DeNA・ソトが打線をより強力に 素顔は真っすぐで心優しきカリビアン

日比野恭三

最も印象に残っているのは場外弾

試合中は外国人選手の先輩・ロペスに相手投手の攻め方をよく聞くという。それを基に自分なりのプランを練って打席へ向かう 【(C)YDB】

 そのことをよく示していたのが、5打数4安打2本塁打の大活躍を見せた、8月12日の阪神戦だった。

「日本に来て最も印象に残っている打席は?」という問いに対してソトが挙げたのが、この試合の第4打席で放った場外ホームラン。心優しきカリビアンは「誰かに当たっていないか心配」とヒーローインタビューで漏らしたが、あの一発もまた、前日の試合では三振に抑えられていた岩崎優を攻略して放ったものだった。

 ソトは言う。

「ほとんどのピッチャーとは対戦したし、自分に対する配球にも慣れてきた。ただ、こちらが対応していくこともあれば、投手のほうが対策を練ってくることもあるからね。試合中にはチャモ(ロペス)とよく話している。『このピッチャーはどういう攻め方をしてくるのか』を聞いて、自分なりのプランを練ってから打席に入っているよ」

「日本に来て本当によかった」

 チームの誰もが、ソトはナイスガイだと口をそろえる。その評判を本人に伝えると、流暢な日本語で「アリガトウゴザイマス」と返してくれた。

 日本に来て1年目、普段から「スゴイ」「ワカラナイ」を連発し、ある焼き肉店の話題になった時には「ムッチャオイシイ」と笑顔を見せた。小川によれば、ソトは横浜スタジアムの食堂で“目玉チャーハン”を好んで食べ、「これを食ったらおれは打てるんだ」とジョークを飛ばしているという。

「日本のすべてが好きだ。街も、チームの雰囲気もね。気持ちよくプレーできているし、日本に来て本当によかったと思っている。ベイスターズはチームワークがあるし、勢いがついたら止まらないチーム。100%の力を出してCSに出られるようにがんばっていきたい」

残り31試合でCS圏内とは5ゲーム差。逆転のAクラス入りを果たすにはソトの活躍が不可欠だ 【(C)YDB】

 DeNAは日替わりオーダーが続いているが、ソトが2番に入ることも多い。小川曰く「初回からインパクトの強い攻撃になっていく。いっきに行くよという相手方へのメッセージでもある」。

 ホームラン数を30本に乗せた主砲の筒香嘉智や、最多安打争いを繰り広げている宮崎敏郎、本調子ではないながら実績のあるロペス。彼らの並びにソトという新たなピースが加わったことで、間違いなく打線の厚みは増した。

 あとは、個々の力をどう組み合わせ、つながりを生み、得点に結びつけていくかだけだ。

 冒頭で触れたとおり、残り31試合で3位まで5ゲーム差。逆転のCS進出に望みをつなぐためには、一つの打席も無駄にはできない。

(取材協力:横浜DeNAベイスターズ)

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著者プロフィール

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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