伊藤華英さんもハマるラグビーの魅力 初心者でも楽しめる観戦ポイントを解説
「初心者のためのラグビー楽しみ方講座」と題し、トークを展開した元競泳日本代表の伊藤華英さん(左)と日本ラグビー協会トップリーグ委員長の太田治氏 【スポーツナビ】
選手がレフェリーに謝るのはラグビーだけ
講演は、ラグビー初心者のために作った競技紹介のアニメーション映像を見ながら進行した。まずポジションを紹介する映像が上映されると、伊藤さんは「前線でボールを動かす役割もあるし、力持ちかつ技術も必要なフッカーが好きです」と話して賛同を集めた。元日本代表プロップでもある太田氏は「プロップは同じチームよりも相手のチームと仲良くなる」など、各ポジションごとの行動や性格に関する秘話も披露し、会場を沸かした。もし「どのポジションが好き?」と聞かれたら、「縁の下で体を張り、性格も優しいフォワードのポジションを言った方がいい」(伊藤さん)とまとめた。
続いて、ラグビー初心者がつまずくルールに話題が移る。伊藤さんがラグビーを観ていて驚いたことの1つが、選手がレフェリーに謝るということだという。いろいろな競技に接してきた伊藤さんでも、「選手がレフェリーに謝るのはラグビーだけ」と感銘を受けた。進行を務めるラグビージャーナリストの村上晃一氏によると、もともとラグビーはレフェリーがいなかったため、自分たちが信頼している人に見てもらうようになったことからレフェリーが誕生。そのため、「信頼している人に文句は言わないのが基本的な考え」であることを明かし、伊藤さんも納得の様子だった。
参加者といっしょにスクラムを組み実演しながらオフサイドの説明をする太田氏(左から2人目) 【スポーツナビ】
人間性や一生懸命さなど魅力が多い
「競泳は、1人のためにプールのレーンが1コース用意されて、自分と向き合っていきます。極端な話、私たちは自分だけのことを考えていればいいです。対して、ラグビーは必ずしも自分の思い通りなプレーができなくても前に進んでいく。いろいろな人がぶつかりながら前に進むのが当たり前ということに、固まった脳みそが溶けたというか、私はラグビーを見て救われたんです」
同じフィールド内にさまざまなポジションがあり、それぞれの立場・役割を全うすることが勝利につながる。刻々と変わる状況を判断し、ぶつかり合いのプレッシャーに負けないようにするラグビーに、伊藤さんはのめり込んでいったと強調した。
ルールなど分かりづらい面はあるものの、伊藤さんは「選手の人間性や一生懸命さ、ラグビーを広めようとしている力に心を動かされています。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)で、ラグビーの良さが日本中に知れ渡ったと思う反面、もっと改善すべき点、もっと選手が活躍する場面があっていいと思いました。ラグビーはすばらしいジェントルマンのスポーツであると、もっと広めていければと思います」と、さらなるラグビー普及に期待を寄せた。