羽生結弦、ソチ五輪で誓った再出発 写真で切り取るフィギュアの記憶

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 選手の数だけそれぞれの物語がある。笑顔、涙、怒り……こうした表情とともにこれまで多くの名場面が生まれてきた。後世まで脳裏に刻んでおきたいフィギュアスケートの記憶を写真で切り取る。

「羽生結弦 ソチ五輪男子FS(2014年)」

【Getty Images】

 五輪で金メダルを獲得すること。それは多くのアスリートにとって夢であり、目標とするところだろう。血のにじむような努力を重ね、さまざまなことを犠牲にしたうえでつかみ取ったものだからこそ、その価値は計り知れないものがある。金メダル獲得の瞬間、そこにあるのはほとんど笑顔、涙、歓喜だ。しかし、羽生結弦(ANA)は複雑な表情をしていた。いや、むしろ彼は悔しがっていたのだ。

「金メダルを取った実感が湧かないというのもあるんですけど、やっぱりベストな演技をできなかったことが大きいです。最初の4回転サルコウで転倒して、トリプルフリップもうまくいかなかった。後半につれて足が重くなって、体力もなくなり、マイナスな気持ちも出てきました」

 前日のSPでは史上初の100点超え。ミスのない完璧な演技で首位に立った。しかし、FSではプレッシャーもあり、冒頭の4回転サルコウで転倒するなど精彩を欠いた。あとに滑った2位のパトリック・チャンにミスが出なければ逆転されていたかもしれない。それでも、もう少し喜んでもいいのではないか。周囲のテンションと対照的な表情を見せる19歳の心境が気になった。
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