大阪エヴェッサが3連覇達成 王座を守り抜く

鈴木栄一

我慢のバスケットボールを貫いた大阪

bjリーグ3連覇を達成し、喜びを爆発させる大阪エヴェッサの選手たち 【Photo:杉本哲大/アフロスポーツ/bj-league】

 5月3日、4日に東京・有明コロシアムで行われたバスケットボール・bjリーグのプレーオフ。東西各カンファレンスの上位2チームが参加したプレーオフは、各カンファレンス同士の対戦となるセミファイナルが3日に行われ、第1試合で大阪エヴェッサがライジング福岡を、第2試合で東京アパッチが仙台89ersを下した。そして2連覇中の王者・大阪に対し、昨年の最下位から一転、頂上決戦まで進出した東京が挑んだ4日のファイナルは、試合開始から接戦となるも最後は地力に勝る大阪が66対56で勝利。リーグ初年度からの3連覇という偉業を見事に達成した。

 大阪、東京と東西の大都市をフランチャイズとするチーム同士の対戦となったファイナルは、試合開始から両チームとも激しいディフェンスを披露。そのため互いに攻撃のリズムを崩し、第1クオーターを終え、東京の16対12と予想外のロースコア展開となる。この流れは、第2クオーターに入っても変わらず。前半を26対26と、第1クオーターのスコアで終わってもおかしくない数字で試合を折り返す。第3クオーターに入ると、大阪は東京の外国人選手のファウルトラブルにつけこみ、ジェフ・ニュートン、リン・ワシントンといったインサイドの選手が得点を奪って44対41と先行する。そして最後の第4クオーター、突き放そうとする大阪に対し、東京も日本人選手の奮闘などで粘るが、終盤に痛恨の連続ターンオーバーを喫して万事休す。最後まで我慢のバスケットボールを貫いた大阪が勝利を収めた。

大阪を優勝に導いた外国人選手たち

 3連覇を成し遂げた大阪だが、最大の勝因は、マット・ロティック、リン・ワシントン、ジェフ・ニュートン、マイキー・マーシャルという外国人4選手の安定感だろう。東京のジョー・ブライアントヘッドコーチ(HC)が、「彼らはアメリカの大学1部でも有名校出身(ニュートンとワシントンはインディアナ大、ロティックはスタンフォード大、マーシャルはテキサス工科大)で、高いバスケットボールIQを誇っている。ここで違いが起こってしまった」と語ったように、彼ら4人ともプレーオフ2試合でファウルトラブルに陥ることもなく、堅実なプレーでチームを支えた。外国人枠のないbjリーグの中にあっても、大阪のアメリカ人カルテットは、随一の実力を誇っている。その中でも、チームリーダーのワシントンは、開幕6試合目に右ひざのじん帯、半月板までを損傷する重傷を負い、一時はキャリアの危機すらささやかれた中、シーズン終盤見事に復活。プレーオフ2試合で26得点、18得点を挙げ、初年に続き、自身2度目のMVPを受賞した。

 一方、敗れた東京にとって悔やんでも悔やみ切れなかったのは、貴重な得点源だった青木康平が出場時間1分で戦線離脱したこと。ベンチスタートながらコンスタントに二けた得点を挙げていた青木が、相手のひじを目に受け、眼底骨折の疑いという負傷で全くプレーできなかったのは余りに大きな誤算だった。特にファイナルは東京の得意なスタイルではない、ロースコアの重苦しい展開。個人技に優れた青木は、試合の流れを変えられる選手としてうってつけの存在だっただけに、ブライアントHCの「康平がいたら、試合に勝てたと信じている」と述べる気持ちも理解できるものだった。

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著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

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