完敗で浮き彫りになった日本代表の課題 元日本代表・藤井淳が解説

構成:スポーツナビ

ハイパントに対応できず流れを失う

低いタックルで奮闘するSO立川 【Photo by Yuka SHIGA】

――スコットランドのレイドローはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。

 すごく良い選手でした。同じSHとして参考になります。先ほどのPGがポストに当たった時の判断も素晴らしかったですし、後半15分にラックから持ち出して、内側の選手に返したトライにつながるパスも見事でした。
 また、彼のハイパントの精度の高さも印象的です。日本代表はキックオフを浅く蹴って、そこからレイドローのハイパントをうまく捕れずに流れを失いました。次のサモア、アメリカも狙ってくると思うので、ハイパントの対応はしっかりやってもらいたいです。

――後半に一気に離されましたが、メンタル的に立て直すのは難しいのでしょうか?

 いくらトライを取られても、切り替えて前向きにやれるのが理想ですが、現実には難しいですね。特に今日は良いリズムで攻め込んでいた時にインターセプトで独走トライをされたり、確実に点を取れると思っていたPGが外れたりして、立て直しが難しかったと思います。
 今回は試合のメンバーに入っていませんでしたが、メンタルが強くてリーダーシップがある廣瀬俊朗のような選手がいれば……という思いもあります。もちろん、一人で変えるのは難しいですが、そう思わせるだけの人間力があるので。

サモア戦に向けて課題に取り組みを

試合開始前にまとまってロッカールームに戻る日本代表。次戦はサモア代表に挑む 【Photo by Yuka SHIGA】

――次戦は10月3日(土)と間隔が空いてサモア戦です。

 今回は南アフリカ戦から中3日で疲れはあったと思いますが、特に序盤はそれを感じさせないぐらいよく戦っていたと思います。
 次のサモア戦までは時間があるだけにまた難しい部分があります。ショックの大きい試合からどう立て直すか……。まずはメンタル面をまた一段上げて、ケガ人は回復を重視してほしいと思います。体力的には楽になりますし、ターゲットもはっきりしてくるのは良い面です。
 あとは課題になった部分、攻撃で単調にならずに相手に的を絞らせないこと、防御ではハイパント対策。そのあたりを解決してサモア戦、アメリカ戦に臨むことを期待しています。

(取材・文:安実剛士/スポーツナビ)

藤井淳/JunFujii

東芝ブレイブルーパスで活躍する藤井淳。12年にはエディー・ジョーンズHCにより日本代表に選ばれ、6キャップを獲得した 【写真:アフロスポーツ】

 1982年8月10日生まれ。身長170センチ、体重77キロ。愛知県出身。西陵商高‐明治大‐東芝ブレイブルーパス。

 西陵商高時代に全国大会に出場、明治大では抜群のスピードを生かして活躍した。東芝ブレイブルーパスでは強気のリードでFWをまとめ、ディフェンス面も向上。2012年にはエディー・ジョーンズHCにより日本代表に選ばれ、6キャップを獲得した。

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