天龍源一郎・引退会見「腹一杯の楽しいプロレス人生だった」

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ナレーションの仕事?恐ろしい…

今後は今までプロレス人生を支えてくれた家族の手助けをしたいと語った天龍 【スポーツナビ】

以下は囲み。

 さっと引くのもある意味格好いいと思いましたけど、39年もプロレスに関わってすごくいい思いをさせていただいたので、これからはオレが残り9カ月間、プロレス界に恩返しできればという気持ちが結構大きいですね。

――引退発表後、3月6日に天龍プロジェクトがあるが?

 はじけてやりますよ。ありったけのやれることはやろうと思っています。悔いのないようにやっていきたいと思います。

――引退の理由が体調不良ではない?

 それは違いますね。体調は上がってきていますし。体調が悪かったらもっとしがみついていたと思います。プロレス人気も上がってきていますし、新世代の人たちも頑張っていますし。うちのいろいろな事情も含めて、なんとなくそろそろかなというのが正直なところですね。

――プロレスラーの後継者はいるか?

 そんなこと言ったらうぬぼれるからやめておきます(笑)。何人かはいますけど。

――先日、全日本プロレスの馬場さんの17回忌興行に参戦したが、どういう気持ちだった?

 うちの代表が辞める辞めないの話をしていたときに、「天龍ができることは馬場さんの17回忌に出て恩返しをしなさい」ということで、馬場元子さんとか、秋山(準)社長とか、諏訪魔選手に連絡して、「天龍がこういう状況でことしで辞めるかもしれないのでぜひ良かったら出場させてやってくれ」という要望をしていたらしいんですね。僕も全然知らなくて、後になって知ったんですけど。そういう意味では馬場さんの17回忌の追善興行に出られて、自分の中ではずっと思い出に残っていくもんだと思っています。本当にありがたいと思っています。

――家族の支えとは?

 無茶無茶でしたから。無茶無茶の中で頑張ってこれたのは、逆に言えば家族がいるから頑張ろうという思いにさせてくれましたから。これからは身内の人たちに恩返しをしていきたいなという意味ですね。オレが少しでも身近にいて何かの手助けになるならという感じです。

――引退後のタレント活動は?

 ご飯を食べていくためにあるにこしたことはありませんけど。こればっかしは何とも言えませんけどね。オレの言っていること理解している? 営業妨害してない(笑)?

 男が生きていくのは大変ですから、やると決めたら腹を決めていろいろな仕事に向かっていきたいと思います。ナレーションの仕事? 来るんですかね? 恐ろしい話ですね(笑)。来たらやりますよ!! 新しいことをやることによって、脳みそが活発に動きますから。頑張ります。

影響を受けたのはジャンボ鶴田

馬場さん17回忌興行に参戦し、「今後思い出に残る」と振り返った天龍 【スポーツナビ】

――引退ではなく廃業という言葉を使ったが?

 廃業ですね。今後、プロレスとどういう関わり方があるのかなと思ったときに、別に指導とか解説とかがあるわけじゃないですし。本当にプロレス界から廃業だと思っています、オレの中では。

――ラストマッチについては? 両国国技館という話もあるが?

 いや、両国なんてあんな大きなところで、というのが正直な気持ちですね。オレはどこでも自分の中で線引きして、「天龍源一郎がプロレス界から終わった」ということを自覚できるような場所ならどこでも。オレの中でけじめをつけたいという話です。

――あらためてジャイアント馬場さんについての思いは?

 相撲でちょっと尖った天龍源一郎がいて、実社会というか、プロレス界で馬場さんに「天龍、そういうことはダメだよ」とかいろいろなアドバイスをしていただきました。尖った天龍源一郎がいて、プロレス界に入ってちょっと楕円形の天龍源一郎の人間形成ができて、結婚してフルムーンのような人間になれたと僕は思っています。そういう形態を作ってくれたと思っています。

 馬場さんもそうですけど、全日本出身の天龍源一郎と一騎打ちの肌を合わせ覚悟を決めてくれた猪木さんにも感謝しています。再戦を、という話もあったんだけど、勝ち逃げさせてもらって、本当に悪いことしたなと思っています。

――一番のライバルは?

 どうですかね。うーん、一番のライバル…難しいですね。その時々で…。ただ一番最初に入ったときに、一番身近にいて、一番影響を受けたのは、やっぱり(ジャンボ)鶴田選手でしたね。入ったときに鶴田選手を見ながらあーでもない、こーでもないという天龍源一郎がいたのは確かです。

――引退という言葉を出してすっきりした?

 肩の荷が下りましたよ。今日もここに来るときに代表とも話していたんですけど、いつも行きも帰りも、勝ったときは気持ちが高ぶって、来るときは試合前の不安な気持ちと戦うというイライラした気持ちで。今日は記者会見ということで、あっ自分の気持ちを素直に話せばいいんだなということで、後楽園に来て本当に肩の荷が下りたという感じですね。

 また試合が近づいてリングに上がれば、イライラとか自分の何かが生まれてくると思うんですけど、それはそれでまた楽しみたいと思っています。

――残り9カ月だが、どんな感情か?

 9カ月もあるのか、9カ月しかないのか、難しいところですけど。相撲から始まって格闘技生活50年を超えますけど、(イライラするような)そういう気持ちしか抱いたことがないもので…。ちょっと想像できないですね。寂しいのか、もっとすっきりするのか。これも微妙な、境目が理解できないというのが正直な気持ちですね。

――あらためてプロレスとは?

 本当に力道山関がアメリカからよくぞ持ち込んでくれた大衆娯楽のトップだと思っています。と、同時に天龍源一郎がこんなに人から「天龍だ」と言われるようにしてくれたのもプロレスだと思っています。こんなに自分がプロレスにはまるとは夢にも思っていなかったです。ある種のアメリカから来て日本が生んだ新しい伝統芸能だと思っています。

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