高機能なGPSウォッチでランを楽しく 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

【南井正弘】

走力が向上したらラン用のGPSウォッチを手に入れたい

【Getty Images】

 ランニングでは、効果的なトレーニングを行うため、レースにおいて目標タイムを達成するために「自分がどれほどのスピードで走っているか? 走ったか?」ということがとても重要である。

 そんなときに大きな味方となってくれるのが、ランニングアプリ。定期的に走っているランナーなら、スマートフォンにダウンロードしたランニングアプリを活用している人がほとんどだろう。GPSシステムを活用して走った距離やコース、スピード、ペースなどを記録してくれ、登録したメンバーで走行距離を競う機能も備えていたりするなど、現在ではランナーのマストアイテムとなっている。

 そんなランニングアプリにも欠点がある。第一にスマートフォンは結構な重量があり、ランニングウェアのポケットに入れると走りにくいこと、第二にリアルタイムでペースをチェックしようとすると、いちいちポケットからスマートフォンを取り出さないといけない点が挙げられる。特にレース後半などでは握力も低下するので、スマートフォンを地面に落とすという人を国内外のレースで数多く見てきた。

 ビギナーはともかく、ランニングがライフスタイルの一部となり、定期的にレースにエントリーするようなランナーは、ランニング用のGPSウォッチを持つべきである。これがあれば走行時のペースチェックも簡単で、目標タイムをクリアしているかどうかの確認も一目で分かる。より楽しいランニングライフが待っているはずだ。

 筆者はこれまで5台のGPSウォッチを使用してきたが、そのなかで最も使い勝手がよく、機能性も高いと思ったのが、今春発売されたスントのランニング専用GPSウォッチ「アンビット2 R」である。

フィット感が向上し、軽量化に成功

基本デザインは「アンビット2」など、従来のアンビットシリーズを継承しているが、シリコンベルトを採用するなど、ランニングに特化したスペックを採用し、軽量化にも成功している 【南井正弘】

 スントといえばフィンランドに本拠を置くGPSデバイスに関しては定評あるブランド。これまではアウトドアシーンのイメージが強かったが、この「アンビット2 R」は機能をランニングに特化したモデルであり、従来のアンビットシリーズよりも買いやすい価格を実現しているのも嬉しいところ。

 筆者は「アンビット2」も持っているが、この「アンビット2 R」で走ってみると、いくつかの点に気づく。身につけてまず感じたのは、ベルトが従来の軟質ウレタンからより柔軟なシリコンに変更され、腕へのフィット感が大きく向上したところ。気になる重量も89gから70gへと軽量化に成功している。
 機能を従来のアンビットシリーズよりも絞っているので、操作は簡単になっており、スタートからGPSの捕捉までの時間は従来使用していたGPSウォッチよりも早い。自宅近辺ではおよそ45秒で衛星の捕捉に成功。このスピーディなGPS衛星の捕捉はランナーにとって嬉しいところだ。

 ホームコースの中野セントラルパーク周辺を走ると、以前の「ガーミン405」「ガーミン610」「アディダス マイコーチ スマートラン」「アンビット2」といったGPSウォッチとほぼ同じ位置で1kmのラップを「ピー」という音声で教えてくれた。文字が大きめのディスプレイは視認性が高く、走行時でもデータを確認しやすい。

北欧デザインらしいフォルムはまさに機能美の極致

ランニング専用モデルだが、1分あたりの平均着地歩数、平均時速、最高速度などさまざまなデータを計測してくれる 【南井正弘】

 いつも通りに6kmのランを終了し、データを確認すると、ランニングに機能を絞っているというものの、そこはスントがリリースするGPSデバイスだけに、ランニング日時、走行時間、走行距離、ラップ、1分あたりの平均着地歩数、平均時速、最高速度、平均kmあたりペース、最速kmあたりペース、最速ラップ、上昇メートル、下降メートルといった多岐にわたるデータを記録してくれる。

バックライトを装備しているので、夜間の視認性も高い 【南井正弘】

 日本語表示はないが、簡単な英単語が使われているので、使っているうちにその単語が何を意味するかはすぐに分かるようになるだろう。個人的に感じた数少ない欠点はラップ時に「ピー」と鳴るビープ音だけで、バイブレーター機能が付いていないこと。音楽を聴きながら走るランナーやラスベガス・ロックンロール・マラソンのような大音響のなかを走るマラソンにはあったほうが便利だと思うのだが……。
 それと細かい設定は本体ではなく、専用ウェブサイトの「movescount.com」で行わないといけないのは、GPSウォッチ初心者にとって多少ハードルが高いかもしれない。

「アンビット2 R」は「ランニングがライフスタイルの一部となった定期的に走るランナー」や、「レースにも頻繁に出場するようなランナー」に最適なGPSウォッチといえる。自分がこのモデルを使用するようになって、周囲のランナーからコメントされたのは、そのデザインの美しさ。ホワイトとブラックがラインアップされているが、発売以来、ホワイトが特に人気となっていて、北欧デザインらしいそのフォルムはまさに機能美の極致。女性ランナーからの評価も高い。

 さらに現在もフィンランドで生産されているという点は、ガジェットマニアのランナーにはツボになるかもしれない。また一般的なGPSウォッチよりも電池の持ちもよいので、ランニング時だけでなく、普段から時計として使用している人も少なくないようだ。

スント アンビット2

34,500円(税抜)
お問い合わせ:スント カスタマーサービス 03-4520-9417
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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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