新設「世界リレー」で見えた日本チームの課題
課題が残った日本チーム
男子1600メートルリレーは石塚祐輔(ミズノ)、金丸雄三(大塚製薬)、油井快晴(順大)、渡辺和也(チームミズノ)の布陣で予選3分4秒25の3組5位、全体11位。走順を入れ替えたB決勝では予選のタイムを1秒上回る3分3秒24で2着に入る意地を見せた。
「椿スプリンターズ」はまたも海外の壁に
昨年の秋にリレーのナショナルチームを結成し、男子は2度の海外合宿、女子は国内合宿を経て、今大会に臨んだ。男子400メートルリレーは、今大会で北京世界陸上の代表権獲得という最低限の目標を達成したが、決勝での記録が予選を下回った。2007年大阪世界陸上、銅メダルを獲得した北京五輪以降、世界大会の決勝で予選のタイムを上回れずにいる。女子も同様で、3走を務めた渡辺真弓が「GGPの記録を上回るのが最大の目標だったし、国内で出した記録を国際舞台で上回るのが女子短距離の最大の目標なんです」と悔しそうな表情で語ったが、女子も国内で出した記録を海外で更新できない状況が長く続いている。男女共にチームが抱える課題をクリアできずに終わった。
男子1600メートルリレーは2004年アテネ五輪以降、10年近く世界大会の決勝の舞台から遠ざかっている。今大会は世界陸上や五輪にはないB決勝(9〜16位決定戦)が行われ、日本はB決勝で予選での記録を1秒上回る力走。絶対的な走力で劣る部分はあっても、戦略がはまれば決勝が見える位置にいることを確認できたのは大きかったのではないだろうか。
とはいえ、他国もここ数年、リレー種目に注力しておりナショナルチームを結成し、頻繁に合宿を行っている。リオ五輪を控えるブラジルの1600メートルチームは400メートル世界記録保持者のマイケル・ジョンソン氏の下で練習し、今大会でも決勝7位、400メートルリレーも4位という結果を残した。2017年ロンドン世界陸上を開催予定の英国は、2013年に米国人コーチを招聘し、リレー合宿を実施。今大会は男子400メートルリレー3位、1600メートルリレー4位、女子400メートルリレー5位、1600メートルリレー7位と全て入賞。フランスも以前からナショナルチームとしてリレーを重視するなど、日本のライバル国も世界大会でのメダル獲得に向けて準備をしている。
男子400メートルリレーでアンカーを走った飯塚が「(海外のトップ選手と)走力が違う」と話したが、バトンパスの技術部分に加え、個々の走力を上げること、またレース前後の緻密なマネジメント、メンタルトレーニングなども今後の日本チームには必要になってくるだろう。