FIBAが日本への処分を正式解除 川淵会長「バスケ界の新たなスタート」

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子供たちに夢を与えるにはどうすべきか

川淵会長はここまでの道のりを振り返り「よくここまで来たな」と満足げな表情を見せた 【スポーツナビ】

――日本代表の強化試合、五輪の予選がある。選手たちにはどのようなプレーを期待しているか?

川淵 最後まであきらめないひたむきなプレーが原点だと思いますね。そして技術的なレベルの高さがあって初めて試合に勝てるけれども、はっきり言って僕が見ている延長戦上では3点シュートその他、日本人にとって一番点の取りやすい技術が伸びないと、世界の中で勝ち抜けないのではないかと思っています。だから3点シュートをどういう形で練習するのが効果的か分からないけれど、やはり日本人の一番の特性というか、そういった正確性のある3点シュートの練習を、今の倍以上やるくらいの覚悟でもって取り組んでほしいというふうに思います。実際に試合を見ていて3点シュートをして、外れると見ていてがっくりしちゃうんですね。金丸(晃輔)選手とか、田口(成浩)選手とか、3点シュートの得意な選手がいるので、そういう選手が国際試合で大活躍できるような基本を身につけてほしいと思います。

――これまでワイドナショーという(フジテレビの)番組でバスケットボールと川淵さんに密着させてもらったが、川淵さんの周りでこの番組と私(前園真聖氏)の評価、反響というのはどうだったか?

川淵 (笑)。本当にバスケットボールはなかなかマスメディアのそういう対象にならなくて、僕自身も残念な思いをしてたんですが、前園さんのテレビの番組の中で取り上げてもらったことで、僕の周りでは「見ましたよ、面白かったですよ」とずいぶん言ってもらいました。これからもぜひバスケットボールを取り上げてもらって、素晴らしい選手がいっぱいいますから、そういった選手を番組を通して紹介してほしいと思います。

――昨日、U−16日本女子代表が韓国に勝って世界の切符を手にした。ジュニアのレベル、U−17かU−19の世界大会を招致するのはすごくいいと思うが、どう考えているか?

川淵 それはまったく同感ですね。積極的にそういう可能性があればトライしていきたいと思います。特に八村選手のような素晴らしい選手がこれからどんどん出てくるかと言ったら難しいかもしれないけど、少なくともそういった素晴らしい選手が高校生としているわけですからね。世界と戦ったときにどうなるか、自分の年代での位置づけを確認するためにもそうした大会を日本に招致することは必要でしょうね。

――あらためてこの大きな山場を乗り越え、リオ五輪の予選を正式に戦えるということで気持ちを聞かせてほしい。

川淵 6月にある程度、制裁解除できるという安心感はあったけれど、皆さんを前にしてこれまでの経過や自分の覚悟を話しているうちに、やはり「よくここまで来たな」と。それこそ乗りかかった船だから、アジアの中でトップを狙うような強化を日本代表として図っていかなければいけないし、今までの延長線上でのものの考え方では1976年以降五輪に出ていない日本代表チームという立場を理解したら、画期的なやり方をしていかない限り、男子のバスケットボールはアジアの中でトップになりえないという思いを今強くしています。15歳以下にはゾーンDFではなくてマンツーマンDFを徹底していこうという話でこれから動いていくわけですが、バスケットボール関係者、指導者も含めて全力を挙げて子供たちにしっかりした基本を身につけさせていくことが、世界への早道だろうと思います。そういったことでもう一度新たに一から見直してやっていく。それが今日の日から始まると理解して、皆さん方の質問に答えている中で自分自身「頑張らなければな」という気持ちがふつふつと湧いてきました。

――今回の制裁解除を受けて、代表選手やプロ選手以外の日本全体のバスケットボールプレーヤー、子供たちへメッセージはあるか?

川淵 中学校、高校、小学校も含めてバスケットボーラーがすごく多い。僕もそういう現実を目の当たりにしているんですけれども、やはり子供たちにとってはいかに夢を持つかということだろうと思います。子供たちに夢を与えるにはどうしたらいいか。チームのレギュラーになって、日本代表になって、NBAに行ってといっても、ちょっと現状ではその道はすぐ目の当たりにはできないと思います。僕自身はこういった国際試合に自由に出られる、そういった中で草の根の子供たちがのびのびとバスケットボールを楽しめる環境を日本中に作っていければいいなと思います。子供たちに夢を与えるような言葉というのはなかなか思いつかないけれど、一番大きな目標を目指せというなら、ぜひこの制裁解除をきっかけとしてNBAのトップチームで活躍してやろうというような夢を持って、バスケの練習をしっかりやってくださいと言いたいです。

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