小宮山悟が感じた大谷翔平の変化 垣間見た投手としての自信と覚悟

スポーツナビ

充実のキャンプを送ったプロ3年目の大谷を小宮山氏が解説する 【写真は共同】

 北海道日本ハムの大谷翔平が2月27日、プロ3年目の春季キャンプを打ち上げた。充実の練習ができたためか、今キャンプを「100点満点」と振り返った大谷。今後は自身初となる開幕投手に向けた最終調整を、実戦登板を通じて行っていく。

 スポーツナビでは、春季キャンプで視察した小宮山悟氏に、大谷の3年目の進化と変化を聞いた。

頼もしく見えた大谷の姿

――まず、キャンプで見たプロ3年目の大谷の印象はどうでしたか?

 全体的に体が大きくなりましたね。もともと上背がある選手ですので、大きかったですが、肉付きが一回りも二回りも大きくなったように見えるくらい、上半身がガッシリしているように見えたので、頼もしく思えました。

 おそらく(本人が)何年計画で体をつくりあげようと考えているのだと思いますから、そのスケジュールにのっとって順調に成長しているのではないでしょうか。

――昨シーズンの経験を踏まえて、シーズンをフルで戦うにはさらなる肉体の強化が必要だったのでしょうか?

 大谷選手がシーズンをフルで戦った、と評価していいのかと迷いますね。「投げた翌日だけ試合に出ない、投げる前日まで野手で出る」というのがフル出場だと私は考えています。先発する前日はケガの心配もあるので、出場しないのが正解かもしれませんが、ケガをしないようにカバーできるだろうという見方をしていますので、登板翌日以外はいけると思いますよ。

(肉体の強化に関しては)年々キャリアを積んでいって、どういった方法が自分にとってベストなのか探しているのだと思いますので、(大谷選手が希望する)米国へ行くまでに答えを出せばいいと思います。

――技術面での3年目の成長ぶりはどう小宮山さんの目に映りましたか? 大谷選手は春季キャンプでクイックの習得に取り組んだと言っていました。

 クイックの習得というのはささいな問題ですよ。実は他のところで違うチャレンジをしているように見えました。
 具体的には、リリースの位置をもっとバッター寄りにしようとしていましたね。「強く腕を振る」+「前で離す」ことで(投球の)完成形だと思います。そのバランスをどう取るかの練習に取り組んでいるように見えました。

 160キロの球が5センチ前、10センチ前で投げられたら、バッターはまったく対応できなくなるでしょう。おそらく米国に行くとしたらピッチャーに専念すると思いますので、そこに完成形を持っていく、それまでは打つ方も同時進行でやっていくというスタンスだと思います。急に答えを出す必要もない。確実にものにしていこうと練習に取り組んでいたと思います。

ワインドアップはより良いピッチング追求の一環

オフからワインドアップを投球に取り入れた大谷。試行錯誤が続いているもようだ 【写真は共同】

――今年の大谷選手は自主トレの時期からワインドアップを解禁すると話題になりましたが、小宮山さんはワインドアップの狙いをどう見ていますか?

 どうすればより良いピッチングができるかを考えて取り組んだことの一環だと思います。体全体を使ってより良いバランスで投げるということにチャレンジしているのでしょう。基本から言うと、無駄を省いていくと、両手を高く上げるという動作はいらないので、(2月24日の紅白戦では走者無しでもセットポジションで投げたように)振りかぶることはなくなると思いますよ。

(投球の)形を変えるのは非常に難しいですが、元に戻すことは割と簡単です。いろいろなトライをするのはごくごく自然で、不思議なことでもありません。

――ワインドアップ、ノーワインドアップ、セットポジションで投球に違いは出てくるものでしょうか?

 変わりますね。日本では後ろに引いた足を動かし始めてからがピッチングフォームの始まりとみなされます。米国は後ろに足を引き始めたところからピッチングフォームの始まりと見ます。なので、後ろに足を引いたところで、一呼吸、二呼吸の間を空けることができるのが日本です。日本ではワインドアップ、ノーワインドアップ、セットポジションで違いを出すことができます。

 もちろん動きが小さくなればなるほど、余分なことがなくなるので、(コントロールも)乱れることがなくなりますよね。大谷選手の場合、手足が長く重心をしっかり保つのは(普通の選手よりも)難しくなるはずですから、コンパクトにまとめるために何が一番いいかと言えば、セットポジションで横に移動するだけにする方がベストとなるわけです。近年は球威よりもコントロール重視のピッチングになっているわけですから、セットポジションの方に球界の流れがシフトしているのでしょうね。振りかぶる動作は無駄(な動き)が多いので、どうかなとは思いますね。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント