C・ドレクスラー氏がNBAの今を斬る! ウォリアーズのデュラント獲得は「失敗」

WOWOW

リーグ屈指のダンカーとして活躍したドレクスラー氏に、現在のNBAを語ってもらった。写真は現役当時のもの 【Getty Images】

 1980〜90年代にかけてポートランド・トレイルブレイザーズ、ヒューストン・ロケッツに所属し、屈指のダンカーとして活躍したクライド・ドレクスラー。オールスターに10度選出され、95年にロケッツの一員としてNBAで優勝、92年のバルセロナ五輪で金メダルを獲得するなど数々の栄光に輝き、マイケル・ジョーダン最大のライバルとも言われた。

 そんなレジェンドが、B2(Bリーグ2部)の岩手ビッグブルズの応援大使に就任し、11月に来日。現在のNBAについて熱く語ってくれた。

NBAはまだ戦術的なプレーが多い

――来日の理由は?

 息子(アダム・ドレクスラー)が岩手ビッグブルズでプレーすることになったから、彼のプレーを見ようと思ってね。これまで日本の他の都市には何度か訪れたことがあるけれど、皆フレンドリーだし優しいし、素晴らしい国だ。いつも滞在を楽しんでいるから、初めての岩手がどういったところか見てみたかったのもある。

――現在のNBAはよりペースが速くなって、得点も増えていますが、チャンピオンリングを手にするために重要なことは?

 80〜90年代は走るバスケットが多かった。ロサンゼルス・レイカーズやボストン・セルティックスは皆、走っていた。そうやって勝ってきたんだ。だから今走っていると言われてもそうは思わない。まだまだ戦術的なプレーが多いと思うよ。5対5のプレーが多いしね。ゴールデンステイト・ウォリアーズなんかはすぐに外から打たれてしまうから、従来の5対5では太刀打ちできない。ロケッツはどのチームよりもペースを上げれば成功するだろう。ただキャブス(クリーブランド・キャバリアーズ)を倒すのは難しいだろうね。レブロン・ジェームズは未だ世界最高の選手だし、おそらくイーストを勝ち上がってくるだろうね。

――イーストはキャブスが堅いですか?

 おそらくね。レブロンと仲間たちは強いよ。トロント・ラプターズなんかも強くなるだろうけれど、やはりレブロンが中心だろうね。ウエストはロケッツやロサンゼルス・クリッパーズがわれわれを驚かすかもしれないし、サンアントニオ・スパーズは常に強いチームだし、ウォリアーズ以外は実力が拮抗(きっこう)しているね。

――レブロンが世界最高の選手なのは周知の事実ですが、連覇をするために彼以外でキーとなる選手は?

 昨季優勝できたのはカイリー・アービングの活躍が非常に大きい。彼はリーグ最高のPG(ポイントガード)になれると思う。得点もできるし、ディフェンスも向上したからね。ケビン・ラブは期待ほどの活躍はしていないけれど、良い選手なのは間違いない。トリスタン・トンプソンが汚れ仕事をやってくるし、J・R・スミスはフリーにさせるとシュートを決めてくる。多くのオプションを持っているよ。リチャード・ジェファーソンもベンチにいるしね。(タイロン・)ルーヘッドコーチは良いチームを率いているね。王者として、ケミストリーも自信も備わっているから、倒すのは難しいだろうね。

――ウエストはウォリアーズとスパーズ、現時点ではどちらが一枚上手か?

 現時点では誰も分からないし、気にしていないよ。5月、6月になったらその話をすべきだ。この2チームはウエスタンの中心だし、倒すのは簡単ではない。ウエスタンを勝ち上がるのは1チームしかないから、楽しみだしシーズンを通して見ていきたいね。

――NBAファイナルに駒を進めるのは?

 イーストはキャバリアーズ。ウエストはロケッツに勝ち上がってほしいね。ブレイザーズも気になるけど。後はどうでもいいや。

ウォリアーズは“やりすぎた”

――ケビン・デュラントが移籍してウォリアーズがスーパーチームを形成したことに賛否両論ありますが、あなたの意見は?

 意見はシンプルだよ。ウォリアーズは前人未踏の73勝を成し遂げた。なぜ選手を入れ替えたのか。それはありえないことだ。デュラントは非常に素晴らしい選手だけれど、73勝したチーム編成を変えることはしないね。実力もあって、ケミストリーも良く、チャンピオンだった。これ以上強くなるのか、と考えたらデュラントの獲得は失敗じゃないかと思う。

――ウォリアーズはやりすぎた?

 やりすぎたね。デュラントは良い選手だけど、2年契約で獲得する価値があったのか? これまでのチームだと7〜8年はほぼ同じメンバーでプレーすることが可能だった。デュラントが優勝したいのは理解できるし、それは皆そうだけれど、サンダーこそ彼のチームだと思っていたし、彼が残っていればリーグ最高のスターだっただろう。自分だったら移籍しなかっただろうし、どちらのチームも間違いを犯したと思うよ。個人的な意見としてね。

――ここ数試合、インサイドが弱い気がするのですが?

 リムプロテクター(リング付近を防御する選手)がいない。アンドリュー・ボーガット(現ダラス・マーベリックス)がいなくなったのは大きい。ディフェンスの大きな部分だよ。

――セカンドユニットのケミストリーもまだまだという感じがします。

 ベンチの選手に支払うサラリーが無くなったからね。マリース・スペイツ(現クリッパーズ)はチームを去ったけれど、彼はベンチから出てきて非常に貢献度の高い選手だった。フェスタス・イジーリ(現ブレイザーズ)もいなくなったし、ショーン・リビングストンはまだいるけれど、リアンドロ・バルボサ(現フェニックス・サンズ)もいなくなった。チームとしては痛いね。

 そしてウォリアーズにとって重要になってくるのは、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンが、デュラントが加わった上で昨季ほど活躍できるのかということだ。リーグ最高のシューター2人がデュラント加入によって何かを変える必要があるのか。デュラント抜きで73試合勝っているからね。

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