【ドラゴンゲート】 ヴェルセルクに亀裂 名古屋で金網マッチ パンチ富永は引退回避 キッドはOG加入

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ヴェルセルクに亀裂。5.5名古屋で6Way金網マッチを行うことに 【横田修平】

 プロレス団体ドラゴンゲート「THE GATE OF PASSION 2016」が7日、東京・後楽園ホールで開催され、超満員札止めとなる1850人の観衆を集めた。

 この日のセミファイナルでは「パンチ富永負けたら即引退スペシャル6人タッグマッチ」として、パンチ富永、Eita、ドラゴン・キッドが組み、「ヴェルセルク」の土井成樹、Kotoka、問題龍と対戦。

 前回3月2日の後楽園大会をインフルエンザで欠場した富永に対し、「体調管理が悪い。プロ意識がない」と土井がプロ失格の烙印を押し、今回の「即引退マッチ」を提案し、実現することとなった。

Eitaの熱烈ラブコールでキッドとタッグ結成

引退危機にさらされたパンチ富永は、なんとか回避 【横田修平】

 自分がいない間に進退の危機に陥った富永。これを助けるのは、「ディア・ハーツ」の解散でユニット無所属となったドラゴン・キッドと、そのキッドに「弟子入りさせて下さい」と迫るEita。「対ヴェルセルク」という建て前で組んだ3人ながら、どこか違う思惑が交錯する中、試合はヴェルセルクの奇襲から試合が始まる。

 ヴェルセルクの3人は富永を集中砲火し、いきなりKotokaがカルデラを繰り出し即効で試合を終わらせようとするが、これはなんとか富永が耐える。土井は執拗に富永を狙っていくが、Kotokaにタッチすると、Kotokaの無駄な「ヴェー」という奇声に、「何やってんだ。お前、しっかりせんかい!」と、不協和音が見え隠れする。

 試合が中盤に差し掛かる頃には、Eitaとキッドが華麗な連携を見せ、場外への同時ケプラーダ、EitaがKotokaをコーナーで肩車した状態からキッドがウラカン・ラナ、問題龍にダブルでの低空ドロップ・キックと、息の合った攻撃を見せる。

 最後は富永とKotokaがエルボーでやりあうと、富永が打ち勝ち、PTキックで止めを刺そうとするが、これはよけられ急所攻撃で倒れる。そこへKotokaがカルデラを狙うが、これを富永がよけると、EitaがすかさずNumero unoに捕らえると、Kotokaがたまらずギブアップ。富永の引退は免れる結果となった。

Eitaのラブコールが実り、ドラゴン・キッドとタッグ結成 【横田修平】

 試合後、土井はKotokaの情けない姿に呆然となり、リング中央でKotokaの顔面を張って、倒れたところにストンピングを落とす。そして憮然とした表情でリングを去っていった。

 一方、勝利したEitaは「キッドさん、今日は一緒に組めてうれしかったです。僕はパンチの引退マッチよりも、タッグを組むことを待っていました。もう覚悟はできていますよ。おれを弟子にして下さい!」と改めて弟子入りをアピール。この言葉にキッドは戸惑い、弟子入りをはやし立てる会場のファンに「これがプロレスの悪いところ。みなさん空気読みすぎですよ!」とあくまでも弟子入りを拒否。それでも会場の「弟子入り認めろ!」という雰囲気に耐えかねたキッドは「弟子とか師匠とかっていうのは重いから、そういう上下関係とか、上からなのは苦手。だから、おれはお前から盗みたいし、学びたいからケースバイケースでやっていけばいいじゃん」と、あくまでもタッグパートナーとしてやっていくことを認めた。

 これを拡大解釈したEitaは、「つまりオーバー・ジェネレーション加入ということですよね?」とユニット入りも認めたとみなすと、それは違うと否定しようとしたキッドだったが、再び観客の反応には抗えず、ユニット入りも承諾。これを聞きEitaは「オーバー・ジェネレーション、誰もベルト持ってないんですよ。2人きりのベルト、欲しくないですか? ツインゲート、いっちゃいましょう!」と早くもタッグのベルトに照準を合わせた。

 この2人の盛り上がりにより、完全に蚊帳の外となったパンチ富永だったが、結局、引退回避の喜びをマイクでアピールすることなく、リングを去ることになった。

鷹木とYAMATOに決定的亀裂

望月はジミー・マサアキとして、ジミーズの売り子役で登場 【横田修平】

 メインイベントでは、前回の後楽園大会で「わっしょい、わっしょい」と盛り上がった望月成晃とジミーズのジミー・ススム、ジミー・神田、ジミー・クネスJ.K.S.が、タッグを結成。望月は一夜限りの「ジミー・マサアキ」としてジミーズ入りし、ヴェルセルクの鷹木信悟、YAMATO、サイバー・コング、谷嵜なおきと対戦した。

 望月は前回の予告どおり「ジミーズトレインの売り子から」ということで、売り子としての場内アナウンスから、安っぽい駅弁販売の売り子スタイルでジミーズメンバーと登場。パンフレット、Tシャツなどを観客に配りながらの入場となった。

 リングで選手コールが進むと、今回はジミーズが奇襲。いきなりの場外戦ではそれぞれが壁攻撃、いす攻撃など荒れた展開になる。最初にリングに戻ったのはYAMATOとクネス。YAMATOがクネスを痛めつけているところに、鷹木がリングに戻ってくると、YAMATOに対して邪魔だとばかりにタックルを食らわし、YAMATOが場外に落とされる。

鷹木とYAMATOに決定的な亀裂 【横田修平】

 試合序盤からメンバー間に亀裂が入るが、なんとか谷嵜が鷹木やYAMATOをなだめながら試合が進む。しかし試合途中で、鷹木がYAMATOに対して誤爆、さらに意図的にショルダータックルなどを食らわすとYAMATOの怒りが頂点に。鷹木にドロップキックを食らわし、完全に仲間割れを起こすと、そのすきに望月が鷹木に三角蹴り、ススムがエクスプロイダー、神田がダイビングエルボードロップ、そしてクネスが光の輪で仕留めにかかるが、これはサイバーがカット。

 鷹木は息を吹き返し、ススムにMADE IN JAPANを食らわすが、これは望月がカットし、逆にススムがジャンボの勝ち!でヴェルセルクのメンバーを全員なぎ倒す。しかし、YAMATOがススムをギャラリアで捕らえ、ここからフィニッシュに入ろうとするが、サイバーのパイナップルボンバーが誤爆。これでフラフラになったところをジミーズがたたみかけ、最後はススムのジャンボが完璧に決まり、3カウントを取られた。

サイバーは問題龍に破れ結局金網マッチに参加

サイバーは鷹木サイドにつくことに 【横田修平】

 YAMATOの敗戦にセコンドについていた土井が怒りを示し、サイバーにバカタレスライディングキックを狙うが、これをKotokaがカラーボックス攻撃でカット。そこに割って入った谷嵜を鷹木がなぎ倒すと、リング中央で鷹木とYAMATOがにらみ合う。すると、サイバーがYAMATOを投げっぱなしジャーマンで投げると、鷹木、サイバー、Kotokaの3人が手を組み、共闘していく姿勢を示す。

 鷹木は「おい、土井、YAMATO、谷嵜! 俺とKotokaとサイバーがつくということだ。まあこれからよろしく頼むわ」と宣言すると、これに対し土井はサイバーに噛み付き「おい、サイバー! この木偶の坊が! てめえの足りない頭でもそっちにつくというのがどういう意味か分かるか!」と悪態をつく。しかしサイバーは悪びれもせず、「おいコラ、お前はほんま甘っちょろいな。『長いものに巻かれる』って分かってんのか? 信悟は現ドリームゲート王者だぞ? チャンピオンにたて突くなんて100年早いわ! 恥を知れ、恥を知れ!」と逆に土井の態度をしかりつける。

 これに怒った土井は3対3の対戦を要求すると、ここで八木本部長がリングに登場。「何だか面白いこと、大変なことになってきたじゃねえか。ヴェルセルク内で2つの派閥に分かれて、こんだけもめて、こじれたら、話し合いではどうこうならないっぽいな。リング上できっちり戦ってけじめをつけてもらおうか」と提案。そこで出たのが、5.5愛知県体育館大会で行われる恒例の「金網デスマッチ」で決着をつけるという話になる。

 するとこの提案に駄々をこねるサイバーに対し、蚊帳の外にいた問題龍が「お前、金網に登れねえからびびってんだろ? きっちり、入れよ」と促すと、サイバーはその指摘した問題龍に、代わりに入れと言い合いになる。

 すると八木本部長は、「どっちだっていいんだよ。お前らが直接対決して負けた方が入れ。じゃあ今ここでやるか?」と試合を促すと、そのままゴングが鳴らされる。

 サイバーは戸惑いながらも、パイナップルボンバー、ツームストン・パイルドライバーと一気に畳み掛けるが、パワーボムを狙ったところを問題龍が回転エビ固めで丸め込み、そのまま3カウント。結局、サイバーが金網に入ることが決定した。

鷹木とYAMATOが次回後楽園で一騎打ち

来月の後楽園大会でシングルマッチを行う鷹木とYAMATO 【横田修平】

 これで名古屋で金網に入る選手は、鷹木、Kotoka、サイバー、YAMATO、土井、谷嵜に決まると、八木本部長がルールを説明。「今年の金網マッチは例年通り、負け残りの選手が髪の毛かマスクを失う6Wayマッチでやってもらう」と伝えると、さらに「もう一つ付け加えさせていただく。昔から腑に落ちない点があったんだが、負けてマスクを失う、髪の毛を切るのはいい。ただ、髪の毛を切った選手は数カ月後には戻っているんだよ。世の中には髪の毛を伸ばしたくても伸ばせない、そんな奴もいるんだよ」とやや自虐的な説明。そして「だから今年は坊主の選手は1年間、つまり、2017年の5月5日まで坊主をキープ。3ミリ以下にしようか」と過酷な条件を付け足した。

 このルールをリングの外で聞いていた望月は「すばらしい提案。今年の金網はヴェルセルクのみか。これはいいな。毎年さ、坊主になって悲しい思いになるけど、これなら誰がなっても愛知大会はハッピーエンドだな」と他人事として笑っていると、今度は土井が怒り顔で「何を自分が関係ないと言っているんだよ? これじゃ終わらないよ。これはジミーズ、ドラゴンゲート全選手に関わることになるからな! ヴェルセルクの問題だけじゃないよ。お前らにもリスクを用意したるからな。全員巻き込んでやる。俺らは道ずれにしてやる」と、ヴェルセルクだけでは終わらない展開に持っていくと宣言した。

 その後、鷹木がマイクを持つと「ヴェルセルクは“狂戦士”の集まりじゃなかったのか? 最近、お前ら3人はバカなファンにキャーキャー言われて、ちゃらちゃら格好つけて面白いのかよ? (YAMATOに対し)お前のチリチリ頭を坊主にしてやるから覚悟しておけ」と挑発すると、この言葉には土井が反応し、「格好つけて、格好いいからいいやんか! (Kotokaに対し)そこの僕! 格好がつかない僕。何がヴェルセルクの狂戦士や! お前は戦力外や! 2軍や! 準レギュラーや! お前の立ち位置を決めてやる。お前はリングに上がる資格なんてない! 俺らのセコンドで勉強をしておけ!」とKotokaに対し、強烈なダメ出しをする。

 さらにYAMATOがマイクを握り、「土井ちゃん、俺はあんな小僧に興味はねえ。鷹木信悟、やっぱりお前とはうまくいかなかったようだな。ここは東京。金網の話をしてもしょうがねえだろ。来月の後楽園、『KING OF GATE』の1回戦、鷹木とYAMATO、それまでにお互いどういう立場になっているのか、どういう髪型になっているのか分からないけど、楽しみだな」と、この日に発表されたドラゴンゲート・シングルNo.1決定戦『KING OF GATE』のリーグ戦で、来月の後楽園大会でシングルマッチを行う2人の間に火花が散った。

最後はジミーズが後楽園大会を閉めた 【横田修平】

 これでリングを去ったヴェルセルクのメンバー。締まりないまま興行が終わりそうになったが、ジミーズのメンバーが観客の声援によってリングに戻ることになると、改めてメインで勝利したことをアピール。そしてひとしきり望月の売り子姿に突っ込みを入れた後、最後は恒例の望月を含めた「ジミーズトレイン」で大会をしっかりと閉めた。
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