打倒・ディック東郷へDDT勢が一致団結=DDT後楽園大会

高木裕美

打倒・東郷へ松野コミッショナー(右)を中心にDDT勢が「恒例の作戦会議」を公開で実施 【田栗かおる】

 6日のDDT「KING OF DDT 2008」後楽園ホール大会では、7試合全てがタイトルマッチとして行われ、超満員となる1517人を動員した。

 メーンイベントではディック東郷の持つKO−D無差別級王座に諸橋晴也が挑戦。かつては同じメタル・ヴァンパイア(MV)の仲間でありながら、「生まれてくる子供のために」MV脱退を決意し、東郷にキバをむいた諸橋のため、DDTも全力でサポート。第5試合でMVに反旗を翻した松井幸則レフェリーが公平なレフェリングを務め、和田京平レフェリーがMVのセコンド陣を追い出した。
 諸橋も東郷のチェーン攻撃をイス攻撃で回避し、東郷を流血させると王者のお株を奪うペディグリーを繰り出すなど、気迫のこもったファイトであと一歩まで迫るが、東郷もお返しの雪崩式ペディグリー、ダイビングセントーンを炸裂。諸橋はセントーンこそ間一髪かわしてみせたものの、クリップラー・クロスフェースでガッチリと絞められると、ついにギブアップとなった。

 初防衛に成功した東郷に対し、試合後、アントーニオ本多が「タイトルも関係ねぇ。お客さんもいらねぇ。おまえとオレと2人だけで、魂のぶつかり合いをやってやる」と対戦要求。これを受けたゴージャス松野コミッショナーが「ただいまの決闘、認めます。2人でどっかでやってもらいます」と即断し、両者による“決闘”が近日中に行われることになった。

 さらに松野コミッショナーはリング上に所属全選手を招集し、今回が初となる「恒例の作戦会議」を公開で実施。DDT勢が一丸となって東郷らMVを潰すための策を練った。
東郷への正式な次期挑戦者については、次回7.20新木場1stRINGにて8選手(HARASHIMA、飯伏幸太、MIKAMI、タノムサク鳥羽、KUDO、ヤス・ウラノ、柿本大地、星誕期)参加の1DAYトーナメントを行い、優勝者が8.31後楽園で東郷のベルトに挑戦することが決定した。

 また、トーナメントには漏れた男色ディーノとマッスル坂井の2人に対しては、MVとの対戦を指令。2人は「オレたちは捨てゴマか」と怒るも、松野コミッショナーに「笑いに飢えて禁断症状が出ている大鷲に、突っ込まざるを得ない状況を作れ」と言われると、いたずら心に火をつけられた2人は「透ちゃんに『うぉーい!』と言わせてやる」と早くも何かよからぬことをたくらみ始めた。

飯伏が「レジェンド」TAKAからベルトを死守

飯伏(手前)がハイキックで「レジェンド」TAKAみちのくを下し、インディペンデントワールドジュニア王座防衛に成功 【田栗かおる】

 飯伏幸太対TAKAみちのくによるインディペンデントワールドジュニア王座戦は、わずか10分あまりながら内容の濃い一戦となった。

 元々、このベルトは前王者であったTAKAが何年もの間に渡り封印していたものを、飯伏が強引におねだりして昨年8月に復活させたもので、以後、飯伏は6度に渡り王座防衛に成功。次期挑戦者として「レジェンドのTAKAさんと戦いたい」と、自ら7.2K−DOJO新宿大会へ足を運び、「お願いします」の一点張りで、TAKAをまたも根負けさせてタイトルマッチ実現にこぎつけた。

 互いに飛び技も得意とする2人だが、この日はそういった技を互いに封印。序盤にTAKAが飯伏の右足攻めを仕掛け、関節技で痛めつけ、ジャストフェースロックで絞め上げるも、飯伏は痛みをこらえながらジャーマンスープレックスで反撃。TAKAのスーパーK、飯伏のハイキックによって両者ダウンとなりながらも互いに気力で立ち上がってまたも蹴り合うが、飯伏の右ハイキック、TAKAのスーパーKから再び両者ダウンとなると、TAKAはカウント10以内に立ち上がれず。何とかカウント8で立っていた飯伏が王座防衛に成功した。

 TAKAが退場した後、K−DOJOの円華が私服姿でリングに上がり、「次は僕ってことでどうでしょう。2人で最高に楽しい試合をしようじゃないですか」と飯伏に対戦をアピールすると、飯伏も「そうしましょう」とあっさり即答し、2人でガッチリ握手をかわした。
 「ボクの中のレジェンド」というTAKAからベルトを死守した飯伏は「このベルトを一生持っていたい」と喜びを爆発。円華とは、近日中にDDTかK−DOJOのリング、さらには砂場やコンビニエンスストアなどで両者のタイトル戦が行われる可能性が浮上した。

 一方、敗れたTAKAはデビュー当時から大きく成長した飯伏を「プロレス界の宝」と絶賛して自らの「完敗」を認め、ベルトについても「次に挑戦する円華やKAGETORAといった選手とベルトを懸けてどんどん高め合って欲しい」と若い世代へエールを送った。

JARASHIMAが早くも蛇界を脱退

JARASHIMA(奥)はアッサリと蛇界を脱退 【田栗かおる】

 蛇界のJARASHIMA、ポイズン澤田JULIE組が、スーサイドボーイズ(MIKAMI、タノムサク鳥羽)の持つKO−Dタッグ王座に挑戦。「マラカスの在庫1000個をさばくため」7.2新宿FACEで、前KO−D無差別級王者のHARASHIMAを蛇界に引き入れたポイズンは今日も絶好調。先制攻撃を仕掛けて、まだ上着を着たままのMIKAMIを5分以上ものローンバトルに追い込むと、対角コーナーのラダーに上がったところを超遠距離での呪文で操り、10分頃には必殺技のキャトルミューティレーションまで炸裂。終始蛇界が試合を圧倒するも、一瞬のスキを突いたMIKAMIのスク〜ルボ〜イにポイズンが3カウントを献上。蛇界が王座奪取に失敗した。

再び2人で組んでの挑戦を誓うポイズンに対し、JARASHIMAは「マラカスも1000個売れたし、今日負けちゃったし、ちびっこファンが怖がるから、自分は抜けさせてもらいます」と、何のためらいもなく蛇界脱退を一方的に宣言。ポイズンは「この解毒剤がないと人間には戻れないぞ」と勝ち誇るが、JARASHIMAはポイズンが手にした解毒剤を奪い取って飲み干し、あっさり真人間に戻ってしまった。
 この1カ月間の出来事を「過去のこと」で片付けたHARASHIMAは「これからはKO−D無差別のベルトを獲り返すことに専念します」とキッパリ。ファンの記憶とバカ売れしたサイン入りのマラカスだけを残して、蛇人間のJARASHIMAは完全消滅したが、夢をあきらめきれないポイズンは「もう一度蛇界に引き入れてやる…」となおも企んでいた。

透明人間がアイアンマン王座を奪取

一度は射殺されながらも、透明人間が調子に乗るマイケル(中)からアイアンマン王座を奪取 【田栗かおる】

 9選手によって争われたアイアンマンヘビーメタル級王座戦では、アメリカから特別参戦した透明人間のアーノルド・スケスケジャネーカーが大暴れ。まずは控室で王者・中澤マイケルから3カウントを奪って新王者となると、1対8の状況に追い込まれながらも、場外ダイブや鉄柱を使ったラフファイトといった多彩な攻めを見せ、ヌルヌルブラザーズによる「2階からローション」攻撃も回避。特殊改造されたスカウターで位置を感知したマッスル坂井に射殺され、一度はベルトを奪われるも、試合後に調子に乗るマイケルのスキを突いて丸め込み、再びベルトを手中に収めた。

 2度も透明人間にしてやられたマイケルは「次は名古屋で挑戦してやる。透明(東名)だけにな」と寒いダジャレで会場を凍りつかせて一瞬時間を止めるも、ゴージャススーパースターエルボーを失敗し、ロープに逆さ吊り状態のまま放置されっぱなしになっていた松野だけはもがき続けていた。

高木らの“遠い親戚”の女子選手が大奮闘

高木らの“遠い親戚”の女子選手がエクストリーム級王座戦で大奮闘! 【田栗かおる】

 各選手の遠い親戚の女子レスラーによる代理戦争となったDDTエクストリーム級王座戦では、フランソワーズ☆タカギが高梨マサ子に勝利。ルールにより、マサ高梨のベルトが高木三四郎に移動した。

 この試合は星誕期の親戚である星誕子も交えたトリプルスレッドマッチで争われ、「遠い親戚」」の割には顔も体格も本人そっくりな女子選手たちが、色とりどりのコスチューム&ヘアスタイルで登場。相手の髪をつかんで投げたり、鉄柱から場外へダイブしたりといった女子ならではのムーブを見せるも、タカギに帯をくるくるとほどかれた誕子がビキニから乳首ポロリをしてしまい、恥ずかしさで戦線離脱。その間に「高木の姪っ子」(高木談)であるタカギが女子プロ最高峰の必殺技・ジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールド(日本海式竜巻原爆固め)で勝利し、“叔父”にベルトをプレゼントした。

 全試合終了後、客席で恒例の「三四郎集会」を開いた高木は、初代王者の誇りにかけ、いつの間にか「汚れのベルト」と化したこのタイトルを封印しようとするが、ゴージャス松野コミッショナーが許さず、逆に高木に「全試合タイトルマッチ」を命令。その結果、次回7.20新木場で高梨との「T2Pルール」による初防衛戦が決定した。

■DDTプロレスリング「KING OF DDT 2008」
7月6日(日)東京・後楽園ホール 観衆:1517人(超満員)

<メーンイベント KO−D無差別級選手権試合>
[王者]○ディック東郷
(19分14秒 クロップラー・クロスフェース)
[挑戦者]●諸橋晴也
※第26代王者が初防衛に成功

<セミファイナル インディペンデントワールドジュニア選手権試合
[王者]○飯伏幸太
(10分19秒 右ハイキック→KO)
[挑戦者]●TAKAみちのく
※第7代王者が7度目の防衛に成功

<第5試合 KO−Dタッグ選手権試合>
[王者組]MIKAMI○、タノムサク鳥羽
(12分2秒 スク〜ルボ〜イ)
[挑戦者組]JARASHIMA、●ポイズン澤田JULIE
※第26代王者が2度目の防衛に成功

<第4試合 自由が丘6人タッグ選手権者決定戦 ダブルレフェリーマッチ>
大鷲 透、Koo、●スペル・ヴァンパイア
(8分56秒 ダイビングニードロップ→片エビ固め)
アントーニオ本多、○KUDO、ヤス・ウラノ
※第4代王者のベルト返上により、本多組が第5代王者

<第3試合 アイアンマンヘビーメタル級王者争奪バトルロイヤル>
[王者]アーノルド・スケスケジャネーカー(透明人間)
[挑戦者]中澤マイケル、男色ディーノ、マッスル坂井、ゴージャス松野、松永智充、佐々木大輔、安部行洋、美月凛音

●スケスケ−○坂井 7分22秒 射殺→レフェリーストップ
※坂井が762代王者
●坂井−○マイケル 8分48秒 ランニングC→体固め
※マイケルが763代王者
●マイケル−○スケスケ 12分34秒 横入り式エビ固め
※スケスケが764代王者

<第2試合 大森夢フェア認定世界大森級選手権試合 ※石井慧介デビュー戦>
[王者]○柿本大地
(6分18秒 逆エビ固め)
[挑戦者]●石井慧介
※第3代王者が初防衛に成功

<第1試合 DDTエクストリーム選手権試合 代理女子選手マッチ>
[王者]●高梨マサ子
[挑戦者]星誕子
[挑戦者]○フランソワーズ☆タカギ
(5分41秒 日本海式竜巻原爆固め)
※第6代王者が3度目の防衛に失敗、高木が第7代王者
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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