欧州仕様の選手になりつつある南野拓実 目標は“日本人らしくないサイドの選手”

安藤隆人

リーグ戦再開へ向け、順調な仕上がりを見せる

「今はすごく充実している」と語る南野。リーグ戦再開に向け、順調な仕上がりを見せている 【安藤隆人】

 現在、中断期間中のオーストリアリーグは2月11日(現地時間)にリーグ戦再開を迎える。南野拓実はリーグ2位に付け、連覇を狙うレッドブル・ザルツブルクで順調な仕上がりを見せている。

「(今は)すごく充実しています。ザルツブルクは小さくて、こじんまりとした街なので住みやすいですし、生活は問題ありません。2連覇を達成して、自分が周りに認められてきたと感じます。少しずつ街で声を掛けられるようにもなりました。もちろんまだ満足していませんが、手応えは感じますし、ここで存在感は示せていると思います」

 右サイドハーフと2トップの一角という2つのポジションをこなしている南野は、両方のポジションで存在感を放っている。

 リーグ中断前、最後の試合となった第20節のボルフスベルク戦ではFWとしてスタメン出場を果たした。前半6分に先制弾を挙げると、その2分後には2点目を挙げ、3−0の勝利に大きく貢献。この2得点で得点数を6に伸ばし、チームトップタイに躍り出た。

「言葉を話せるかどうかで全然違う」

練習試合でも勝利に貢献。南野は「言葉を話せるかどうかで全然違う」と語学の重要性を実感している 【安藤隆人】

 リーグ再開直前の2月5日に行われたノルウェーの強豪・ローゼンボリとの練習試合では、右MFでスタメン出場すると、サイドで効果的な仕掛けと献身的な守備を見せ、安定したパフォーマンスを披露。後半にはFWにポジションを移し、ストライカーとして本領を発揮した。

 1−0で迎えた76分、左サイドの元オーストリア代表MFクリストフ・ライトゲプにボールが展開された。「彼と目が合ったので、走れば絶対にボールがくると思いました。相手のセンターバック(CB)も前半からうちのFWの縦への動きにうまく対応できていなかった。(相手は)足も速くないし、ボールウォッチャーになる。カウンター気味の長いランニングを仕掛ければチャンスになると思っていました」と、語る南野は一気にゴール前のスペースに30メートルの猛ダッシュを見せる。

 南野が意図した通り、ライトゲプからグラウンダーのクロスが届き、CB2枚の間を破る形で抜け出すと、GKの動きをよく見て右足で合わせて、ゴールを奪ってみせた。このゴールで勝利を決定付けたチームは、2−0で完封勝利。リーグ再開に向けて弾みがつく勝利に貢献し、本人の言葉通りチーム内での存在感は増す一方だ。

「言葉を覚えたことで、よりチームメートとコミュニケーションを取りやすくなりました。試合中の細かい意思疎通ができるし、自分の主張を伝えることができる。やっぱりどこの国でも、その国の言葉を話せるかどうかで全然違う。チームが悪くなったときには言葉を話せない人間が一番、難しい思いをするということをすごく感じました。そうならないように自分の意識をしっかりと伝えるためにも、語学が必要だと痛感しました。(語学力は)まだまだですが、それ(話ができるようになったこと)は大きいと思います」

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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