小久保監督が託した主将とリーダー 松田宣浩は侍ジャパンの太陽になる
2013年秋の小久保監督就任後、常にキャプテンを任されている嶋。今大会もチームを引っ張り世界一を目指す 【Getty Images】
最初のミーティングで小久保監督が行ったのは、チームのキャプテンを指名することだった。
10月9日に最終メンバー28名を発表した際、小久保監督はリーダーとして内川聖一(福岡ソフトバンク)の名前を挙げていた。「野手では内川が過去のWBCの出場もあって、今年も優勝したホークスのキャプテンだった。そういう思いでメンバーに入れました」と語っている。しかし、内川は左肋骨(ろっこつ)骨折により今大会を辞退したため不在となった。
キャプテン嶋「監督と選手のパイプ役に」
「年齢的にも上の方(12月で31歳)。先頭に立って声を出してほしい。我々の目標は一つ。なので、結束すること自体はそんなに難しいことではない。ただ、選手同士が遠慮しないように、誰かが声を出して先頭に立って動く方がスムーズに運ぶと思った」
小久保監督はそう言って期待を込めた。それを受けて、嶋も決意を語る。
「小久保監督が選手に伝えたいことの、パイプ役になっていければいいと思っています。バッテリーを含め守備が大事になると思うのでその中心となっていけるようにしたいし、若い選手も多いので声を掛けていけるようにしたい。プレミア12は初めて行われる大会で注目度も高いと思います。もう一度、日本の野球が世界一だということを、この大会を通じて証明したい」
リーダー役には“熱男”松田
けがで代表から外れた内川に代わり、リーダーとして期待される松田 【Getty Images】
あらためて小久保監督の口から挙がったのは、日本一ソフトバンクの選手会長である松田宣浩の名前だった。
「野手では松田が最年長(32歳、中村剛也・埼玉西武と同学年)になる。今年のホークスでやってきたようにやってくれれば、チームは十分盛り上がる。ただちょっと盛り上げすぎなところもあるのでそこは注意しながらね(笑)」(小久保監督)
松田のリーダーシップは、侍ジャパンの大きな力となるはずだ。
自ら「12球団一の“熱男”」と言い、ソフトバンクを「12球団で一番声が出て、元気のあるチームにする」と先頭を切って声を張り上げる。試合後にはいつも声がガラガラに枯れている。なのに、翌朝にはきっちり治っている。チームメイトも驚く中、試合が始まればベンチに居る時も守備についていても、とにかくチーム全体を鼓舞する。
「野球選手なので、野球のときは元気を出して、あとは影を消すんです。このメリハリです。一日中元気を出すとバテてしまうので。家に帰ったら静かにしています(笑)」
松田「全力で声を出していく」
また、ソフトバンクでは長く主軸を打つが、13年のWBCでは主に9番打者が働き場所だった。それでもチームのために熱血プレーをする姿勢は変わらなかった。どんな役割だとしても、自分の力の限りを尽くせる男。それが松田だ。
「日の丸は誰でも付けられるものではない。光栄に思い、世界一を全力で取りに行きたい。(期待されているのは)みんなを盛り上げる元気だと思う。試合に出ても出なくても、チームのため日本のため、全力で声を出していきたい。もちろん、熱く、熱男で! ただ熱いばかりではいけないので、時折冷静に(笑)」
侍ジャパンでは背番号3を背負う。
「3番といえば長嶋茂雄さんですね!」。
松田は侍ジャパンの太陽。世界一への道を明るく照らす存在となるはずだ。
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