて、われらが日本代表は14番目に入場。旗手を務める陸上の鈴木徹を筆頭に、テニスの国枝慎吾、陸上の土田和歌子らが笑顔で行進した。
 147カ国・地域から4000人以上が参加し、史上最大規模で行われる今大会には、日本選手団から162人がエントリー。前回アテネ五輪では、金17、銀15、銅20、計52個のメダルを獲得した日本だが、その後に障害クラスの統合などがあり、今大会では厳しい戦いが予想されている。日本障害者スポーツ協会の発表によれば、今大会のメダル予想は、金11個を含む39個。前回に比べれば下回るものの、それでも見どころは十分にある。

 最大の注目は、現在世界ランキング1位で、金メダルが有力視される車いすテニスの国枝だろう。そのほかにも、男女の車いすバスケットボールや、前回アテネで7冠の偉業を達成した競泳の成田真由美など、注目すべき競技・選手は多い。果たして今大会、日本選手はどれほどの活躍を見せてくれるのだろうか。11日間におよぶ熱戦は7日から、北京市内を中心に各地でスタートする。

<了>
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