バルセロナの圧勝で幕を閉じたクラシコ いまだ明確な方向性が見えないレアル
繰り広げられたワンサイドゲーム
今季初のエル・クラシコはルイス・スアレスの先制ゴールを皮切りに4−0でバルセロナが圧勝した 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
にもかかわらず、予想されていた戦力的均衡はわずか数分のうちに崩れてしまった。偉大なるフィニッシャー、ルイス・スアレスの右足が先制点を決めてほどなく、バルセロナが面白いようにゲームを支配するようになったからだ。
中盤の選手たちが連動してパスをつなぐことでボールを独占しつつ、高い位置からプレスをかけてレアル・マドリーの攻撃の組み立てを阻み、コンパクトなブロックを保ちながら敵陣に攻め込み、スアレスとネイマールのコンビがとどめを刺す。それは近年のクラシコで見せてきたプレーと大きく変わらないものだったが、ピッチ上では資金力ではるかに劣るリーガの中小クラブが世界的ビッグクラブとの埋め難い力量差に気づき、早々と勝負を諦めてしまったかのようなワンサイドゲームが繰り広げられた。
記憶に残る試合を見せたバルセロナ
序盤から厳しいブーイングを受けていたジェラール・ピケ(左)だが、この試合では素晴らしいプレーを見せた 【Getty Images】
ほかの選手も軒並み記憶に残る試合を見せた。バルサのGKクラウディオ・ブラボはハイボールの処理に迷いを見せながらも、3つの決定機を輝かしいセーブで防いだ。サイドバック(SB)のダニエウ・アウベスとジョルディ・アルバは自身のサイドへの侵入を許さず、必要な際には攻撃に加わった。前半途中にハビエル・マスチェラーノが負傷退場したため急遽出場したジェレミー・マテューもスムーズに試合のリズムに適応できたし、交代枠を1つ失った影響もなかった。何よりディフェンスラインで特筆すべきはジェラール・ピケだ。ゲーム序盤はボールを持つたびに厳しいブーイングを受けていた彼だが、“マニータ(5−0での勝利)”を目指して繰り返し前線に攻め上がった終盤にはそのことも忘れ去られていた。
半ば信じ難いことながら、後半途中にメッシが2カ月ぶりの復帰を果たした際にはすでに勝負が決しており、宿敵のエース登場に対するブーイングもほとんど聞こえてこなかった。この時すでに地元ファンの怒りは、ライバルではなく自軍の選手たちへと向けられていたからだ。