切磋琢磨し、成長を続ける森山ジャパン 2大会ぶりのU-17W杯出場権獲得に挑む

安藤隆人

タレントぞろいのU−16日本代表

2大会ぶりのU−17W杯出場権獲得に挑むU−16代表はタレントぞろいのチームだ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 9月15日から開幕するAFC U−16選手権。来年のU−17ワールドカップ(W杯)出場権を懸けたアジア最終予選となるこの大会は、インドの地方都市・ゴアで開催される。森山佳郎監督率いるU−16日本代表は、茨城県内で直前合宿を行い、ゴアへ発った。

 グループBの日本は16日にベトナムとの初戦を戦い、19日にキルギス、22日にオーストラリアとまみえる。16チームのうち、各組上位2チームが8チームによるノックアウトステージに進出し、上位4チームが来年インドで行われるU−17W杯への出場権を獲得。インドが準決勝に進出した場合は、準々決勝で敗退した4チームで5位決定戦が行われ、勝者にU−17W杯の切符が与えられるレギュレーションだ。

 2年前に行われた前回大会は準々決勝で宿敵・韓国に敗れ、4大会連続で続いていたU−17W杯の出場権を逃している日本。「U−17W杯を経験することで、もっともっと経験値が上がるし、成長につながる。選手たちには『成長速度を上げろ』と常に言っていますが、こっちもそれを著しくできる舞台を用意してあげないといけない。何が何でもW杯に出るという気持ちでやりたい」と森山監督は語っている。今回は是が非でもU−17W杯の出場権をつかまんと、チームのモチベーションは非常に高い。

 今回、重要なタスクに挑むU−16日本代表は非常にタレントぞろいで、森山監督によって“闘争心”を植え付けられたチームになっている。それはチーム内競争にも表れており、U−16日本代表の大きな原動力となっている。

守備陣は高さのある選手をセレクト

CBの瀬古(左)は182センチの長身でビルドアップと展開力が魅力の選手 【安藤隆人】

 選ばれたメンバーは23人。守備面では高さのある選手をセレクトした。センターバック(CB)は182センチの瀬古歩夢、180センチの小林友希、186センチの監物拓歩の3人(180センチの関川郁万も選出されていたが、けがにより離脱)。

「大きい選手は本当に少ない。まず育成の中で、高1で試合に絡んでいる大きいCBがいない。大きくて動ける選手がいない中で、何とかかき集めた4人です(※結果的に3人)」と森山監督が語ったように、大型選手はどうしても成長に時間がかかる。だが、アジア最終予選を戦う上で、ロングボールを駆使してくるチームは必ずある。ゆえに高さは必要不可欠な要素だ。

 今回のグループリーグを見ても、キルギス、オーストラリアは高さと強さを持った相手。中でもオーストラリアは前回のAFC U−16選手権のグループステージ第3戦で対戦しており、そのときは相手のカウンターの前に後手に回って、2−4で敗戦。この負けにより準々決勝の相手が韓国となり、韓国戦では相手エースのイ・スンウ(バルセロナ)のスピードに乗ったドリブルに切り崩されて0−2で敗れた。

 3人のCBの中でファーストチョイスになるのは瀬古と小林だ。瀬古はビルドアップと展開力が魅力で、小林はカバーリングと裏への対応がうまく、かつ左利き。この2人のコンビネーションはかなり良好で、このコンビが中央でどっしりと構えることで、全体のバランスが安定する。監物はGK谷晃生に次いでチーム2番目の高さを誇り、まだ安定感はないが「ずっと我慢して呼び続けた。まだ足りない部分が多いけれど、背が高くて、ヘッドもできて左利きでスピードという武器はある」と、指揮官は期待を寄せる。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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