バレー全日本男子、5連勝で16年ぶり五輪出場決める

スポーツナビ

戦評

<第1セット>

 日本の先発は、山本、松本慶彦、山村宏太、石島雄介、越川優、朝長孝介、リベロの津曲勝利。序盤は一進一退の展開で進む。朝長はセンターラインを巧みに操り、山村、松本が速攻を仕掛けていく。対するアルゼンチンもパブロ・ペラルタの速攻で応戦。さらにレアンドロ・コンシナのサービスエースで得点を奪っていく。日本はサイドアタッカーにもトスを散らすが、アルゼンチンのブロックに苦しむ。しかし、ワンタッチで自陣に戻ったボールをつなぎ、ラリー戦へと持ち込んで我慢強く攻撃を仕掛けていく。セット中盤、アルゼンチンはコンシナが再びサービスエースを奪い、18−18で追い付くと、ルカス・オカンポのスパイクを中心に攻め立てる。日本は越川のスパイクが相手のブロックをかわしきれず、苦しい展開。しかし、21−23から越川、山本が立て続けにブロックポイントを挙げて23−23の大接戦となる。さらにマルティン・エルナンデスのスパイクを越川がブロックするが、これはアウトに落ちてアルゼンチンが先にセットポイントを迎える。しかし、日本は山本がしっかりとブロックアウトを奪ってジュースへ持ち込む。日本は一度セットポイントを迎えるが、相手の速攻ミスがフェイントになって決まり、チャンスを逃す。最後はアルゼンチンが、ペラルタの速攻、ラリーからのオカンポのスパイクで連続得点を奪って26−28。アルゼンチンが第1セットを先取した。

<第2セット>

 アルゼンチンは、サーブがコートを外れていきなりリズムを崩していく。日本はタイミングを変えてくるアルゼンチンのスパイクに対し、ブロックが対応。石島はこのセットも冷静なフェイントを決める。最初のテクニカルタイムアウトを日本は8−5のリードで迎える。試合のペースはどちら付かずだが、日本は山村がタイミングの合わない速攻をしぶとくねじ込むなど粘り強く戦う。すると、レセプション(サーブレシーブ)ミスをダイレクトで押し込まれたポイントが相手のオーバーネットの反則によって日本に転がり込み、さらに朝長のサーブがネットに引っかかりながらも相手陣内に落ちてサービスエースとなるなど、要所で得点を物にしていく。16−10と離されたアルゼンチンは、セッターのサンティアゴ・オルドゥナがツーで日本コートへ落として得点を奪うなど工夫を見せるが、試合の流れは完全に日本へと傾いた。アルゼンチンは選手交代で打開を図るが、石島がルカス・チャベスのスパイクをシャットアウトするなど、日本はリードを譲らない。次々に連続得点を重ね、アルゼンチンを大きく引き離していく。セット終盤は山本がしっかりとスパイクでブロックアウトを奪って得点を挙げる。チャベスのレフトからのスパイクを山本&山村の2枚ブロックで仕留めた日本は、24−13と大量リードのままセットポイントを迎え、最後は山本のジャンプサーブで相手レセプションが乱れてネットを越えてきたボールを山村がダイレクトでたたき込み、25−13。日本がセットカウント1−1に追い付いた。
<第3セット>

 このセットも日本が先にペースを握る。石島のフェイントで先制すると、山本がライト攻撃でブロックアウトを奪って連続ポイントを挙げる。その後、2−2に追い付かれるものの、日本のブロックが相手の攻撃スピードをしっかりと捉えたタイミングで飛び、しぶとく守備からの攻撃を展開。山本のスパイクを軸にした攻撃で10−5とリードする。しかし、11−6から朝長&山村の速攻に連係ミスが起こると、山本のスパイクがブロックにあうなど嫌な流れとなる。日本は11−9と迫られた段階でタイムアウトを取り、越川に代えて荻野を投入。11−11で追い付かれるが、荻野のライト攻撃や相手のミスなどで15−11と再びリードを奪う。しかし、アルゼンチンもタイムアウトで流れを断つと、山本のライト攻撃を2枚ブロックで仕留めるなど、一進一退の展開へ持ち込んでいく。一時は流れを失いかけた日本だが、相手にリードを許す展開は拒み続けた。ラリーから山村が速攻を決めると、石島がサービスエースを決めて咆哮。さらに山本がライトから鋭角のクロスへスパイクを決めるなど、21−17とリードを保ちながら試合を進める。最後は、ペラルタの速攻をリベロの津曲がしぶとくつないだラリー戦を、石島がレフト攻撃でブロックアウトを奪って25−19。日本がセットカウント2−1と逆転した。

<第4セット>

 このセットは、アルゼンチンが先にリードを奪う。日本は先制点こそ奪ったものの、オカンポがレフトから繰り出す強烈なスパイクに苦しみ、4−7と3点差を追う展開。9−9で一時追い付くも、山本のライト攻撃が2本連続でミスとなるなど、流れを引き寄せられない。日本は10−11からセッターを朝長から宇佐美へスイッチ。しかし、粘ったラリーを物にし切れないなど、再び3〜4点差を奪われて苦しい展開が続く。14−19と離されたところで日本は再びセッターを宇佐美から朝長へ戻す。さらに15−19から松本に代えて清水を投入。しかし、流れを変えることはできなかった。点差に余裕を持ったアルゼンチンは、フェイントでブロックアウトを奪うなど巧みにポイントを重ねていく。山本のサーブがミスとなり、荻野のバックアタックがアウトに外れるなど、歯止めがきかず、最後は荻野のスパイクが2枚ブロックに捕まり、17−25。アルゼンチンが第4セットを奪い、フルセットへ持ち込んだ。

<第5セット>

 先制点は日本。石島がレフトからプッシュでブロックアウトを奪うと、コートを走り回って咆哮(ほうこう)する。さらに相手のミスと山本のライト攻撃で得点を重ね、3−0。アルゼンチンはたまらずタイムアウトを取る。しかし、日本の勢いは止まらない。山本がタイミングのずれたトスをプッシュして、ブロックアウトを誘う。さらに朝長が難しいワンハンドトスを上げると、山村が強引に速攻でねじ込むなど、しぶとく得点を重ねていく。さらに5−3から壮絶なラリー戦となると、津曲が飛び込みながらのワンハンド回転レシーブでつないでポイントを呼び込む。そして、山本がサービスエースを奪って7−3。会場は大「ニッポン」コールに包まれる。しかし、アルゼンチンもエルナンデスのサービスエースなどであきらめずに点差を追っていく。日本は11−7と4点差までリードを広げたが、松本の速攻が決まらない場面が2度あるなど苦しみ、終盤に13−13で同点に追い付かれた。日本はタイムアウトを取って仕切り直すが、山本のライト攻撃が決まらず、アルゼンチンが先にマッチポイントを迎えた。しかし、石島がレフト攻撃を決めてジュースに持ち込んだ。そこからアルゼンチンが2度、日本が1度マッチポイントを迎えたが、ともに相手の粘りにあった。しかし、相手のサーブミスで19−18と2度目のマッチポイントを迎えた日本が、最後は荻野のレフト攻撃によるブロックアウトで20−18として勝利。16年ぶりの五輪出場を決めた。

<了>

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