糸井の穴を埋めるオリの大砲・吉田正尚 周囲の期待は急上昇も本人は「まだまだ」
台湾での爆発を今季につなげる
周囲の期待をよそに本人は謙虚に練習に打ち込む 【ベースボール・タイムズ】
「台湾ではトレーニングも積みながら試合に出ていた感じでしたね。技術面と体力面の両方に重きを置いて、結果よりも内容を重視していた。成績的には良かったですけど内容はまだまだ」
ここでも自らに対して厳しい言葉を並べる吉田。自らの代名詞であるフルスイングについても「まだまだです」と言う。下山コーチも「技術面でまだ足りない部分があるし、欠点もある」と認めるが、同時に「その欠点を克服する練習を今、しっかりとできていると思いますし、1年間試合に出れば間違いなくいい成績を残せる」と太鼓判。高橋コーチも「台湾でいい結果が出て本人も自信になったはず。あの打撃を続けてもらいたい」と期待を寄せる。
昨季後半戦の「43試合10本塁打ペース」を143試合に換算すると33本塁打、台湾での「18試合6本塁打ペース」だと143試合で48本塁打……。期待はいや応なしに膨らむ。
ブレない心で1年間を戦い抜くこと
そして、その反省はしっかりと今季へとつなげている。下山コーチは「腰を痛めたということは、自分のスイングに1年間耐えることのできる体がまだできていなかったということ。その部分は、まだまだ鍛えないといけない」と尻をたたきながら、「その反省を踏まえて、今年は練習に入る前の準備から終わった後の身体のケアといった部分も見直して、やるべきことをしっかりとやっている。僕たちも彼を甘やかすことなく、厳しく練習させていきたい。これから先、何十年もプロで活躍してもらいたいからね」と目を細める。
昨季最下位からの巻き返しを図るオリックスにおいて、プロ2年目の23歳にかかる期待は大きい。FAで糸井嘉男が移籍したことも拍車をかけているが、その喧騒の中でも、本人の心はまったくブレない。
「糸井さんが抜けたからどうこうということではなくて、まずは自分がやるべきことをしっかりとやること。しっかりと鍛えて、しっかりとした結果を残したい」
誰もがそのフルスイングに誰もが目を奪われ、一目見るだけでほれ込む。本人の理想はまだまだ先にあるが、その理想に一歩ずつ近づきながら周囲からの期待値に実績が伴った時、オリックスの背番号34は日本を代表するスラッガーになっているはずだ。その時が2017年でないとは、誰も言えない。
(三和直樹/ベースボール・タイムズ)