16年のF1はよりスリリングな展開へ チーム戦略の幅が広がる新タイヤルール
1月25日、26日にポールリカールでウエットタイヤテストが行われ、フェラーリのベッテル(写真)らが参加した 【Getty Images】
このウエットテストに参加したのは、フェラーリ、レッドブル、そしてマクラーレンの3チーム。当初、テストドライバーや若手ドライバーの起用がささやかれていたが、ピレリ側のリクエストから、フェラーリはキミ・ライコネン(1日目/99周)とセバスチャン・ベッテル(2日目/134周)、レッドブルはダニエル・リカルド(1日目/99周)とダニール・クビアト(2日目/113周)、そしてマクラーレンは昨シーズン直後のアブダビテストでステアリングを握ったストッフェル・ファンドーネが両日(89周/127周)とも担当した。彼は唯一レギュラードライバーではないが、昨年のアブダビテストではトップタイムをマークした逸材だ。
今回のウエットタイヤテストはピレリが主催したものなので、3チームともにピレリが準備したプログラムに沿って走行を行った。状態としては、マシンは15年シーズン仕様をそのまま使用。サーキットに散水し、完全なウエット路面状態を作り上げ、溝が少ないインターミディエートではなく、フルウエット用タイヤを装着した状態で、各車1回のスティントで10周前後走行する方式で行われた。より効率良くデータを取るためか、3チームそれぞれのマシンも、前後10秒づつの間隔を空けて走行するように指示されていたという。
選択肢が増えたタイヤルール変更
15年のルールではレースウイークに使用できるタイヤセットは、ピレリが指定したプライム(硬い側)7セット、オプション(柔らかい側)6セットの合計13セットだった。16年シーズンも合計13セットは変わらないのだが、ピレリが事前に準備するタイヤが従来の2種類から3種類(ハード、ミディアム、ソフト)に増える。さらに、ピレリは予選Q3用にいちばん柔らかいソフトタイヤを指定し、決勝レース用に2種類のタイヤを指定。つまり13セット中3セットは、ピレリが指定したタイヤとなる。残りの10セットはチームが自由に3種類のタイヤから選択できる。ただし、この3種類をサーキットに入ってから選択することはできない。タイヤを製造するピレリの供給力問題や運搬費用を抑えるため、チームはピレリが指定した期日(約3週間前と言われている)までに使用するタイヤセットを選択することが義務づけられている。もしチームが期日までに選択しなかった場合は、FIAがタイヤを選択し、それを使わなければならない。
さらにチームはピレリがレース用に指定した2種類のタイヤのうち、必ず1種類をレースで使用しなければならない。例えば、ピレリがレース用タイヤにミディアムとハードを指定した場合、Aというチームはミディアムとハードを使用。Bというチームはソフトとミディアムを使用。という具合に、タイヤ選択に差が出てくるわけだ。
また、レギュレーションでは3種類を使用してはいけないとは記載していないので、その気になればCというチームがソフト、ミディアム、ハードと3種類のタイヤをレースで使用することも可能となる。一方、Dというチームがソフトだけを使用、Eというチームがミディアムもしくはハードだけを使用するといった具合に、1種類のタイヤだけでレースすることは、昨年同様に禁止されている。もちろん、雨が降り、ウエットタイヤを使用した時点で、2種類のドライタイヤをレースで使用しなければいけないというルールは解除される。