中村礼子、自分を信じて勝ち取ったメダル=競泳
2分7秒13の日本新で銅メダルを獲得した、女子200メートル背泳ぎの中村礼子選手=16日、国家水泳センター 【共同】
水泳をやめたいとまで思い悩んだ日々
アテネ五輪で銅メダルを獲得した200m背泳ぎでは、この4年間で世界の記録が急激にアップしました。世界のトップで争う中村選手は、その高速化の流れに焦りを感じていたのです。そのため、高速レースに対応するため、スピード強化に着手してきました。
「今までのフォームでは、絶対的なスピードが上がらない」と判断した中村選手は、腕の動きを改革。今までは入水し、脇を開き、体の後ろ側で水をつかみ、プールの底へ向かって水を押していました。その腕の泳ぎを、入水してから、脇を閉め、体の前で水をつかみ、足の方向へ向かって押す動きに変えたのです。これで腕の力が水に伝わりやすくなり、上体が安定しました。よりいっそう体が水の上に浮かび上がる様になり、世界と対等に戦えるスピードも得ることができたのです。
最高の集大成となった北京五輪
本番でやってきた練習の成果を出すことができるのは、ほんの一握りの選手だけ。中村選手は、やってきたことは間違いではないと、最後のタッチの瞬間まで自分を信じる心を持ち続けました。選手は応援してくれる人たちの思いを心に留め、レースに向かいます。しかし、泳ぐときは一人です。スタート台へ立った時に、誰も助けてはくれません。そのとき信じられるのは、自分自身です。最後の最後、極限の緊張感の中で助けてくれるのは、自分を信じる強い心です。
中村選手はこの4年間で、どんな状況でも、どんな環境でも勝負してきました。何が起こっても動じない強さを手にした彼女は、北京五輪でベストパフォーマンスをしました。中村選手にとって、北京五輪は最高の集大成となったはずです。
<了>
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