“野獣”藤田和之がRIZIN参戦 石井慧を破ったプロハースカと対戦
「RIZIN.1」に“野獣”藤田和之(中央)の参戦が発表された 【スポーツナビ】
藤田参戦に高田延彦統括本部長は、「こういう会見の場に藤田和之が座ると、明らかに空間の空気を変える独特のオーラ、エネルギー、この場にふさわしい雰囲気を携えている。これは初めてPRIDEに出てもらった時の記者会見の時とまったく変わっていない」と年月を重ねても衰えを知らない藤田を評価した。
また榊原信行実行委員長も「ようやく名古屋のメインカードを決めることができた」とメインイベントに置くことを明言。そして「こうしてRIZINいう舞台に機会を頂いてスタートする中で、一緒に次の歴史を刻みたい」と、藤田の活躍に期待している。
藤田本人は「いろいろあったが、“いき場所”を求めて、ずっと戦い続けてきた。ですが、やはり藤田は“戦”を選び、ここに戻ってきた。後はその覚悟をリングでお見せするだけ」と、これまで経験してきた格闘人生の終着点である“戦”に戻ってきたと強調する。
対戦相手については、年末のトーナメントで準優勝し、1回戦では石井慧を下したチェコ出身のイリー・プロハースカ。外国人の“RIZIN三銃士”として期待される選手の一角であり、高田統括本部長も「新旧の活きの良いファイター」対決として、胸躍らせていた。
以下は、会見でのコメント。
高田本部長「RIZINの今に強烈なスパイスを落としてくれる」
高田信彦統括本部長 【スポーツナビ】
高田信彦統括本部長
榊原信行実行委員長
高田信彦統括本部長
「こういう会見の場に藤田和之が座ると、明らかに空間の空気を変える独特のオーラというか、エネルギーというか、この場にふさわしい雰囲気を携えていますよね。これは初めてPRIDEに出てもらった時の記者会見の時とまったく変わっていない普遍的なスタイルと言いますか。内面から出てくるものなのでしょうが、自信も含めてでしょうが、今日、久々にお会いして、なんか「おじさんになった」とか、「少し衰えたな」というネガティブな空気は感じませんでした。
私の第1声は、「あの頃から変わっていないね」と。試合をやり続けている身体の強さ、メンタルの強さ、発言や生き方のブレない一貫したスタイル。われわれはお会いすると安心するし、リスペクトするしかないという思いを確認しました。
今回の相手は昨年行われたRIZINトーナメントで、決勝まで進んだプロハースカ選手。体重契約では若干差があるのですが、双方納得しています。
私は個人的に、藤田選手が最初にドーンと、とんでもないインパクトを示したのは、2000年のPRIDEグランプリ。5月1日でした。あの当時、“霊長類ヒト科最強”と呼ばれた、マーク・ケアーを藤田選手が見事に完封したんです(判定で3−0の勝利)。あそこから藤田選手の存在が、この世に広がり、鳴り響きました。それから1年して、アンディ・フグのメモリアル大会(01年8月19日)、K−1対猪木軍の忘れもしないミルコ・クロコップとの一戦。止めていなければ、執念でタックルが入っていましたよね。流血した結果、あのような採点(1R0分39秒、ドクターストップ)になりましたけれども、あのまま続いていればなと。
そしてもう1つ、PRIDE26(03年6月8日)。藤田選手はこの話をするのが嫌かも分かりませんが、“皇帝”エメリヤエンコ・ヒョードルとの一戦です。ヒョードル選手の手と足が、藤田選手のパンチ一発で、ぐらんぐらんに揺れました。あと1つ、2つ、藤田選手が何か事を起こせば、最後、勝ち名乗りを受けたのは藤田和之だったんではないかなと思います。(1R4分17秒 スリーパーホールドで敗れる)
レジェンド・ファイターである藤田選手が、このRIZINの記念すべき第1回に出て来てくれる。今、ネット上では“三銃士”と呼ばれているプロハースカ選手は、未来を作っていく、大化けしてもらいたい選手なのですが、完膚なきまでに「ふざけんな」と、叩き潰してくれる姿を見たいです。あるいは、プロハースカ選手にしてみれば、美味しいビッグネームを叩き潰して、チェコに凱旋する。この絵を見てみたいです。
そういう意味では、「新旧の活きのいいファイター」対決。レジェンドの衰えを感じない藤田選手のファイトが、RIZINの今に、これから強烈なスパイスを落としてくれる戦いになるんではないかと思います」
榊原実行委員長「一緒に次の歴史を刻みたい」
榊原信行実行委員長 【スポーツナビ】
「ようやく名古屋のメインカードを決めることができました。僕は個人的に、07年4月8日、まさにPRIDE最後の大会で、最後を閉めたのが、藤田和之選手の試合でした。(対ジェフ・モンソン戦)
あれがUFCとPRIDEの開戦を告げる試合でした。僕らが期待していたのは、これからPRIDEとUFCがいろいろな形で相見える、それぞれの選手が戦う舞台があると信じていました。僕もそう信じて、PRIDEをUFCに渡したのですが、残念ながら、PRIDEはその後、行われることがありませんでした。
今でも強烈に印象に残っているのは、あの日、純白のTシャツで、胸に「PRIDE」のロゴをつけ、「PRIDE」の入場曲で出てきた。あの時の、PRIDEで一喜一憂したファンと共に、あの日の空間を呼び起こすには、この男に帰ってきてもらうしかないと、昨年の年末から思っていました。そしてRIZINとして生まれ変わって進めていくには、藤田和之なくしては歴史は刻めないと思っています。
僕の中では、あの日の興行が「神興行」と呼ばれていて、そこまでの試合がすべてKO決着。そこで最後、藤田和之が勝って閉めてくれれば、僕自身の最後の興行として何の悔いもないと思っていましたが、負けてしまい悔しかった。UFCとPRIDEがぶつかり合う第1戦で、気持ちよく藤田に勝って欲しかった。だからモンモンとした感じのままいたんですが、こうしてRIZINという機会を頂いてスタートする中で、今度一緒に、次の歴史を刻みたいと思っていたので、今日この日を迎えられたことを、個人的にも、あの当時PRIDEを支えてくれたファンにも、胸を張って藤田選手が帰ってきたと伝えたいと思っています。
今回は、イリー・プロハースカという、新しいRIZINに生まれつつあるニュージェネレーション。そのハングリーな若者を、藤田和之がどう料理するか。どんな試合を見せてくれるか期待しています。是非、ファンにもこの試合を見届けてほしいと思っています」
藤田「RIZINのイメージは“黒”。これから日が昇る」
藤田の対戦相手は、RIZIN“三銃士”の一人と称されるプロハースカ 【スポーツナビ】
「さんざんいじられて、体中がとてもムズムズしていますが(苦笑)、ありがとうございます。
これまで、いろいろとありました。あれからいろいろありましたが、“いき場所”を求めて、ずっと戦い続けました。ですが、やはり藤田は“戦”を選び、ここに戻ってきました。後は、その覚悟をリングでお見せするだけです。よろしくお願いします」
【記者との質疑応答】
――プロハースカ選手は石井選手を秒殺していますが?
藤田 それはそれで、自分としては受けて立つというか、今のMMAの“三銃士”というぐらい期待されている選手。上り始めている選手と対戦できることが、俺にしてはすごく興奮しています。
【スポーツナビ】
藤田 RIZINのイメージは“黒”。まだ暗い、これから日が昇っていくリング。新しいスターもこれから生まれると思います。年末は自分も他のイベントに出ていたのでちゃんとは見ていません。ですが、石井の試合は映像で見ました。結果は残念でしたけど、映像で出ている通り、彼にはまだまだ伸びシロがあるので、まだまだこれからだなと思っています。期待しています。
――高田本部長に質問。藤田選手が「生き場所を求めて」と発言されたが?
高田本部長 藤田選手の言葉は意外と意味が深いからね。ここに上がったことに対して、「行き場所」ってことでしょ? だから、おそらく踏み台にはならないよということでしょうね。藤田選手のタイプで言うと、ここで、プロハースカ選手をがっつり仕留めて、RIZINのハードルになっていくというか。
すごくぼんやりですけど、“三銃士”には育ってもらいたいし、化けてもらいたいけど、もう1面あるんですよね。ここにいる藤田選手に、“三銃士”を苦しめてもらいたい。試合を通して教え込むというか、そこで彼らがいろいろなことを吸収して、さらに頑張って成長してほしい。ですから、ジャストアイデアですが、藤田vs.プロハースカ、その次はvs.(テオドラス・)オークストリス、そしてvs.(ワジム・)ネムコフ。“三銃士”を1人ずつやっつけていってほしい。
藤田 “いき場所”という(言葉の意味)は考えてください。
――生きる場所という意味では?
藤田 考えて下さい。奥が深いので(笑)。
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