東洋大・大野が受ける全幅の信頼

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スコア以上に苦しい試合

【東洋大 4対0 函館大】「ヒットを含めても芯に当たった打球がまったくない。東都の代表として恥ずかしい」
 東洋大・高橋昭雄監督が吐き捨てる。初回に相手のエラーで出塁したランナーを三塁に進め、4番・十九浦隆太(4年=八千代松陰高)の犠飛で先制。2回にも4連打に盗塁を絡めて3点を加えるなど、試合序盤は理想的な展開だった。
 
 だが、3回以降は函館大の先発・佐藤公彦(4年=鶴岡工高)、2番手でマウンドに上がった佐藤将太郎(1年=横浜創学館高)の前に打線が沈黙し、ヒットどころか出塁自体が失策によるひとつだけ。スコア以上に苦しい初戦であった。

投手から受ける全幅の信頼

 それを救ったのは、先発の上野大樹(4年=帝京高)をリードした大野奨太(4年=岐阜総合学園高)だった。抜群に良かったという外角のストレートにスライダーをうまく織り交ぜ、相手打線を手玉に取る。「相手の特徴はビデオで分析していました。上野とも話し合って対策を考えました」と話すとおり、最後まで的を絞らせず、四死球0、被安打2、13奪三振、わずか92球で完封という完ぺきなピッチングを引き出した。
 最後の打者からスライダーで三振を奪ったことについて、上野は「ストレートで打ち取る自信はあった。(大野のサインに)首を振ろうと思ったけど、うちのキャッチャーは頭が固いので」と冗談を言い報道陣の笑いを誘った。そして、「でも、大野がスライダーと言うのなら、そのとおりに投げます。信頼していますから」と続けた。

 高橋監督は誰を先発のマウンドに送るかを含め、「決勝までのストーリーはできている」と言う。準々決勝の先発は乾真大(2年=東洋大姫路高)が予想される。大会前、大野はその乾を「マイナスに考えないところがいいところ」と評した。「投手を勝たせてあげることもキャッチャーの仕事」という大野ならその長所を引き出せるはずだ。
 主将として、正捕手として、大野が高橋監督の描くストーリーを実現させていく。

<了>
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