クッション性、反発性、安定性が共存 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

【南井正弘】

クッション性と反発性を高レベルで確保

「プーマ イグナイト」は、素材をドロドロに溶かした状態で金型内に噴射させるダイレクトインジェクション製法によりアッパーとミッドソール部分の一体化を行い、接着剤は使用していない。気泡が潰れている箇所もあるが、機能的には全く問題ない 【南井正弘】

 プーマから新たにリリースされたミッドソール(アウトソールとアッパーとの間のソール)テクノロジーである「プーマ イグナイト」。新たに開発されたイグナイトフォームを用いることで、従来両立させることが難しいと思われていたクッション性と反発性を高レベルで確保することに成功しているという。この最新テクノロジー搭載シューズを実際に履いて走ることによって、その走行性能を徹底調査してみた。

 これまでスポーツシューズのミッドソール素材としてポピュラーだったのがEVA(エチレンビニルアセテート)とポリウレタン。一般的に前者は軽量性に優れ、後者は若干重いがクッション性と耐久性が高いと言われており、これまでのスポーツシューズ業界の常識は「クッション性を高めると反発性を損ない、反発性を高めると充分なクッション性を得にくい」というものであった。

 また、クッション性を高めると着地時に不安定になりがちで、安定性を確保することが難しかった。そんな既成概念を打破すべくプーマが2006年より開発をスタートしたのが「プーマ イグナイト」である。このミッドソールテクノロジーの根幹を成すのはポリウレタンに特殊な配合を加えたイグナイトフォーム。この素材をドロドロに溶かした状態で金型内に噴射させるダイレクトインジェクション(射出成形)製法で、アッパー(甲の部分全体の総称)とミッドソール部分の一体化には接着剤を用いないので、足沿いがよく、シューズと足の一体感が向上するという利点もある。

アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮するアウトソール(地面と接地する部分の底)を装備。耐久性の必要な部分にはエバートラックという耐摩耗性に優れた素材を使用 【南井正弘】

 手に取ってイグナイトフォームを指で押してみると、柔軟だが、しっかりと押し返してくる感覚がある。これは各ブランドが使用しているEVA系のミッドソール素材よりも明らかに力強い。所々気泡が潰れている箇所もあるが、若干見た目は悪いものの機能的には全く問題ないから気にしなくていい。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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