躍進の白井、内村に続いて代表決定なるか? 4日開幕、NHK杯体操のポイントは

日本体操協会:遠藤幸一
 体操選手にとっての夢舞台、五輪への切符を争う第55回NHK杯体操が4、5日の両日にわたって開催される。前回のロンドン大会同様、リオデジャネイロ五輪の代表枠は「5」。通常の世界選手権(6名)より1枠少ないため、夢舞台への門はいつも以上に狭く険しい。

 男子はすでに、2015年世界選手権の個人総合で6連覇を果たした内村航平(コナミスポーツ)の代表入りが決定。2枠目は、5日に行われるNHK杯男子競技で、内村を除く個人総合最上位者に与えられる。

全日本で見えたNHK杯の鍵

白井(右)の全日本2位という成績は、内村(左)をも「超番狂わせ」と驚かせた。この勢いのまま代表入りを勝ち取れるか 【写真:アフロスポーツ】

 NHK杯は4月に開催された全日本選手権の得点を持ち点として、競技が実施される。例年は安定した競技力を評価すべく、全日本2日間の得点合計の半分を持ち点にしてきた。しかし今年は一発勝負の集中力が重視され、決勝の得点100%のみを持ち点とするように変更された。そのため全日本決勝は、予選と比べ物にならない緊張感に包まれていた。

 各選手の全日本2日間の得点を比較してみると、決勝の得点が予選と同じかそれ以上だった選手は男子が14名、女子は7名。一方、得点を下げたのは男子21名、女子17名。男子は60.0%、女子は70.8%が決勝で得点を伸ばせなかった。

 種目別に見ると、男子は「あん馬」と「鉄棒」、女子は「平均台」と「ゆか」で全体的に得点を下げており、NHK杯でも代表選考争いにおいて鍵になる種目と言えるだろう。

1枠めぐり白井、加藤らが争う

 全日本を終えた時点で、代表2枠目にもっとも近い位置にいるのが白井健三(日本体育大)だ。白井は、これまでの日本にはあまりいなかった「弱点種目を得意種目でカバーし、さらに貯金を生み出す」選手である。全日本では内村に次ぐ2位に入り、3月のアメリカンカップで日本人2人目となる個人総合優勝を果たした加藤凌平(コナミスポーツ)を0.300点上回った。これにより、それまであまり想定されていなかった、白井のNHK杯終了時点での代表入りに、現実味が増した。

 いずれにしても、全日本個人総合決勝の得点で見ると、その1枠は白井、加藤に加え、齋藤優佑(徳洲会体操クラブ)、神本雄也(日本体育大)、田中佑典(コナミスポーツ)に絞られた感がある。

 上記を除く代表枠残り3名の決定は、6月に開催される全日本種目別選手権を待たなければならない。そのうち2名は、今回のNHK杯において5位以内または12位以内に入ることを選考条件にしているので、飛び抜けた得意種目を持たないオールラウンダーたちにとって、少なくとも12位以内に入ることが代表入りのための必須条件となっている。この12位争いは混とんとしており、今大会の隠れた見どころの一つである。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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