南米最強はチリか、アルゼンチンか コパ・アメリカ決勝は期待通りのカードに
常に勝利を目指してきた2チーム
開催国のチリは対戦相手に恵まれたこともあり、メンバーやシステムを調整しながら決勝まで勝ち上がってきた 【写真:ロイター/アフロ】
この2チームは常に勝利を目指し、攻撃を仕掛け、対戦相手より長い時間ボールを支配し続けてきた。プレーの安定感という点ではおそらくアルゼンチンよりチリの方が上ながら、アルゼンチンも自分たちのリズムでプレーできている時間帯にゴールを奪う効率性を発揮してきた。
両者の差を生んだのは、チリの方がグループリーグの対戦相手に恵まれていたからだろう。チリがグループAで対戦したのは、エクアドル(2−0)、ボリビア(5−0)、そして主力の大半を7月のゴールドカップに向けて温存してきたメキシコ(3−3)といった格下ばかりだ。そのためチリにはメンバーやシステムを調整しつつ、自分たちのプレーを見いだしていく余裕があったのである。
それでもまだ2人のスター選手、アルトゥロ・ビダルとアレクシス・サンチェスは所属クラブで厳しいシーズンを戦い抜いた直後ということもあり、期待されていたほどの活躍を見せることができていない。
プレー以外で生じた問題
ビダル(写真)の飲酒運転やハラの挑発行為など、チリはピッチ外での問題に悩まされた 【写真:ロイター/アフロ】
昨年はホルヘ・サンパオリ監督と対立する時期もあったが、今やバルディビアは準決勝が終わった時点で大会の最優秀選手と言われるまでに不可欠な存在となっている。彼の両足から送られるパスのほぼ全てが相手守備陣を深くえぐっているのだ。
左右両サイドに中央からと、チリはあらゆるゾーンから攻撃を仕掛ける魅力的なチームながら、時にその攻撃的過ぎる姿勢が相手のカウンターを招く原因にもなっている。また高さに欠ける最終ラインは空中戦の対応力に欠け、セットプレーやハイクロスに際して長身選手のマークに苦しんでいる。
しかも大会中にはプレー以外の問題も生じてきた。開幕後に初めて与えられた半日のオフには交通事故に巻き込まれたビダルが飲酒運転で逮捕され、彼をチームから追放すべきかどうかの議論が繰り広げられた。
そしてこの騒動が落ち着いたと思ったら、今度はウルグアイとの準々決勝(1−0)の後半にゴンサロ・ハラがエディンソン・カバーニの尻に指を入れた挑発行為が問題視され、2試合の出場停止処分により大会を去ることになった。