糸井の穴を埋めるオリの大砲・吉田正尚 周囲の期待は急上昇も本人は「まだまだ」

ベースボール・タイムズ

紅白戦で快音も満足感なし

チーム初の紅白戦で快音を響かせた吉田正 【写真は共同】

「ぜんぜんダメでしょ。ミスショットばっかりですからね……、まだまだです」

 キャンプ3日目のフリー打撃。強烈なインパクト音を残して勢い良く舞い上がる打球、そしてサク越えの度にスタンドのファンから送られる拍手。ずば抜けた飛距離、周囲の注目度とは裏腹に、本人の口からは反省の言葉ばかりがついて出た。

「まだまだ技術が伴っていない。今年のキャンプのテーマは、すべての面でレベルアップすること。バッティングだけではなくて、守備も最低限はできないといけないし、迷惑をかけちゃいけない。まだまだやらないといけないことがたくさんある」

 オリックスの背番号34、豪快なフルスイングが魅力の和製長距離砲、吉田正尚。ドラフト1位で入団したルーキーイヤーの昨季は、けがから復帰した8月12日以降の42試合で10本塁打を放って中軸に定着し、プロ2年目となる今季はさらなる飛躍が期待される。4日に行われたチーム初の紅白戦に紅組の「4番・ライト」で出場して2本の2塁打を記録しても、本人に浮かれた様子はまったくなし。まったく満足していない。

打撃コーチ陣がほれ込む逸材

「まぁ、あいつにしたら確かにミスショットが多かったかもね」

 吉田が反省の弁を並べたキャンプ3日目のフリー打撃を、高橋光信1軍打撃コーチはそう振り返る。だが、すぐさま「今の段階で『満足した』っていうよりよっぽどいいよ。まだまだ上があるってことだからね」と頼もしげに語る。飽くなき向上心とともに、吉田の打者としての能力を高く買っている。

「パワーもあるし、センスもある。魅力はやっぱりフルスイングだけど、一番感心するのはタイミングの取り方。どんなに体が大きくてパワーがあってもタイミングを取るのが下手な選手もいるけど、あいつは違う。うまい。遠くに飛ばすということと同時にタイミングの取り方にも天性のものがある」

 同じく1軍打撃コーチの下山真二も、身長173センチと小柄ながらチームの未来を担うスラッガーの稀有な才能にほれ込む。

「あれだけバットをしっかり振れる選手はプロの中でもそうはいない。背は小さくても、下半身、体幹が強くて、軸となる芯がしっかりしている。ただ振るだけじゃなくて、そのスイングの力をしっかりとボールに伝えることができる。現役時代も含めて僕もいろんな選手を見てきましたけど、吉田が人とは違うものを持っているのは間違いない」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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