まだまだ“青山学院大時代”が継続か 駒大OB神屋氏が第93回箱根駅伝を解説
青山学院大が3年連続となる箱根駅伝制覇で、今季の大学駅伝3冠も同時達成 【岡本範和】
青山学院大は、復路のメンバーを7区に田村和希(3年)、8区に下田裕太(3年)、10区に安藤悠哉(4年)へと変更し、磐石の態勢で完全優勝を狙った。
復路スタート時には33秒差だった2位・早稲田大との差は、6区の小野田勇次(2年)が一気に2分8秒まで広げる。7区の田村は、残り4キロを切ったところでペースが落ち、早稲田大の井戸浩貴(4年)に1分21秒差まで縮められるが、8区の下田が区間賞の好走で再び大きくリード。9区の池田生成(4年)、10区の安藤も差を広げ、3連覇&3冠の偉業を達成した。
今回の箱根駅伝について駒澤大の元エースで、現在は東京経済大学駅伝監督の神屋伸行氏に、青山学院大の優勝の要因や、今後の箱根駅伝の展望などを聞いた。
圧倒的なチーム力を持っていた青山学院大
8区に下田を回せるほどのチーム力の厚さで、9区の池田も初箱根ながら関東インカレ優勝の経験を持つほどだった 【写真:アフロスポーツ】
復路にも不安があったと言っていましたが、結局のところ、力のある選手を配置し、全体を通して地力に勝る、圧倒的な強さを示したと思います。
――優勝のキーマンになったのは?
最終結果を見ると、青山学院大と10分差以内でゴールした大学は3校しかありません。そういう意味ではこの3校以外、平均して1人1分以上のタイムを離している計算になるので、キーマンが誰かというより、チームの戦力が厚かったと言えます。
主力である下田選手を8区に回せる余裕もありますし、9区の池田選手は今回が初めての箱根駅伝。それでも関東インカレのハーフマラソンを2度優勝している実績がある選手ですので、それほどの選手が初めての箱根という程、戦力が充実していました。
このほかにも4年生の茂木亮太選手、1年生の鈴木塁人選手、アンカーに登録されていましたが当日変更となった中村祐紀選手(3年)と、もしかしたらBチームを作っても上位を争えるのではないかというぐらいチーム力がありました。本当に強いという印象を見せ付けられました。
――選手の走りの技術で青山学院大の強さは?
トレーニングの部分でぶれない体幹や体軸を作っていると言われていますが、やはり足腰や体つきを見ても、しっかり走りこんで、体を絞り込んでいます。また、本番で最大パフォーマンスを出すだけの体を作っている印象です。
それに加え、選手1人ひとりの意識やモチベーションが高く、本来なら箱根駅伝を走るのは10人しかいませんので、レギュラー争いをしている選手以外は意欲を持ち続けるのが大変かと思います。ですが、この青山学院大ではモチベーションが衰える感じがせず、やはりチーム作りのうまさや視野の広さ、世界を見据えての練習やマラソン練習など、ほかのチームが持っていない手法でチームを高めているところが他校とは違うと思います。