世界野球プレミア12とはどんな大会? “野球国力”の威信を懸け激突

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11月に行われる「WBSC世界野球プレミア12」は、世界ランキング上位12の国と地域が争う新しい野球の国際大会だ 【(C)SAMURAI JAPAN】

 今秋11月、野球の世界ランキングでトップ12の国と地域が参加する野球の国際大会「WBSC世界野球プレミア12」が日本と台湾で行われる。この新たな世界大会は4年に1度、MLBが主催するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の中間年に開催され、トップカテゴリーだけでなく、アマチュア世代の各国際試合の結果をポイント換算して参加を決めるため、「野球の国力を反映する大会」(リカルド・フラッカーリ世界野球ソフトボール連盟<WBSC>会長)と言える。ここではあらためて世界野球プレミア12の仕組みを解説していく。

出場チームの決め方

アマを含めた野球の総合力を反映した世界ランクのトップ12が集結

 今大会は、2014年終了時点での「WBSC世界ランキング」での上位12カ国(地域)に出場権が与えられている。WBSC世界ランキングは、直近4年間のトップチームの成績だけでなく、U−21(21歳以下)、大学代表、U−18、U−15、U−12の各世代の国際大会や国際試合の結果をポイント化したもの。そのため、アマチュアを含めたその国の野球総合力、つまり“野球国力”で順位付けされている。

 最新のランキングで、日本の世界ランクは1位。13年WBCでベスト4入りしたトップのほか、社会人代表が参加した12年アジア選手権での優勝、U−18が出場した13年18Uワールドカップ(W杯)での準優勝、14年21U W杯準優勝などで結果を残した。ランキング結果および出場権の獲得は、トップだけでなく、各年代、特にアマチュアの野球力の成果でもある。トップチームが出場し、トップ・オブ・トップを決めるWBCとの決定的な違いと言える。

 なお、世界野球プレミア12のMLB選手の参加は未定(7月15日現在)。MLB所属選手の参加状況次第では、日本や米国のみならず、MLB選手が多く在籍する中南米のチームの戦力にも大きな変化が起きるだろう。

出場国・グループ分け
【グループA】
台湾(4)、キューバ(3)、オランダ(5)、カナダ(7)、プエルトリコ(9)、イタリア(11)

【グループB】
日本(1)、米国(2)、ドミニカ共和国(6)、韓国(8)、ベネズエラ(10)、メキシコ(12)

※()内の数字はWBSC世界ランキング

大会形式

11月開催で選手選考などの戦略が注目

 今回が第1回大会となる世界野球プレミア12は、11月8日〜21日に日本・台湾の共催で開催となる。

 予選は2グループに分かれての総当り戦。各グループ上位4チームが決勝トーナメントを戦い、第1回王者の座を争う。日本では、開幕戦となる日本vs.韓国を札幌ドーム、準決勝・決勝を東京ドームで実施。日本が地元で、世界一の瞬間を迎える可能性もある。

 WBCはシーズン開幕前の3月に実施され、調整の難しさから毎回、選手たちを苦しめてきた。しかし、世界野球プレミア12はシーズン終了後の開催となるため、シーズン疲れという新たな課題はあるものの、開幕に備えた調整を理由とした辞退はなくなると考えられる。

 また、試合ではWBCのような球数制限は実施されない。「本当のガチンコ勝負」と小久保監督が評するように、これまで以上に、日本の強みである投手力が優勝への鍵となっていく。

世界野球プレミア12の未来

2019年大会は東京五輪の予選か!?

 今後、野球界では、トップ・オブ・トップを決めるWBCが17年、そして19年に“野球国力”を競う世界野球プレミア12、21年にWBCと2年に1度、国際大会が実施されていくこととなる。

 また、6月22日に東京五輪・パラリンピック組織委員会が発表した追加競技の候補に野球・ソフトボール競技が残っており、08年以来となる五輪競技復帰の可能性もある。今年1月に来日したフラッカーリ会長は、第2回となる19年の世界野球プレミア12に関して、20年東京五輪の予選を兼ねる構想を披露。「19年大会から4チームを選出し、残りの出場国は各大陸予選で選ぶのがベストと考えている」と語っている。次回大会以降、“世界一の野球国力”とともに、五輪出場を懸けた重要な国際大会となっていくかもしれない。

日本の選手選考の特徴

侍ジャパンの常設化以降、トップチームとして初の国際大会に臨む小久保監督。地元・日本での開催だけに優勝の期待が高まる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

ロースター制の導入で、スムーズな編成を目指す

 今大会から野球日本代表「侍ジャパン」では「ロースター制度」を導入する。

 これまで試合ごとにベンチ入りメンバーを招集してきたが、その都度、12球団の意向も反映され、必ずしもベストメンバーを組めなかった。そのため、常にある程度のメンバーを選出し、その中からベストメンバーを選ぶことで、スムーズなチーム編成を図る狙いだ。また、「プライドと責任」(熊崎勝彦NPBコミッショナー)を促すことも目指していく。

 17年WBCで世界一奪還を目標に掲げている侍ジャパン。世界野球プレミア12は、トップ代表の小久保裕紀監督にとっても就任以来、初となる順位を決める国際大会となる。初代王者を目指して、編成面でも体制づくりを進める。

日本の試合予定
【11月】
8日(日)19:00 日本vs.韓国(日本・札幌ドーム)
11日(水)18:00 日本vs.メキシコ(台湾・天母)
12日(木)18:00 ドミニカ共和国vs.日本(台湾・桃園)
14日(土)18:00 米国vs.日本(台湾・桃園)
15日(日)18:00 日本vs.ベネズエラ(台湾・桃園)
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