天龍源一郎・引退会見「腹一杯の楽しいプロレス人生だった」

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ことし11月でプロレス人生40年からの現役引退を発表した天龍源一郎 【スポーツナビ】

“レジェンドレスラー”天龍源一郎が9日、都内・後楽園ホールで会見を行い、ことし11月をもって現役引退することを発表した。ラストマッチは1976年にアメリカマットでデビューした11月13日前後に行われる予定。会場はまだ未定とのこと。

 会見では最初に天龍の長女でもある嶋田紋奈・天龍プロジェクト代表から、昨年12月に本人から引退の申し出があったという経緯が説明された。「楽しくて、本当にいいプロレス人生だった」と振り返った天龍は引退の理由としてプロレス界の人気が盛り返している今、一時期体調を崩していた妻の側にいたいことを挙げた。2011年にケガで長期欠場したこともあったが、体調不良による理由はきっぱりと否定した。

 プロレス人生で記憶に残る思い出には、「馬場さんと猪木さんからフォールを取れたことが誇り」と振り返った。

嶋田代表「ネガティブな引退ではない」

昨年12月に引退を申し出た天龍と幾度も話し合いを重ねてきたという長女でもある嶋田紋奈・天龍プロジェクト代表 【スポーツナビ】

以下は会見の模様。

■嶋田紋奈社長

 昨年末、天龍本人より引退という二文字が出ました。長らくこの世界に身を置き、また体ひとつで50年以上寄り添った格闘技の世界ですので、一時期の気持ちの問題ではないかと幾度となく話を重ねて確認したところ、本人の覚悟も強く、私の個人としての思いもあってこのような報告となりました。

 先日65歳を迎えて、ケガでの長期欠場もありましたが、病気やケガ、年齢などによるネガティブな決断ではないことは強くご理解いただきたいと思います。

 決断から本日までの短い期間で準備するにはあまりにも大きな出来事でしたので、はっきりしたことはすべてお話できるわけではないですが、天龍本人からの申し出もありましたので、11月13日という天龍がデビューした日に近い日程で引退興行を考えています。正式な場所や日程は現在協議中です。

 本日より9カ月あまりありますので、来る日まで1人でも多くの方に感謝の思いを伝えに行けるように、できる限りさまざまところに足を運べるように考えています。その中で最終引退興行となる11月までを大きなひとつのシリーズと考えて、「〜天龍源一郎 引退〜Revolution FINAL TOUR」と銘打ちまして、何大会か開催していきます。

 ファンの皆さまと関係者の皆さま、天龍とともに心ひとつに駆け抜けて、天龍を華々しく、すがすがしく、次のステージに繰り出していただけましたら幸いです。

馬場&猪木に勝てたことは誇り

「馬場さんと猪木さんから勝てたことが誇り」と振り返った天龍。「猪木さんには勝ち逃げさせてもらって申し訳ない」と謝る場面も 【スポーツナビ】

続いて天龍のあいさつ。

■天龍源一郎

 私、天龍源一郎は本年度の11月をもちまして現役を退き、プロレスラーを廃業することを決意しました。そこまでの期間は猶予があるとはいえ、相撲からプロレスに転向して、11月に初めてアメリカのリングに上がりまして、それを記念としまして、そこをけじめにして、廃業というくくりにしました。応援してくれた皆さまには本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 私はプロレス界に恩返しするために11月にいろいろな選手と戦いたいとか希望もありますけど、11月の終焉までに納得できれば、すがすがしい気持ちでリングを去れれば、という一念です。プロレスラーになって本当に楽しい、いい人生だったと思います。

以下は質疑応答。

――引退の理由は?

 僕はプロレスラーをずっと続けてこられたのは、うちの家族の支えがあって、このわがままな天龍源一郎をずっとプロレスラー1本でやっていけるように支えてくれたんですけど、一番支えてくれた家内が病気になって、そのこともあいまって、プロレスの人気が盛り返したときに、身を引いて今度は私が支えていく番じゃないかなと思ったこともあります。これだって言われると、これだっていうのはないんですけど、そろそろプロレス人気も盛り返して、そろそろ潮時かな、というそんな感じですね。

――プロレス生活40周年の思い出は?

 試合で言えば、馬場さんと猪木さんからフォールできたことが俺の中の誇りです。プロレス人生で言えば、アメリカに行ったときにウィリー・ネルソンとか、エルビス・プレスリーとかのショーを生で見られたことが思い出に残っていますね。

――プロレス生活で一番つらかったことは?

 振り返れば、腹一杯の楽しいプロレス人生でしたよ。たかだか幕内の相撲取りが、プロレスラーになって一丁前に名前を知られるようになったということで、プロレスラーになって良かったと思っています。馬場さんに感謝しています。

引退後は奥さんにゴマをする!?

写真撮影中に「ファンの皆さんへ。本当にありがとうございました。腹いっぱいのプロレス人生でした」と頭を下げた 【スポーツナビ】

――どんな引退興行にしたい?

 僕はどこでもけじめとしてやってもらえればいいという感じですから。今は具体的にどうのこうのは、何も思っていないです。ただ、11月に天龍源一郎から嶋田源一郎に戻って、どこかそこらへんをうろうろしてるんだろうなと思っています(笑)。

――最後の試合に対戦したい選手は?

 本当に何もないですね。今は。今、一番びっくりしているのはこんなたくさんの人に来てもらえたことが一番びっくりしています。ありがとうございます。

――引退後については?

 奥さんにゴマすりますよ。

――後輩の育成は考えている?

 今のプロレスには天龍源一郎は古いタイプだから、それはないと思いますけど。本当に今は何も思っていません。

――天龍源一郎にとってプロレスとは?

 そうですね、難しい質問ですね。僕は相撲で一番最初に天龍源一郎という名前をつけるときに、先代の天龍さんから「この名前を絶対おとしめてくれるなよ」と釘刺されたことがあったんですけど、それはかろうじて果たせたかなという気持ちですね。プロレスラーになって良かったです。

――地元・福井県民へのメッセージは?

 この年になると、恐竜大使もやらせてもらっていますし、食べ物でいえばボッカケ大使もやらせてもらっていますし、望郷の念がすごく湧いてきているのは事実です。それも含めて、嶋田源一郎に戻りたいなと、ふと思ったときに、プロレスをやめるときが来たのかなと感じた次第です。福井の人たちには応援してもらっていますし、感謝しています。

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