池本誠知が長谷川秀彦を破り新王者に=DEEP

松浦俊秀

新王者となった池本がDREAM参戦をアピール 【松浦俊秀】

「DEEP 36 IMPACT」が27日、大阪・ZeppOsakaで開催された。メーンでは長谷川秀彦と挑戦者・池本誠知がウェルター級タイトルマッチを懸け激突。試合は王座を争うにふさわしい好内容となり、真夏日の大阪の気温をさらに上昇させた。

 年頭からプランとして挙がっていた長谷川と池本のタイトルマッチが、挑戦者の地元・大阪でついに開催された。先月のclub DEEPで久々に一本を取ったものの、本戦ではなかなか波に乗り切れていない王者に対し、06年のタイトルマッチ(vs.中尾受太郎)以来、DEEPでは負けなしの池本。05年9月の直接対決でも池本が勝利していることから、勢いではやや挑戦者有利という状況のなか試合はスタートした。

メーンはタイトルマッチらしい白熱の好勝負に

アキレス腱固めを狙う長谷川(左)。メーンは一進一退の好内容となった 【松浦俊秀】

 1R、いきなり左ストレートで飛び込んだ長谷川は、そのまま体を密着させテークダウンを狙う。腰を落とし突き放そうとする池本だが、長谷川も片足タックルに移行し、粘り強く組み付いていく。池本も際で上を取り返す場面もあったが、ここは長谷川が持ち前のグラップリング力で上のポジションをキープ。すきを見て小刻みにパウンドを打ち込んでいく。だが巧みにスタンドに戻した池本は、飛びヒザなどを織り交ぜ打撃で反撃。両者ともに持ち味を出したところで1Rが終了。

 2R、ジャブで距離を測る池本は、長谷川の飛び込みざまにヒザ蹴りをジャストヒット。やや後退した長谷川は、このテンカオ以降、やや動きが鈍くなる。だが、打撃で追撃を試みる池本に対し、長谷川も得意の差し合いでテークダウンを奪取。ガードの中からパウンドを打ち込んでいく。しかしパウンドを数発もらった池本も、長い足を利して蹴り上げを連発。これが長谷川の顔面を捕らえ、ポジションは下ながらダメージ面でジャッジに好印象を与えることに成功。王者にダメージと疲れが見えるなか、2Rが終了する。

 3Rに入ると、池本の前蹴りが面白いように長谷川にヒット。組み付きたい長谷川だが、この足が邪魔になり、なかなか距離を詰めることができない。それでも強引に組み付いた長谷川は、両足タックルでテークダウンに成功。場所が悪くロープ際ながら、パウンドで形勢逆転を狙っていく。しかし、ここでも池本の蹴り上げが威力を発揮し、ポジションキープはならず。逆に猪木・アリ状態になると、上から挑戦者の攻めを許してしまう。池本の踏みつけ攻撃をアキレス腱固めで迎撃するも、フックが浅くダメージを与えることはできない。結果、打撃面で試合を優勢に進めた池本が、判定ながら悲願のタイトル奪取に成功した。

池本がDREAM参戦を猛アピール

両者ともに常に動き続けたためブレイクはなし。そんななか打撃でダメージを与えた池本(右)が、判定3−0で勝利を飾った 【松浦俊秀】

 池本自身が200枚近くチケットをさばいたこともあり、判定のコール後にはジム生などが次々とリング上に駆け上がり新王者を祝福。そんななかマイクを渡された池本は「強いチャンピオンを倒して少し自信になりました。次はDREAMを目指します」と、以前からアピールしていた大舞台挑戦の意志を表明した。 

以下はバックステージでの新王者のコメント。

「下から攻められなかった部分もあって、課題がたくさん残りました。それもあって素直に喜べないところもありますね。ヒザ蹴りで決めるつもりだったんですけど、独特のしぶとさというか、王者の気持ちの強さを感じました。前回の対戦のときと比べて、長谷川選手は気持ちが強くなっていましたね。前のタイトルマッチの内容を評価されてPRIDE武士道に上がったんですが結果は2敗。でも、自分のジムをオープンしてからは負けなしで、今回ベルトも取れたんで、いい方向に流れは向いていると思います。今後はあきらめずにDREAMを目指して、武士道の負けを帳消しにするくらいの結果を残したいですね」

佐伯代表が“DEEPのリック・フレアー”を高評価

地元ということもあり、池本勝利が告げられた瞬間、館内が爆発。多くのジム生らが新王者を祝福した 【松浦俊秀】

 佐伯繁DEEP代表から総合のリック・フレアーという、ありがたくないニックネームを付けられた長谷川だが、この日は王者らしい攻めの気持ちを随所で発揮。そこに挑戦者のベルト奪取への執念が加わったことで、試合は予想以上の好勝負に発展した。佐伯代表も「今日はメーンに尽きます。ブレイクも一回もなかったしね。ウチでブレイクが一回もないって、すごいでしょ? 今日は長谷川秀彦のベストバウトでしょう」と、新王者とともに長谷川の奮闘を評価。5時間を越えるロング興行となったが、メーンが締まったことで満足度の高い大会となった。

正道会館との対抗戦でDEEPが勝利

正道会館の雄・外岡真徳(左)が、圧巻のDEPPデビューを飾った。その打撃力は一見の価値アリ 【松浦俊秀】

 今大会ではDEEPと正道会館の3対3対抗戦も行われた。結果は2勝1敗でDEEPが勝利したが、もっともインパクトを残したのは正道会館主催の全日本選手権やウェイト制重量級を制したこともある外岡真徳。キレのあるハイキックや回転の速いパンチでYABUをまったく寄せ付けず、DEEP初戦を圧倒的なKO劇で締めくくった。

■「DEEP 36 IMPACT」
7月27日(日) 大阪・Zepp Osaka

<メーンイベント DEEPウェルター級タイトルマッチ 77.1kg以下 5分3R>
[王者]●長谷川秀彦(SKアブソリュート)
(判定3−0)
[挑戦者]○池本誠知(格闘技スタジオSTYLE)
※池本が新王者に

<セミファイナル 83.9kg以下 5分2R>
○RYO(ランズエンドZERO−ONE MAX)
(判定2−0)
●佐藤豪則(Laughter7)

<第6試合 DEEP 対 正道会館 無差別 5分2R>
○誠悟(フリー/DEEP)※水口清吾から改名
(1R1分41秒、腕ひしぎ十字固め)
●高原信好(正道会館)
※対抗戦は2対1でDEEPの勝利。

<第5試合 DEEP 対 正道会館 83.9kg以下 5分2R>
○外岡真徳(正道会館)
(1R3分37秒 KO)※右ストレート
●YABU(フリー/DEEP)

<第4試合 DEEP 対 正道会館 77.1kg以下 5分2R>
○河村嘉展(NEX/DEEP)
(1R3分22秒、TKO)※レフェリーストップ
●徳永純三(正道会館)

<第3試合 65.8kg以下 5分2R>
○原井 徹(毛利道場)
(判定2−1)
●寺田 功(ALLIANCE)

<第2試合 65.8kg以下 5分2R>
○広斗(S.F.K)
(判定3−0)
●吉武伸洋(パンクラス稲垣組)

<第1試合 48kg以下 5分2R>
○玉田育子(AACC)
(判定3−0)
●浜田福子(総合格闘技コブラ会)

<NEXT LEVEL提供試合 キックルール 3分2R>
○ジェームス・ロウ(S.F.K)
(判定3−0)
●カリム・“シュガーベア”・バイロン(J−NETワークMファクトリー)

<NEXT LEVEL提供試合 3分2R>
○竹野 蓮(MA多田ジム山口道場)
(2R0分22秒、KO)※ヒザ蹴り
●村上隆史(NJKF健心塾門真ジム)

<NEXT LEVEL提供試合 3分2R>
○山口裕人(MA多田ジム山口道場)
(2R1分42秒、KO)※右ストレート
●福上晃貴(国際チャクリキ協会顕修塾)

<NEXT LEVEL提供試合 3分2R>
○藤田将平(NJKF健心塾)
(判定3−0)
●中川Ω自演乙Ω幸樹(魁塾)

<NEXT LEVEL提供試合 3分2R>
○難波久美子(MA契明ジム)
(判定3−0)
●中村すずな(NJKF二刃会)

<オープニングファイト 70.3kg契約 5分2R>
○金原泰義(チーム・クラウド)
(2R0分19秒、TKO)※レフェリーストップ
●柴博(PUREBRED京都)

<オープニングファイト 65.8kg契約 5分2R>
○上嶋祐紀(和術慧舟會兵庫支部)
(判定2−0)
●釜谷真(CMA京都成蹊館)

<オープニングファイト 85kg契約 5分2R>
○相川祐哉(毛利道場)
(1R2分23秒、TKO)※レフェリーストップ
●宮モン太(SFK)

<オープニングファイト 70.3kg契約 5分2R>
○岸本泰昭(総合格闘技コブラ会)
(1R3分52秒、TKO)※レフェリーストップ
●正田玲尚(総合格闘技闇愚羅)

※予定されていた深見智之vs.松本晃市郎は、深見が負傷したため中止
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