岡崎が日本人選手にマインツをオススメ 今季のホーム最終戦を勝利で終えて
今季最後のマインツのホームゲーム
周囲に野原が広がっているマインツのホームスタジアムであるコファス・アレーナ 【写真:フォトレイド/アフロ】
そこにはマインツ独特の温かみがある。日本人であることが分かると、サポーターたちははしゃぐでもなく、礼儀正しく「一緒に写真を撮ろうぜ」と声をかけてきたりする。そして岡崎慎司への感謝を口にするのだ。
5月16日のケルン戦(2−0)は、マインツにとって今季最後のホームゲームとなった。目に付いたのは“19”のレプリカシャツをまとったサポーターたち。グループで“19”のユニホームを着る集団もいた。彼らは膝に重傷を負ったコロンビア人選手のエルキン・ソトを励まそうとするサポーターたち。キックオフの笛が鳴って19分が経つと、マインツのサポーターは一斉にソトの名前を叫んでチャントを歌っていた。
88分には、この試合がマインツでの最後のホームゲームとなるニコルチェ・ノベスキの交代が告げられた。11年間でブンデスリーガ出場350試合を超すマケドニア人のキャプテンは、涙を流しながらスタンディングオベーションを受けていた。
岡崎が加入したことで通い始めたコファス・アレーナだったが、ファンの熱と温かみと、そして早くも生まれた伝統のようなものを感じていた。その皮膚感覚は決して間違っていなかったと、ケルン戦で確信した。
岡崎が今季持っていた2つのパターン
オフ・ザ・ボールの動きが素晴らしかった岡崎。この試合でアシストも記録した 【写真:フォトレイド/アフロ】
岡崎によると、今季は前線で残りながら、試合にはあまり絡まないけれど自身がゴールを奪う形と、中盤まで下がってボールを受けて、チームと自分のリズムを作ってアシストなどで貢献する2つのパターンがあったという。ここ2試合は、ゴールを奪うために前線で張ってプレーしていたが、ケルン戦では中盤へ下がったり、サイドへ流れたり、裏抜けを図ったり、相手を背負ってみたりと動きに変化をつけ、相手が疲れた終盤にはギアを上げて相手DFのパスカットを狙った。
チャレンジするから課題も出てくる。この日は、ユヌス・マリとの連携が今ひとつ。岡崎の動きにマリが反応しなかった。
「自分がポストプレーもして、裏にも抜けて、足元でも受けてと(仕事の)量が多いので、どうしても役割が大きいというか、なかなかゴールに近づけないというのはあります。それでも、流動的にお互いできたときは、ユヌスが抜けて自分がシュートに行ったりとか、自分がパス出したりとかできていたので、個人的には今日みたいなサッカーが一番好き。こういう試合でゴールを決めた時の喜びは大きいと思う。去年は我慢することで点を取ったと思うんですけれど、それは今シーズンで卒業かなという感じがしますね」
この日、岡崎が自身に付けた評価は及第点。
「こっちでは及第点では認められないというのは分かった。ここからは、どうゴールを取るか。これができないと。この先、自分は我慢していくプレーヤーではないなと思いますね」(岡崎)
マインツを去る者もいれば来る者もいる
岡崎(左)の笑顔からも、マインツで充実したシーズンを送ることができた事がうかがえる 【写真:フォトレイド/アフロ】
「一つのチームに長く在籍することはできないと思うので、ああいう選手に自分はなれないかな。限られた選手にしかできないので、ああいう終わり方ができるのはうらやましいです。(古巣の清水)エスパルスで言えば輝さん(伊東輝悦)とか、登さん(澤登正朗)とか。長いことやっている選手の影響力はチーム、選手にとっても大きいし、サポーターの希望にもなってくる」(岡崎)
もしかすると、岡崎もこの試合がコファス・アレーナでの最後になるかもしれない。彼には、ボルシア・メンヘングラードバッハなどの名前が移籍先の候補としてあがっている。
「良いチームだし、どうなんですかね。その辺は皆さんの憶測に任せます。今までこういう、自分から選択できる立場になったことがなかった。マインツに残ることだってできるし。ただ、(移籍先の選択が生まれた環境は)2シーズンで結果を出すことによって得たもので、それはマインツでなかったらできなかったこと。まだ1試合残っているので最後まで頑張って、そこで自分の気持ちで決められたらいいと思います」(岡崎)
岡崎などのようにマインツから去るかもしれない選手もいれば、武藤嘉紀(FC東京)のように来るかもしれない選手もいる。ケルン戦のク・ジャチョルのゴールは、日本人と韓国人2人が絡んで生まれたものだった。東アジアの選手に、マインツというチームはオススメだろうか?
「マインツのサポーター一つとっても、勝っても負けても『次だ、次だ』って言ってくれる。(そんなチームはなかなかないから)ブンデスを見てもこのチームは特別だと感じる。フロントもすごく優しいです。もちろん、俺らがいるということで理解もしてくれると思う。話し合ってくれると思うし、(良い意味での)先入観もあると思う。普通にオススメできると思います」(岡崎)
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