楽に走れることを目指したシューズ 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

【南井正弘】

適切なクッション性とモーションコントロールを実現

アッパー(甲の部分全体の総称)本体は通気性の高いナイロンメッシュを使用。補強パーツは縫製糸を使用しない特殊な圧着方法が採用される 【南井正弘】

 1906年に矯正靴やアーチサポートのメーカーとして創設されたニューバランスは、いつの時代も高い快適性をユーザーに提供するブランドとして知られてきた。そんなニューバランスが今春、自信を持ってリリースしたテクノロジーがフレッシュフォームである。このクッショニングシステムは従来のニューバランスの機能に対するアプローチとは全く異なっている点に注目が集まる。

 フレッシュフォームは「すべてのランナーが、楽に走れるために」をゴールに、ニューバランスが開発したソールテクノロジー。従来の同ブランドのテクノロジー、例えばENCAPやNERGY、ABZORBがミッドソール(アウトソールとアッパーとの間のソール)本体に付け加えられたり、複数の素材を組み合わせることで構成されていたのに対し、フレッシュフォームは単一素材で構成されているのが大きな違いだ。

フレッシュフォームはミッドソール表面に凹凸を成型することで、適切なクッション性と着地から蹴り出しまでの正しいモーションコントロールを実現 【南井正弘】

 ミッドソール表面にハニカム状の凹凸をつけることで、適切なクッション性とモーションコントロールを実現しており、凹部分は、衝撃を受けると潰れやすいので、瞬時に高いクッション性を発揮するのに対して、凸部分は潰れにくいのでスムーズな重心移動を提供してくれる。

 このテクノロジーを初搭載したM980(男性用)とW980(女性用)では、ミッドソールかかと部の外側と前部の内側は凹型に、ミッドソールかかと部の内側と前部の外側は凸型に成型されている。これにより、クッション性とモーションコントロール性の実現に成功しており、着地から蹴り出しまでのスムーズな足の動きを促進してくれる。

初心者ランナーから、サブ4レベルのランナーまで

六角形を敷き詰めたフラットなアウトソールは、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮。接地面積が広いので、耐摩耗性も高い 【南井正弘】

 実際にM980を履いて走ってみると、従来のニューバランスのランニングシューズの走行感と大きな相違点を感じることができる。ニューバランスのランニングシューズといえば、ランナーを正しい走りへと導くために複数のテクノロジーが組み合わさって構成されていたことが大きな特徴だったが、このM980は至ってシンプル。

 その走り心地もナチュラルで、かかととつま先の高低差は4ミリ(一般的なランニングシューズは12ミリ前後)なので、どちらかいうと裸足に近く、効率的なランニングフォームの近道であると言われるフラットな着地を自然と促進してくれるのを、走り始めてすぐに体感することができた。

 フレッシュフォームのテクノロジーは、ミッドソールにハニカム状の凹凸をつけただけだが、ランナーが必要とする充分なクッショニング性能を確保している。また、ミッドソールかかと部の内側と前部の外側は凸型に成型されることで、オーバープロネーション(着地時に脚が内側に過度に倒れ込むこと)の抑制にも成功しているのを感じられた。

 筆者の場合は通常オーバープロネーションの傾向はないが、フルマラソン時、30km以降にこの症状が発生することが多いので、このスペックはありがたい。それと六角形を敷き詰めたアウトソール(地面と接地する部分の底)はアスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮し、接地面積が広いので、耐摩耗性も高そうだ。
 このような特徴を誇るフレッシュフォームを採用したM980は、初心者ランナーの最初の1足としてはもちろんのこと、サブ3.5〜サブ4レベルのランナーの長距離練習用シューズやフルマラソンの本番用シューズとしても使用できるなど、高い汎用性を備えている。

ニューバランスM980/W980

9,800円(税抜)。男性用は3色展開、女性用は2色展開。
お問い合わせ:ニューバランス ジャパンお客様相談室 0120-85-7120
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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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