母急逝の石川が必勝決意「親不孝したくない」=全日本キック

佐々木亜希

都内のジムで公開練習を行った石川(右。左は山本、中央は小林GM) 【佐々木亜希】

 6月11日、都内・青春塾で全日本キックボクシング連盟所属の石川直生・山本優弥が公開練習を実施し、22日に開催される後楽園大会での勝利をともに誓った。石川は「勝つのは当然。母ちゃんが残してくれた最後の舞台を台無しにするような親不孝はしたくない」と、5月27日に急逝した実母・昌子さんのためにも、メーンイベントで必ず勝利すると宣言した。

タイ修行から緊急帰国も成果に自信

「親不孝したくない」。必勝を胸に公開練習を行った石川 【佐々木亜希】

 石川は、28日に昌子さんの訃報(ふほう)をうけて特訓を行っていたタイから緊急帰国。それでも2週間にわたる「96ピーナンジム」で身につけた、首相撲を中心とする成果は大きく「帰ってからジムで練習していても違うのが分かる」と語るほどだという。「カノンスックはあまり首相撲で勝負するタイプじゃないけど、組んでみてから考えようと思う。向こうにいった意義は大きかったです」と、さらに成長した自分をリング上で披露するのを、待ちきれないといった様子だ。

サムゴー戦に名乗りの山本「ここでやらなきゃ」

サムゴー戦に名乗りを上げた山本 【佐々木亜希】

 突然の悲しみに襲われた石川を間近で見ていた山本は、自ら、元ムエタイ三冠王者のサムゴー・ギャットモンテープ戦へ名乗り。「どうやって支えていけばいいかと思っていたところで、サムゴー(・ギャットモンテープ)が来ると聞いて、自分がやらなきゃいけない、ここでやらなきゃどうするんだと思った」と、参戦を直訴した理由を語った。K−1MAXにも参戦、ひじ・ひざなしのルールに数多く取り組んできた山本にとって初の本格的な対ムエタイの一戦となる。

「これまで、ムエタイを見るのは好きだけど、自分がやるとなると面白い試合をできる自信がなかったんですよ。だけどサムゴーはまた、他の選手と違うし。左ミドルでムエタイのトップを獲った選手。客観的にみて自分がどういう試合をするのか楽しみだし、何より今回は、やるって言わないと自分が逃げているみたいで嫌だった」と語る山本に対し、公開練習に立ち会った小林聡GMは「他の相手も考えていたけど、石川君のお通夜で山本君から話を聞いて、山本君しかいないなと思った」とコメント。サムゴーは昨年9月に全日本キック後楽園大会に参戦、減量に苦しみつつも試合では左ハイキックでレイ・スターリンをKO。「6月の試合で勝ったら7月も試合をしたい」と関係者に語るなど、9カ月ぶりの試合に向けて順調にモチベーションを高めている様子だ。
「須藤(信充)戦に挑む中村高明にかける気持ちと同じで、アイツを山本君に止めてほしい」と山本に期待をかけたGM。公開練習の後も、自身の対戦経験をふまえて山本にアドバイスを送っていた。

GMは負け越しからの奮起に期待

小林GMは全日本キック勢の奮起に期待 【佐々木亜希】

 全日本キックは5月31日の新宿大会でチームドラゴンとの対抗戦を実施、3勝7敗で負け越し。6月8日のM−1ディファ有明大会では参戦した5選手が全敗という結果に見舞われている。小林GMはこの現状について「非常に悔しいですよ」と表情を引き締めた。「何やってんだ、責任取れよって言うくらいの負け方してる選手もいるし、流れも良くない。全日本キックはナメられちゃいけない団体なんですよ」と強い口調で語った上で「次の大会は自分のプロデュース興行だし、必ず勝ってくれると信じてますけど、負けたりしたら泣いて帰りますよ」と苦笑いした。

 山本は「全日本キックがなめられたり、弱いと思われることは嫌」としつつも、選手ひとりひとり活躍、奮起を重視。石川は「ボクは全日本キックが好きだし、日本のすべての団体で全日本キックが最強の団体だと信じてます。それが事実だと思ってるし、自分が背負いたいと思っているんで、負け越しという状況はけっこう悔しいですよ」と、感情をあらわにした。

「特にこの間はタイ人に負けてるし、次の大会は、山本真弘と優弥とボクと3人がタイ人と対戦するけど、全員勝ちたい。この3つが勝てば『全日本キックはまだまだ大丈夫』って思ってもらえると思う」と、自身の勝利で団体が負け越している現状から、巻き返しを図る構えだ。
 小林GMは「対抗戦っていうのは、重く考えてますよ。団体としても死活問題だと思う」と事態を重くとらえていることを強調した上で「次の大会でも、勝った選手にはそれなりの評価をしたいと思うし、負けた選手には今後のマッチメイクに影響すると思って、覚悟して試合に挑んでほしい」と、参戦選手に対していっそうの奮起を呼びかけた。

「カノンスックはKO負けとKO勝ちの多い選手。1、2ラウンドしっかり気をつけなきゃいけないとは思っているけど、今のボクは全然このレベルじゃない。勝ちますよ」と言い切った石川。試練の七番勝負・第四戦、小林聡プロデュース興行のメイン、団体が対抗戦で負け越している中での日タイ対抗戦、そして実母にささげる戦い。石川はあまりに多くのテーマが込められた一戦を背負いきり、勝利することが出来るのか。同大会には山本のほかに同じ青春塾の寺戸伸近も参戦、石川は盟友の支えとともに、メーンのリングへ上がる。

■全日本キック・小林聡プロデュース「野良犬電撃作戦」
6月22日(日) 東京・後楽園ホール 開場17:00 本戦開始18:00(本戦開始前にオープニングファイト予定)

<NAOKICK試練の七番勝負・第四戦 59kg契約 3分5R>
石川直生(全日本スーパー・フェザー級王者/青春塾)
カノンスック・ウィラサクレック(タイ/M−1フェザー級王者/WSRフェアテックス)

<75kg契約 3分5R>
中村高明(全日本ミドル級王者/藤原ジム) 
須藤信充(元日本三階級王者/TEAM SUDO)

<全日本スーパー・フェザー級ランキング戦 サドンデスマッチ 5分3R>
大高一郎(全日本スーパー・フェザー級3位/STRUGGLE)
ソルデティグレ・ヨースケ(U.W.F.スネークピットジャパン)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント