大場の穴を打線が埋めた東洋大

矢島彩

劇的な大逆転劇で3連覇

 大場翔太(現福岡ソフトバンク)が抜けても強い! 今春の東都大学リーグで3連覇を成し遂げた東洋大。ことしは大場のような大黒柱こそいないが、チーム一丸となって昨秋の神宮大会に続く栄冠を目指す。

 勝てば優勝の亜大1回戦。この試合に今季の強さが集約されている。ドラマは1点を追う最終回2死走者なし、2ストライクに追い込まれた状態から始まった。代打・都築司(3年=浦和学院高)がファールで粘って四球。3番・松永隆太(4年=九州学院高)のタイムリー二塁打で同点とし、「まさか」と思った瞬間、4番・十九浦拓哉(4年=八千代松陰高)に逆転2ランが飛び出す。続く大野奨太(4年=岐阜総合学園高)もホームランを放ち、一挙4得点。就任37年目の高橋昭雄監督に「こんなことは初めて」と言わしめた大逆転劇だった。

1発を狙える打線が特徴

 この試合だけではない。日大1回戦、駒大1、2回戦など劣勢状態から終盤に長打を絡めて逆転勝ちするという展開が多かった。
「リーグ戦前は亜大が圧倒的に強いという評判だった。見返したかったし、昨年までは大場さん頼み。ことしは打撃陣がもっと奮起しなければと思っていた」(大野主将)
 毎年、好打者を輩出する東洋大。しかも、一発を狙える長距離打者が多いのも特長だ。そこには選手も驚く豊富な練習量がある。林崎遼(2年=東洋大姫路高)は「全体練習のうち、バッティング練習の占める割合が多くてびっくりした」と、入学当初を振り返る。今季は1番に定着した坂井貴文(2年=春日部共栄高)が大当たり。4本塁打、3割5分6厘で打率2位の成績を残せば、次を打つ鈴木啓友(4年=愛工大名電高)も3割を超える打率を残し、打線に切れ目がない。

下級生投手陣が主体

 下級生の堂々たるピッチングも見逃せない。まず、4勝を挙げて最優秀投手とベストナインの二冠を獲得して、エースへ成長した左腕・乾真大(2年=東洋大姫路高)。常時140キロ前後のストレートと横へ独特な変化を見せる変化球などを駆使し、4勝を挙げて防御率1.28と成績を残した。1年生の内山拓哉(1年=浦和学院高)もリリーフで3勝。テンポの良さとスリークオーター気味の右腕から最速145キロをマークするストレートも魅力だ。高校時代は控え投手だったこともあり反骨心が強く、1年生とは思えぬ堂々としたマウンドさばきがいい。あとは上野大樹(4年=帝京高)が最上級生としての意地を見せてほしいところだ。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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