「ブアカーオに100%勝てる」 佐藤嘉洋が超強気宣言=K-1

長谷川亮

ファンの前で公開したスパーリングで佐藤(左)は、打点の高い飛びヒザ蹴りを披露 【スポーツナビ】

 K−1中軽量級シリーズのWORLD MAXと総合格闘技イベントDREAMによる合同イベント「AKASAKA FIGHT FESTIVAL」(6月30日〜7月6日)の4日目が3日、東京・赤坂サカスで開催された。

 まず1番手として登場したのは10月の決勝大会進出をかけ、7日のK−1MAX武道館大会でV2王者ブアカーオ・ポー.プラムックと対戦する佐藤嘉洋。1Rずつのシャドーとスパーリングでは打点の高いヒザ蹴りを突き上げ、2年連続で阻まれたベスト4進出、そして初優勝を誓った。

3度目のブアカーオ戦「今回は自信があります」

ブアカーオを破り、魔裟斗戦、そして初優勝を実現することはできるのか 【スポーツナビ】

「仕上がりはいい。最高です。ほんとにいい練習ができて、今回は自信があります」
 ブアカーオと3度目の対戦を迎える佐藤。過去2戦はいずれも敗れたが、かつてないほど強気のコメントが口をつく。
「勝つための練習はすべてやってこれた。ブアカーオに勝つためにはどうすべきか、意識してやってきたのでそれが自信になりました」
 佐藤が今回意識して強化してきたのはダッシュ力と爆発力。昨年10月から取り組み始めたウェイトトレーニングも効果が現れ、その成果が動きとして出るようになってきたという。

 1度目の対戦はKO負けの惨敗だったが、2度目の対戦は延長戦の末小差での判定負け。だが、今回は違う。
「今までは胸を借りるつもりが多少あったけど、見下すぐらいの気で、“おれの方が強いんだ”と毎日思いながらやってきた。ベスト8で2年連続終わってるんで、今年は優勝するしかない」
“勝てる可能性は?”との質問に、佐藤は「100%」と明言。さらに、「これぐらいの気持ちでないとダメですよ。負けることは考えてないです。冷静に戦って、行くとこは行って、つぶしに行きます。結果的に倒せればいい」といっそう強気の気持ちを語り、まったく気後れするところはないようであった。

 昨年11月に結婚し新婚の佐藤だが、ハネムーンは決勝大会後の10月までお預け。
「優勝して豪遊旅行に。優勝して行くって決めている」
 ベスト8のメンバー中、「一番の敵」と定めるブアカーオを破り、魔裟斗戦、そして初優勝を実現することはできるのか。100%の自信が試される決戦は4日後に迫った。

城戸、キシェンコのボディ打ち対策に自信

1Rのシャドーボクシングと1Rのミット打ちでシャープな動きを披露した城戸 【スポーツナビ】

 佐藤に続いては同じくK−1 MAXの城戸康裕が登場。7日の武道館大会でアルトゥール・キシェンコとベスト4を賭け対戦する“金色のヒットマン”は、公開練習(1Rのシャドーボクシングと1Rのミット打ち)でシャープな動きを披露するとともに、その奔放なキャラクターでもサカスに集まった観客を楽しませた。

 大画面に映る自分の姿をしきりと気にしたり、最初は緊張を隠せない城戸だったが、徐々にそれがほぐれるとトークも軽妙となり本領を発揮。「FIGHT FESTIVAL」恒例となった手足に万歩計をつけてのシャドー対決では佐藤嘉洋の動きをパクりながらも2倍以上の大差をつけられ完敗(佐藤:597回、城戸:297回)と笑いを呼んだが、プレゼントに練習用のバンテージを投げ入れた佐藤に触発され、自らも着ていたTシャツを突如観客席に投げ入れるなど、予想不能な動きと個性でなかなかに観客のハートをつかんでいた。

「調子はいつも通り大丈夫です。どんどん出てくるタイプなので、そこに合わせる技(=カウンター)は相当練習してきました」
 キシェンコと言えば前へ出るだけでなく、長いリーチでエグるように繰り出す左ボディが代名詞となっているが、城戸は「腹を打つのを嫌がる攻撃を心がけたい。最初からカウンターを当てていく。1発も当てたくない」とボディ打ち対策に自信のコメント。キシェンコ同様長いリーチを誇る城戸はヒジを使ったボディのブロックに長けており、よしんば打たれてとしても、「バンバン打たせて1日100発は(腹を)打たせてきた。(腹を打たれてのKO負けは)ないと思う」と重ねて自信のほどを示した。

 トーナメントの抽選会では自らキシェンコを選び「顔が好みだから」との理由で波紋(?)を呼んだが、「ああいう顔に生まれたかったというのはありますね。目がクリクリしてて。別にウクライナでゲイ呼ばわりされてても構わない。一重にしてやります」と城戸一流のユーモアを保ちつつも顔面破壊を宣言。
 イム・チビンをわずか40秒で降した城戸のヒザが再びキシェンコにも突き刺さるのか、あるいはキシェンコのプレッシャーと左ボディがとらえるのか。金色のヒットマン、世界挑戦第2章の幕がいよいよ上がる。

宇野vs.TK、世代と階級超えたスパー披露

高阪剛とドリームマッチを行った宇野薫(右)は腕十字で見事一本を奪取 【スポーツナビ】

 MAXの2人がリングを降りると、4日目の「AKASAKA FIGHT FESTIVAL」は第2部へ。
 ここで開催まで3週間を切った、「DREAM.5 ライト級グランプリ2008決勝戦」(21日、大阪城ホール)へ出場する宇野薫が登場となる。

 この日は特別ゲストとして“世界のTK”高阪剛も来場。2人の出会いやかつてともに戦場としたUFCでの秘話を披露し、「宇野は強くなるのにすごく貪欲(どんよく)で、ベテランでも常に前に出て行く姿勢が衰えないのがいい」と賞賛したが、それだけで終わらずなんと宇野vs.高阪のドリームスパーリングが実現。
 タックルで入った宇野はこれを切られてバックを取られるが、そこから“宇野逃げ”を駆使して上のポジションを取り返す。そして鮮やかに腕十字を極め高阪から一本。“世界のTK”をして、「強いですよ。攻めてるつもりなのに最終的に一本取られてしまう」と驚嘆の感想を引き出した。

「前回すごくいい試合ができたので、前回を超えるような、気持ちの伝わるような試合ができればと思うので、応援よろしくお願いします」
 ライト級グランプリではまず準決勝で青木真也と対戦する宇野。脱出不能な青木のサブミッション地獄からも“宇野逃げ”で突破口を見いだしうるのか。「DREAM.3」での石田光洋戦を超える好勝負の実現に期待が集まる。

 宇野に続いては「DREAM.4」で初参戦初勝利を上げた所英男がチームZSTとともに4日目の最終ゲストとして登場。
 ZST独自のタッグマッチを公開し、ジャーマン・スープレックスで相手を投げるなど息が上がってしまうほどノンストップの動きを見せ、観客の歓声を集めた。
 所はかねてより希望しているKID戦について問われると、「年末もしくは来年早くに組んでもらえれば……」とやや遠慮気味ながらもリクエスト。集まった観客もKIDvs.所の夢カード実現を大きな拍手で後押ししていた。

■K−1 WORLD MAX 2008 世界一決定トーナメント FINAL8

7月7日(月) 東京・日本武道館 開場16:30 開始18:00

<第10試合 世界一決定トーナメント FINAL8 3分3R・延長1R>
魔裟斗(日本/シルバーウルフ)
ドラゴ(アルメニア/ショータイム)

<第9試合 世界一決定トーナメント FINAL8 3分3R・延長1R>
ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムック)
佐藤嘉洋(フルキャスト/名古屋JKファクトリー)

<第8試合 スーパーファイト K−1ルール 3分3R・延長1R>
アンドレ・ジダ(ブラジル/ユニバーシダデ・ダ・ルタ)
レミギウス・モリカビュチス(リトアニア/リングスリトアニア)

<第7試合 60キロ契約 3分3R・延長1R>
大月晴明(日本/AJKF)
デビット・ドゥージャ(フランス/ファウコンジム)

<第6試合 60キロ契約 3分3R・延長1R>
大宮司 進(日本/シルバーウルフ)
コンスタンティン・トリシン(ウクライナ/キャプテン)

<第5試合 60キロ契約 3分3R・延長1R>
上松大輔(日本/チームドラゴン)
エディ・ユアザパビュチス(リトアニア/トルネード)

<第4試合 世界一決定トーナメント FINAL8 3分3R・延長1R>
アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ)
ウォーレン・スティーブルマンズ(南アフリカ/ボスジム)

<第3試合 世界一決定トーナメント FINAL8 3分3R・延長1R>
城戸康裕(日本/谷山/2008日本トーナメント優勝)
アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテンオデッサ)

<第2試合 スーパーファイト K−1ルール 3分3R・延長1R>
アルバート・クラウス(オランダ/チームスーパープロ)
マイク・ザンビディス(ギリシャ/ザンビディスクラブ)

<第1試合 K−1ルール 3分3R>
大渡博之(日本/正道会館)
MASAKI(日本/Target)

<オープニングファイト3 K−1ルール 3分3R>
アルビアール・リマ(カーボヴェルデ共和国/チームスーパープロ)
マーク・ヴォーゲル(ドイツ/ゴールデングローリー)

<オープニングファイト2 K−1 YOUTHルール 3分3R>
才賀紀佐衛門(日本/大誠塾)
タイロン・ヴァン・ウィック(オーストラリア/ファイブリングス道場)

<オープニングファイト1 K−1 YOUTHルール 3分3R>
ト部弘嵩(日本/西山道場)
デニス・テリシャ(ベラルーシ/チヌック)

■「DREAM.5 ライト級グランプリ2008

7月21日(月・祝) 大阪・大阪城ホール 会場:14:00 開始:15:00

【既報対戦カード】

<ライト級(70kg以下)トーナメント決勝 1R10分・2R5分>
青木真也 vs. 宇野薫 の勝者
エディ・アルバレス vs. 川尻達也 の勝者

<ライト級(70kg以下)トーナメント準決勝 1R10分・2R5分>
エディ・アルバレス(エリートXC/ファイト・ファクトリー)
川尻達也(T−BLOOD)

<ライト級(70kg以下)トーナメント準決勝 1R10分・2R5分>
青木真也(パラエストラ東京)
宇野 薫(和術慧舟會東京本部)

<ワンマッチ>
山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)
ジョセフ・ベナビデス(アルティメット・フィットネスジム)

【出場決定選手】

・秋山成勲(フリー)
・柴田勝頼(ARMS)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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