レスターの躍進を支えたGPSデバイス テクノロジーがスポーツに与える影響
日本でもGPSデバイスの導入が進む
レスターの優勝で話題となったGPSデバイス(写真では岡崎らが着用)を、日本でも導入するクラブが増えている 【Getty Images】
そのテクノロジーの波は日本にも押し寄せてきており、Jリーグでも柏レイソルやセレッソ大阪などがカタパルト社のサポートを受けている。日本での普及を進めているのが、同社の日本・韓国担当を1人で務めているビジネスマネージャーの斎藤兼氏だ。斎藤氏はリバプール大学でフットボールMBAを取得後、15年11月から同職を務めている。今回はデータ活用の新たな形を提供する仕掛け人に、カタパルト社のソリューションを導入するメリットや効果、斎藤氏の描くテクノロジーの導入によって変わるスポーツの未来像を聞いた。
導入するメリットは何か?
「オプティムアイ S5」の写真。背中に付けるGPSデバイスでさまざまなデータを計測できる 【スポーツナビ】
「僕たちのシステムをなぜ使うのかというと、“評価基準”を作りたいからです。例えば、ある選手に関するデータを見る場合、過去の実績と比較したり、チーム平均と比較したときにどれくらい差があるのかを見ます。そうすると、その選手は今日のトレーニングでいつもどおりのパフォーマンスを発揮できたのか、または何が足りなくて発揮できなかったのかが具体的に分かります。そうした客観的なデータを用いた“評価基準”をコーチやスタッフに与えることにより、けがのリスクを削減したり、試合でパフォーマンスを100パーセント発揮できる体を作ることができます」
選手ごとに数値を測定し、負荷を個別にコントロールしてけがのリスクを削減する 【提供:Catapult Sports】
「練習の量に関しては『走行距離』。強度に関しては『高強度で走った距離と割合』。あとは『爆発的な加速や減速をした回数』を見ます。なぜかというと、それぞれの動きによって負担の掛かる筋肉が異なるからです。走行距離は腰やひざ、すねに影響を与え、高強度で走るとハムストリングのけがに影響を与えやすい。加減速に関しては太もも、ふくらはぎ、あとは股関節に影響が出ます。
それぞれの指標をコントロールすることによって、けがのリスクを削減できるんです。それぞれのパーソナルなデータを見ていくことができるので、その選手にとって今日の練習は負荷が高かったのかどうか。各選手に合わせて深堀りして分析し、コントロールできるようになることが大きいですね」