超長距離にも対応するランニングシューズ 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

【Getty Images】

パタゴニアから高機能シューズが登場

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 パタゴニアといえば高機能なアウトドアウェアをリリースするブランドとして、日本市場でも確固たるポジションを築いているが、ハイキングシューズをはじめとしたフットウェア分野では、正直にいってこれまで知名度はそれほど高くなかった。

 今春登場したランニングシューズの「エバーロング」はそんな状況に終止符を打つべく開発されたハイパフォーマンスモデル。先行ブランドの同タイプと比較しても勝るとも劣らない。そんな高機能シューズをオンロードとオフロードの両方でテストしてみた。

 パタゴニアのアウトドアプロダクトが他ブランドよりも明らかに優れているのは、アウトドアフィールドにおける優れた機能性と洗練されたデザインやカラーリングを高次元で融合している点。それはカッコよさを求めた結果ではなく、あくまで機能性の追求の結果生まれたスタイリッシュさであり、まさに機能美と呼んでいいだろう。

 そんなパタゴニアだが、2006年にメレル、サッカニー、トップサイダーといった数々のブランドをオペレーションするフットウェア業界の巨人、ウルバリン・ワールドワイドがシューズ部門のライセンスを取得すると、アパレルだけでなくフットウェアにおいても徐々に存在感を示すことに成功した。

 筆者はこれまで10足ほど同ブランドのフットウェアを着用してきたが、カジュアルモデルに関しては高い評価を与えられるものの、トレイルランニングなどのパフォーマンスシューズに関しては、アウトドアアパレルが位置するポジションにはまだまだ到達していないと考えていた。しかしながら、そんな自分の考えを根底から覆すシューズが登場した。それがランニングシューズの「エバーロング」である。

ソックスに近い履き心地と高い軽量性

アッパーの補強は縫製糸を使用せず、特殊な圧着法で一体化されるので、足入れ感がスムーズ 【Getty Images】

「エバーロング」は、パタゴニアのトレイルランニングカテゴリーのアンバサダーであるジェフ・ブラウニングのフィードバッグを忠実に反映することから誕生したランニングモデル。これまでテンジン、エバーモアといったパタゴニアのランニングシューズを着用してきたが、「エバーロング」は外観から、それらモデルよりも高い機能性を保持していることを感じさせる。

 実際に履いてみると、アッパー(甲の部分全体の総称)と足のフィット感が高く、シューズというよりもソックスに近い履き心地と高い軽量性を感じることができた。走ってみると、その軽量性によりストライドも軽快で、アスファルトやコンクリートといったオンロードにおけるアウトソールのグリップ性も高かった。

かかとのライニング(内張り)部分は立体構造となっており、シューズとかかとのフィット感を高め、ランニング時にかかとが浮くことを防止してくれる 【Getty Images】

 つま先とかかとの高低差が4mmと、通常のランニングシューズの3分の1ほどしかない前傾の弱いフラットな構造なので、足の中央より前でフラットに着地する効率的なランニングフォームを促進してくれるのもうれしいところ。
 ミッドソール(アウトソールとアッパーとの間のソール)はそれほど厚くなく、クッション性重視ではないので、初心者よりも、ある程度脚力のあるランナーに向くだろう。これまでのパタゴニアのランニングモデルはトレイル中心のセッティングでアウトソール(地面と接地する部分の底)も刻みが深いものが多かったので、どちらかいうとオンロードでの走行を苦手としていたが、このモデルはオンロードでのランニングにも充分対応してくれる。

汎用性の高さはこれまでにない特徴

アウトソールの刻みは浅いタイプなので、オンロードでの走行もスムーズ。街中を走るランナーにも最適な1足となっている。反対にぬかるんだ路面を多く走るランナーは、パタゴニアでいうとツァリ3.0のような刻みの深いシューズのほうがいいだろう 【南井正弘】

 オフロードでも走ったが、踏み固められた登山道、代々木公園の落ち葉の上などでは「エバーロング」のアウトソールはしっかりとグリップしてくれた。一方で、雨でぬかるんだ泥の路面ではアウトソールの刻みが浅いため、少しスリップしてヒヤッとしたこともあったので、こういった柔らかい路面では同ブランドのツァリ3.0のような刻みの深いアウトソールを装備しているシューズのほうが安心して走ることができるだろう。
 パタゴニアの「エバーロング」は、なんといっても平坦な路面での走行性能が高いので、「主にオンロードを走るが、たまにトレイルも走りたいランナー」「コースのかなりの部分が舗装路や踏み固められた登山道のトレイルレースに出走するランナー」にオススメのシューズと思われる。

 個人的にはハワイのオアフ島を訪れる際に持って行けば、「1足でアラワイ運河沿いのジョギングコースからマノア渓谷のトレイルまで対応できるはず!」と思ったが、その汎用性の高さはこれまでのパタゴニアのランニングシューズにはない特徴である。

パタゴニアフットウェア エバーロング

14800円(税抜)
お問い合わせ:パタゴニアフットウェア 0120-172-528
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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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