スーパーヒーロー体現に隠された努力 クリス・プラットの3段階プログラム

猿渡由紀

【(C)Marvel 2014 All rights reserved】

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より 【(C)Marvel 2014 All rights reserved】

『トランスフォーマー/ロストエイジ』を抜き、米国でこの夏、最大のヒット作となった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、コメディ、アクション、音楽など、さまざまな要素が詰まったSF映画。

 主人公ピーター・クイル役を見事に射止めたのは、テレビのコメディ番組の助演で主に知られてきたクリス・プラットだった。スポーツは得意だったが、決して理想の肉体の持ち主ではなかったプラットだが、この映画のために猛烈な特訓を積み、スーパーヒーローの体を獲得している。スクリーンの裏にはどんな努力があったのか、本人に聞いてみた。

若いころの運動体験が役に立った

 スーパーヒーロー映画に主演するのは初めてだが、プラットは過去に『マネーボール』で野球選手を演じたこともあり、体を動かすのはもともと得意。若いころはアメリカンフットボールとレスリングの選手だった。

「アメフトもレスリングも、どちらもすごく厳しいスポーツだ。それを僕はそれぞれ10年ずつやったのさ。走るシーン、戦いのシーンなどのための基礎体力ができていたというのももちろんだが、コーチの指導を受けることに慣れているのも、プラスだったと思うね。コーチに言われたことをしっかりそのままやってみせるというのも、スキルのひとつ。それは、この映画においても重要な要素だった」

 ハードな撮影を乗り切る上で、昔から鍛え上げたスポーツマン精神も役に立った。

「難しいことに直面しても、『自分にはできる、乗りこえられる』と言い聞かせて、実際にやりとげてみせる。それはレスリングから得た教訓だ。体作りも、その姿勢で挑んだよ」

体作りの過程は3段階

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より 【(C)Marvel 2014 All rights reserved】

 プラットのために組まれたプログラムは、3つの段階に分かれていた。

「最初は、まず体力と筋肉をつける。そのためにはたっぷり食べ、たっぷり運動して、たっぷり寝た。食事は、卵、玄米、プロティンパウダー、野菜、根野菜、さつまいもなど、加工されていない良質の食材を使ったものにした。もともとの体重は285パウンド(約129キロ)で、これを2カ月やった結果、10パウンド(約4.5キロ)しか減らなかったが、体は明らかに変わったね」

 次のステップでは、体を絞ることに重点が置かれた。

「ここでは、摂取カロリーを大幅に減らした。運動の内容も、前の段階ではウエートリフティングが中心だったが、今度は有酸素運動が中心になったよ。インターバルやクロスフィット、水泳、ランニング、ボクシング、キックボクシングなどだ。週に一度だけ、筋肉を作るための特別なワークアウトをやる。その日だけは、食事の内容も変わるが、ほかの日は、体重を減らすための食事だった」

 それが終わり、ロケ場所のロンドンに入ってからは、リハーサルをやりながら、複数のパーソナルトレーナーと運動しつつ、最高のボディを目指した。上半身裸になるシーンを撮影する日に、ベストの状態になっていることが目標だ。

「あのシーンを撮影したのは7月。トレーニングを開始したのは1月だったから、6カ月かけたことになるね」

ズルをしていい日も、あえてしなかった

 映画のために、栄養士とトレーナーの指導についてダイエットをするハリウッドスターは、たいてい、週に1日はちょっとズルしていい日を与えられる。プラットもまた、1週間に一度、3時間だけ、好きなものをなんでも食べていいと言われた。最初はうれしくて、その3時間に食べたいものをひたすら食べたが、そのうちに、その特別な3時間も、厳しいルールのまま過ごすようになったという。

「その後、2日ほど影響を感じたからさ。パンケーキとビールは、その次の日に1時間余計に運動するだけの価値があるかと考えるようになったんだ。1時間ワークアウトするなら、後戻りしたのを現状に戻すためではなく、前進するためにやりたいじゃないか」

 撮影がすべて終わった時、最初に食べたのは、妻と行きつけているL.A.のお気に入りダイナー、グリドル・カフェのブレックファースト。

「オートミールパンケーキと、フェタチーズとチキンのオムレツを食べた。本当に美味しかったよ」

クリス・プラット(Chris Pratt)

1979年ミネソタ州生まれ。出演作に『ジェニファーズ・ボディ』(2009)、『マネーボール』(11)、『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)など。『LEGO(R)ムービー』(14)で声の出演も務めた。現在、米国で放映中のコメディ番組『Parks and Recreation』にレギュラー出演する。妻は『最終絶叫計画』シリーズ、『ロスト・イン・トランスレーション』(03)のアナ・ファリス。夫妻の間には息子が1人いる。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

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若くして地球から拉致されたピーター・クイルはある日、惑星モラグで謎の球体を発見し、盗み出す。その球体がどれほどのパワーをもつものか、その時、彼はまるで理解していなかった。ピーターが地球から持ってきた、母の作ったカセットテープをよく聴くという設定で、BGMは60年代、80年代のヒットソング。サントラは、ビルボードの1位に輝いている。配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ。9月13日(土)、2D・3Dロードショー。
写真:(C)Marvel 2014 All rights reserved.
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著者プロフィール

月刊女性誌編集者を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビューや映画の撮影現場レポートなどを、日本の雑誌、新聞、オンライン媒体に寄稿する。フィットネスへの関心も高く、渡米直後から毎日ジム通いを開始。ここ10年ほどはアシュタンガヨガに専念しているが、ワークアウトのトレンドはもとより、健康、運動一般に関する新しい情報には、常にアンテナを張っている

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