手倉森監督「単なる強化試合ではない」 U−23日本代表 ガーナ戦前日会見
練習前には熊本地震の被災者支援のための募金活動が行われ、多くの人が練習場に足を運んだ 【写真は共同】
リオデジャネイロ五輪を8月に控え、ガーナ戦は本大会の初戦で対戦する仮想・ナイジェリアとなる。手倉森監督は「身体的な特徴や彼らのしなやかなプレー、足が伸びる(ように感じる)ディフェンスのリーチの長さ。それに対応しながら、なるべく早く適応する。そして彼らのスキをついていく。そういうゲームに持ち込めればと思います」とガーナ戦の意図を語った。
また、この試合は「九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ」と銘打たれ、収益は義援金として被災地に送られる。指揮官は「単なる強化試合ではない」と語り、「熊本地震の被害に遭われた方々、被災地に対してわれわれが希望となれるような試合をしなければいけない」と選手に話したことを明かした。
期待、思いをくんで、明日は戦わないといけない
リオ(五輪)の本大会に向けての強化試合。ただし、「単なる強化試合ではない」という話を今日、選手たちにはしました。リオでのわれわれの可能性を、明日来てくれるサポーターに示さなければいけないということプラス、熊本地震の被害に遭われた方々、被災地に対してわれわれが希望となれるような試合をしなければいけないという話を選手たちにはして、練習を行いました。
そういうかけられている期待、思いをくんで、明日は戦わないといけない。そしてたくさんの思いをくんで戦ったあとに、必ず成長できるものが明日のゲームの中にある。そういう話をしました。サッカー日本代表として、そして、いち人間として、明日そういう思いをピッチの上で選手たちと一緒にぶつけたいなと思っています。
――練習前に行われた募金活動の感想は?
東日本大震災を経験して「慣れている」なんて思われたくないし、慣れちゃいけないことだと思っています。この悪天候の中でも募金があることを分かって、今日の前日練習に足を運んでくださった方々に感謝したいですし、メディアの皆さんも募金してくださって感謝しています。
何よりも明日多くの人を集めて、それがまた被災地への義援金になるということですから。人と人のつながりで熊本を元気にできればというプロジェクトの中で、九州の佐賀にそういう(思いが)集まってきているなということを実感しています。
――アフリカ勢との対戦は初めてになりますが、特に何を確認したいか?
ガーナ国内のプレミアリーグでしっかりと出場できている、そうそうたるメンバーが来てくれました。3分の2は年の近い選手たちで、3分の1がオーバーエイジというメンバー構成です。非常にタフなゲームを強いられるだろうなと思いますし、期待通りのゲームができればと思っています。
組織で対抗すべき戦いですが、(相手の)フィジカル(の強さ)とゴールに向かう本能的なプレーに対して、自分たちのリアクションが必要になってくる。そこでのゲームコントロール力をしっかり発揮したいですし、もしオープン(な展開)にさせられたときにも、球際、身体能力のところでどこまで通じて、何を工夫しないといけないのかということをぜひ選手たちに体感してもらいたいなと思っています。そういうゲームになればいいなと思います。
――5月下旬のトゥーロン国際大会のメンバーは別になるという話が以前にあったが、今回しかチャンスのない選手に多めの出場時間を与えるといった形になるのか?
まず、明日しっかり希望になるために勝つこと。日本としてアフリカ勢に効くオーダーというのをまず考えないといけない。その次に、トゥーロンへの活動に関してのメンバー構成を考えないといけない。さらにその次に、Jリーグ(の試合)が13日に組まれているクラブの選手たちの時間配分を考えないといけない。
いろいろな条件を考えていくことになりますけれど、まずはそのプランが全部遂行できるようなゲームの入り方を(したい)。自分たちがそうしていくんだ、というゲームの組み立て方、こちら側がアクションを持った強化試合になるだろうなと思います。でも、相手の出来によっては、こちらが苦しめられかねない。アクシデントにも対応できるようなオーダーもまた考えないといけないだろうな、と。とにかくここにいる23人全員でまとまって、ひとつの勝利を取りにいくことに集中したいと思います。