ハリルホジッチ「とにかくメンタル」 W杯最終予選 イラク戦の前日会見

スポーツナビ

「全選手のモチベーションが高い」と前日会見で語ったハリルホジッチ監督 【スポーツナビ】

 サッカー日本代表は6日、埼玉スタジアム2002でワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第3戦となるイラク戦に臨む。試合を翌日に控えた5日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が会見に臨んだ。

 2試合を終えて、1勝1敗の日本はグループBで3位につける。ハリルホジッチ監督は選手に向けて「とにかくメンタルだ。それが違いを生み出す」と前日に話したことを明かした。海外組が13人招集されており、選手によっては帰国したばかりでコンディション調整が難しい状態にあるが、指揮官は「全選手のモチベーションが高いし、疲労があるとしても皆プレーしたいという気持ちでやっている」と語った。

全選手のモチベーションが高い

 勝利だけではなく、すべてのことをやらなければならない。われわれが勝つための準備だ。時々は困難な状況に直面するが、何人かは理解できない、もしくは理解したくないというスタンスだろう。日本が勝つためにすべての準備をするという言葉だけにとどめておく。

――前回の試合はコンディションに苦労したと思う。今回はどれくらい調整できているという手応えを得ているのか。

 各自のフィジカルコンディションが違う状態だ。何人かは飢えている状態で、何人かは疲れている。2日前に到着した選手もフレッシュな状態ではあるが、遅れて来ている。より疲れているかもしれない。しかし、われわれはすべてのことを準備しなければならないし、疲労回復にもトライしなければならない。フィジカルコンディションについてはメディカルスタッフがしっかりやってくれている。ただ、トップパフォーマンスにはならないと思う。

 短く、正確なスピーチを昨日したが、とにかくメンタルだ。それが違いを生み出すのだと選手に言っておいた。明日の昼までしっかりと考えて、最終的な(メンバーを)決断しようと思う。ただ、全選手のモチベーションが高いし、疲労があるとしても皆プレーしたいという気持ちでやっている。それからあとは、監督と選手の信頼関係だ。これは会話をすることで解決していくことだと思う。トレーニングをせずにプレーすることは不可能だ。

――W杯2次予選初戦のシンガポール戦(0−0)とW杯最終予選の初戦となったUAE戦(1−2)はかなりプレッシャーがかかったと思う。明日のイラク戦はそれ以上のプレッシャーを感じているか。

 最終予選には常にプレッシャーがある。そのプレッシャーによって、選手はより戦う意識になると思う。そして最終予選では素晴らしい試合をするだけではだめだ。W杯のために、本当に素晴らしいと言われる試合をしなければならない。チームのために、選手のために、国のために。政治や経済も関わってくるだろう。野心があるのであれば、プレッシャーは少し受けなければならないと思う。誰もわれわれにプレゼントを渡してくれるわけではない。勝利を探しにいかなければならない。最終予選突破を勝ち取らなければならないのだ。

 日本ではそれほどプレッシャーがないと思う。それが良いことなのか悪いことなのかは分からない。私はさまざまなチームを率いてきたが、プレッシャーはこの10倍はあった。チームの強い気持ち、強さは困難な状況で発揮するものだ。本当に皆が高いところを意識してやっていかなければならない。この先にはもっともっと強いチームが待っている。最終予選でも厳しい状況になれば、もっともっとプレッシャーがかかってくるだろう。W杯本大会に出ればもっとプレッシャーがかかる。W杯本大会では、まずグループリーグの3試合がある。1億人以上の人が見ているし、もっともっとプレッシャーがかかる。大会が進むにつれて、プレッシャーはさらにかかるだろう。フレンドリーマッチではない。

 プレッシャーがあることはいいことだ。より強く、よりモチベーションを上げてくれる。何人かの選手はプレッシャーに対する準備ができていないかもしれない。その場合は、私が監督として励ますということだ。経験がある選手たちはこのようなシチュエーションをコントロールすることができるだろう。若い選手はまだ準備ができていないかもしれないし、プレッシャーの罠に引っかかるかもしれない。

イラクは困難なことを仕掛けてくる可能性がある

――イラクについての印象は? 日本代表のサッカーが最近それほどレベルが高くないように見えるが、それはなぜだと思うか。(外国人記者)

 イラクについては知っている。ここ最近の7〜8試合を見た。このチームは十分に若いと思う。チームの約80パーセントが五輪を経験している。彼らがどのようなプレーをするのかは完璧に把握している。この罠にかかる可能性も十分にあるだろう。われわれに困難なことを仕掛けてくる可能性がある。

 日本に関して、このチームのリズムが落ちているかは分からないし、私はそう思っていない。なぜかというと1年前(昨年6月)にイラクに4−0で勝ったからだ。日本が素晴らしい試合をした。私はサッカー面ではなく、別の部分で困難を感じている。イラクはかなりの長い期間合宿ができたのだが、われわれにはその時間がない。疲労回復の時間もそこまでない。ただ、日本代表にはまだまだ最終予選を突破するだけのクオリティーがあると思っているし、明日は勝つと思う。

――今回はミーティングの回数を減らしたりと、試合に向けたアプローチの仕方を変えている。この点の手応えはどうか。(小谷紘友/フリーランス)

 回数を減らしたのはだれから聞いた?

――メンバー発表の時にも言っていた。

 その確認はまだできていない。

――選手も減ったと言っていたが。

 選手がしゃべるのはいいことだ。これに関しては、選手には少し話をした。この2日間でW杯に向けた準備をしなければならない。先ほど言ったように素晴らしい試合ではなく、本当に素晴らしい試合をしなければいけない。15分のミーティングですべてを説明するのは不可能だ。2日間でたくさんのことをしなければならない。選手が疲労しているのも知っているし、本来ならばトレーニングさえもできない状況だ。12時間かけて飛行機で移動してきて、ジョギングだけでもかなり大変なことだ。

 それからグラウンド外の準備もだ。まずはミーティングルームで割く時間を大切にしなければいけない。いろいろなことを説明しなければならないのだから。相手のことをしゃべらなければならないし、われわれのことも話さなければならない。もちろん、こちらに着いたばかりの選手は(ミーティングが)長いと感じるかもしれない。ただ、私は監督として、このやり方を続けるつもりだ。短くするようトライはするけれども、試合前には全選手に相手が何をするか、われわれは何をするのかを完璧に把握した状態にしたい。

 どのように守備をするのか。どのように攻撃するのか。このチームの長所はどこか。FKに関してもだ。それには時間が必要だ。時には長い時間をかける必要があるし、時には短く終わることもある。もちろん、選手によっては長い、疲れたと感じるかもしれない。何人かの選手は習慣になっていない。なぜかというと、大体のミーティングは試合前に10〜15分やって終わり、というのが習慣化されているからだ。ただ、私はまったく違うアプローチをしている。ディテールを選手に話している。個人も、グループもだ。それには本当に時間がかかる。これに関しては変更できないと私は思っている。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント