長谷川監督「一つになって戦った結果」 天皇杯決勝後 G大阪、浦和の監督会見
G大阪が天皇杯2連覇を達成。長谷川監督は「一つになって戦った結果」と語った 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
G大阪の長谷川健太監督は「選手とスタッフが一つになって戦った結果」とチーム全体での勝利であることを強調。また、「負けたところから選手やチームというのは学習して成長していく」と語り、ナビスコカップ決勝で鹿島アントラーズに0−3で敗れた経験が大きかったと今季を振り返った。
一方、敗れた浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、「敗戦についてはがっかりしている」と語ったが、「小さい一つ一つのことを積み重ねていくこと。それが来季の成功につながると思っている」と気持ちを切り替えた。
試合後、長谷川健太監督のコメント
長谷川 もっと素直にうれしさがこみ上げるかと思っていましたが、意外とホッとした感じの方が強いです。今季を振り返ると、ゼロックススーパーカップでの浦和戦(2−0)からスタートして、天皇杯決勝でまた浦和と対戦しました。最初と最後のゲームで素晴らしい浦和を相手に勝って優勝できたことについては選手に感謝したいと思いますし、G大阪を応援し続けてくれたサポーターに心から感謝したいと思います。
今日のゲームですが、右サイドバック(SB)に何かあったらどうしようかなと。SBがいない中、左SBだったらコンちゃん(今野泰幸)がスムーズにできるだろうけれど、右SBは昨年一度やらせてあまり良いイメージがなかったので、そこをどうしようかと考えていたらそのとおりになった(苦笑)。右SBの米倉(恒貴)がけがをしてしまって、コンちゃんが急きょ入ることになり、井手口(陽介)がボランチに入りましたけれど、コンちゃんが最後まで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、井手口も試合の入りは良くなかったけれど、時間の経過とともにきちっと仕事をこなしてくれた。その意味では、井手口が今シーズンしっかり成長してくれたことが、この試合の大きなポイントになったと思っています。
3−6−1という(ミハイロ・)ペトロヴィッチ監督の十八番(おはこ)のシステムですけど、川崎フロンターレ、サガン鳥栖、サンフレッチェ広島と戦ってきたので、相手の特徴というか、どこをケアしなければならないかはある程度予想できていました。今日は柏木(陽介)がいないということで、サイドからパワーのある攻撃を仕掛けてきて、最後の時間帯でズラタンが途中出場してからは、危ない場面が何度もありました。そんな中でけがから戻ってきた内田(達也)がしっかりプレーをしてくれた。
この天皇杯、スタート(メンバー)もベンチも含めて、しっかりと勝利に向けて仕事をしてくれたことが、優勝という結果になったと思います。ベンチに、本来ならば入れたかった明神(智和)を入れられなかった。明神も理解してくれたと思いますが、今日のベンチに入れなかった二川(孝広)や明神、あとリンスなんかもしっかりトレーニングを積んでくれた。素晴らしいチームで1年間やれて、最後の最後で天皇杯を獲ることができたので、みんなに感謝したいと思います。
セットプレーは準備していた
決勝点となったセットプレーについて、長谷川監督(左)は事前に準備していたことを明かした 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
長谷川 浦和は柏木が準決勝でけがをしたあとに青木(拓矢)を入れました。そうなるとダブルボランチ(青木と阿部勇樹)が2枚とも下がって(3バックの)両脇の選手がローテーションで上がってくる。サイドからの攻撃の圧力が上がることを想定していました。こちらが1点取った後、相手のサイドから押し込んでくる選手に圧力を感じてこちらのラインが下がってしまったので、ハーフラインでもう少し前線の選手がプレッシャーをかけてラインを高くするように話をしました。後半は槙野(智章)があまり上がってこなかったですけれど、上がってくるとパトリックのスピードと推進力を生かしやすくなっていたと思います。
2点目を取って勝ち越してからは(倉田)秋の守備力と(宇佐美)貴史の推進力を生かすことで、受け身になるのではなく、攻めようとしてメンバーを少し入れ替えました。柏木がいる場合、レッズは真ん中と外を自在に使い分けてくるのですが、柏木がいないとよりサイドの圧力が高まってくると思っています。後半は那須(大亮)が若干前めのポジションを取り、対応が難しくなった部分もありましたけれど、選手が理解して最後まで集中力を切らさずにやってくれたと思っています。
──2点目は2人(遠藤保仁とパトリック)の意図がぴったり合ったというよりも、チームとしてしっかり準備していたのか?(大住良之/フリーランス)
長谷川 決勝ではセットプレーが重要な意味を持つということで、そこがポイントになるということは選手にも伝えました。この中2日という日程の中で、(コーチの)マルキーニョスやシジクレイが中心となって相手の攻守についてきちっと分析し、その準備を選手がしっかり理解してくれた結果が決勝点につながったと思っています。
──今季はナビスコカップとCSで2位、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)もベスト4だった。天皇杯というタイトルを獲得した意義をどう捉えているか?
長谷川 分からないです。「負けなくてよかった」というホッとした感じの方が強いですね。これで主要タイトル3つとも2位だったら立ち直れないなと(笑)。10個シルバーを集めても金にはならないんで。金色のメダルを最後に取れたのは、選手とスタッフがひとつになって戦った結果。最後は金正也が空振りしましたけれど、ああいう運にも助けられた部分もあったのではないかと思います。
──今日も普段スタメンではない選手をスタメンにしたり、出場機会のない選手を起用して、その選手が活躍することが多かった。どうやって選手を見極め、どんな言葉をかけて送り出しているのか?
長谷川 「スタメンでもいけるだろう」ということで、選手を信頼して送り出しています。難しい局面もありましたけれど、それなりの覚悟でベンチに入れているので、そこは選手を信頼して使っています。内田は今日が久々のゲームでしたけれど、「1年の思いを全部出してこい」と言って送り出しました。井手口にしても長沢(駿)にしても、今季は厳しい戦いを経験していますので、それほど心配はしていませんでした。