C・ドレクスラー氏がNBAの今を斬る! ウォリアーズのデュラント獲得は「失敗」
リーグ屈指のダンカーとして活躍したドレクスラー氏に、現在のNBAを語ってもらった。写真は現役当時のもの 【Getty Images】
そんなレジェンドが、B2(Bリーグ2部)の岩手ビッグブルズの応援大使に就任し、11月に来日。現在のNBAについて熱く語ってくれた。
NBAはまだ戦術的なプレーが多い
息子(アダム・ドレクスラー)が岩手ビッグブルズでプレーすることになったから、彼のプレーを見ようと思ってね。これまで日本の他の都市には何度か訪れたことがあるけれど、皆フレンドリーだし優しいし、素晴らしい国だ。いつも滞在を楽しんでいるから、初めての岩手がどういったところか見てみたかったのもある。
――現在のNBAはよりペースが速くなって、得点も増えていますが、チャンピオンリングを手にするために重要なことは?
80〜90年代は走るバスケットが多かった。ロサンゼルス・レイカーズやボストン・セルティックスは皆、走っていた。そうやって勝ってきたんだ。だから今走っていると言われてもそうは思わない。まだまだ戦術的なプレーが多いと思うよ。5対5のプレーが多いしね。ゴールデンステイト・ウォリアーズなんかはすぐに外から打たれてしまうから、従来の5対5では太刀打ちできない。ロケッツはどのチームよりもペースを上げれば成功するだろう。ただキャブス(クリーブランド・キャバリアーズ)を倒すのは難しいだろうね。レブロン・ジェームズは未だ世界最高の選手だし、おそらくイーストを勝ち上がってくるだろうね。
――イーストはキャブスが堅いですか?
おそらくね。レブロンと仲間たちは強いよ。トロント・ラプターズなんかも強くなるだろうけれど、やはりレブロンが中心だろうね。ウエストはロケッツやロサンゼルス・クリッパーズがわれわれを驚かすかもしれないし、サンアントニオ・スパーズは常に強いチームだし、ウォリアーズ以外は実力が拮抗(きっこう)しているね。
――レブロンが世界最高の選手なのは周知の事実ですが、連覇をするために彼以外でキーとなる選手は?
昨季優勝できたのはカイリー・アービングの活躍が非常に大きい。彼はリーグ最高のPG(ポイントガード)になれると思う。得点もできるし、ディフェンスも向上したからね。ケビン・ラブは期待ほどの活躍はしていないけれど、良い選手なのは間違いない。トリスタン・トンプソンが汚れ仕事をやってくるし、J・R・スミスはフリーにさせるとシュートを決めてくる。多くのオプションを持っているよ。リチャード・ジェファーソンもベンチにいるしね。(タイロン・)ルーヘッドコーチは良いチームを率いているね。王者として、ケミストリーも自信も備わっているから、倒すのは難しいだろうね。
――ウエストはウォリアーズとスパーズ、現時点ではどちらが一枚上手か?
現時点では誰も分からないし、気にしていないよ。5月、6月になったらその話をすべきだ。この2チームはウエスタンの中心だし、倒すのは簡単ではない。ウエスタンを勝ち上がるのは1チームしかないから、楽しみだしシーズンを通して見ていきたいね。
――NBAファイナルに駒を進めるのは?
イーストはキャバリアーズ。ウエストはロケッツに勝ち上がってほしいね。ブレイザーズも気になるけど。後はどうでもいいや。
ウォリアーズは“やりすぎた”
意見はシンプルだよ。ウォリアーズは前人未踏の73勝を成し遂げた。なぜ選手を入れ替えたのか。それはありえないことだ。デュラントは非常に素晴らしい選手だけれど、73勝したチーム編成を変えることはしないね。実力もあって、ケミストリーも良く、チャンピオンだった。これ以上強くなるのか、と考えたらデュラントの獲得は失敗じゃないかと思う。
――ウォリアーズはやりすぎた?
やりすぎたね。デュラントは良い選手だけど、2年契約で獲得する価値があったのか? これまでのチームだと7〜8年はほぼ同じメンバーでプレーすることが可能だった。デュラントが優勝したいのは理解できるし、それは皆そうだけれど、サンダーこそ彼のチームだと思っていたし、彼が残っていればリーグ最高のスターだっただろう。自分だったら移籍しなかっただろうし、どちらのチームも間違いを犯したと思うよ。個人的な意見としてね。
――ここ数試合、インサイドが弱い気がするのですが?
リムプロテクター(リング付近を防御する選手)がいない。アンドリュー・ボーガット(現ダラス・マーベリックス)がいなくなったのは大きい。ディフェンスの大きな部分だよ。
――セカンドユニットのケミストリーもまだまだという感じがします。
ベンチの選手に支払うサラリーが無くなったからね。マリース・スペイツ(現クリッパーズ)はチームを去ったけれど、彼はベンチから出てきて非常に貢献度の高い選手だった。フェスタス・イジーリ(現ブレイザーズ)もいなくなったし、ショーン・リビングストンはまだいるけれど、リアンドロ・バルボサ(現フェニックス・サンズ)もいなくなった。チームとしては痛いね。
そしてウォリアーズにとって重要になってくるのは、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンが、デュラントが加わった上で昨季ほど活躍できるのかということだ。リーグ最高のシューター2人がデュラント加入によって何かを変える必要があるのか。デュラント抜きで73試合勝っているからね。