羽生、止まらない向上心「本当のチャンピオンじゃない」

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「まだまだやらなきゃいけない」と話す羽生。シーズン前半の締めくくりとなる全日本で、優勝を飾った 【坂本清】

 フィギュアスケートの全日本選手権、男子シングル優勝の羽生結弦(東北高)と2位の高橋大輔(関大大学院)が23日、前日のフリースケーティングから一夜明けての記者会見に出席した。
 以下は羽生、高橋のコメント。

優勝に「まだ信じられていない」

 まだ信じられていない部分がありますし、自分の中で戸惑いとかもあります。しっかりと頑張ってきてこういう結果になったので、素直に喜びたいなと思います。

――祝勝会は?

 ないですね。遅かったですし、ドーピングとかもあったので。早く寝るように心掛けました。

――オーサーコーチはなんと言っていた?

 堂々と胸を張ってしっかり前を向いていいんだよと。自分自身(優勝に)すごく戸惑いがあってなんとも言えない感じなんですが、しっかりと頑張ってフリーもショートもやったので、しっかり喜びたいと思います。

――優勝の実感は?

 ないです。自分の中でまだ消化しきれていない部分があって、全日本チャンピオンという実感がありません。しっかりとこの試合でやるべきことをやろうと思ってやってきたので、結果うんぬんよりも自分のやりたいことをやれたかなと思います。

――体調は?

 若干具合は悪いのかなという感じはありますけど、ソチのときほどではないですし、よく分からないです。自分自身悪くないなと思っていても、家族とかから顔色が悪かったとか力がなかったとか言われたので、ちょっと悪いのかなと思います。

――フリーはその影響あった?

 分からないです。トゥループ、サルコウともに失敗して、若干悪かったなというのも自分が見た感じではあありました。この2年間、アイスショーとかで走り続けてきたので、ちょっと休みたいなと思います。四大陸も世界選手権も出るかもしれませんが、とにかく1月に入ったらカナダに帰るので、ちょっと(地元の)仙台で休んで帰りたいと思います。
 全体的に技のキレとかつなぎとかも足りないなと思っているので、(今後は)全体的なものをレベルアップするのと、体力面をしっかりやっていきたいなと思います。
(これからの練習について)特別なことはしないと思います。試合形式の練習だったり、今までどおりになってしまうかと思いますが、今シーズンやってきたことをしっかりやりたいです。
(自分は)すごくアップを入念にするタイプで、それで疲れちゃうときもありました。年を重ねることでアップの重要性を考えてきましたが、そこで疲れてしまっても意味がない。スケートアメリカのときは自分のやりたいようにやって、それを見てアップに関しても少しずつ必要なもの、試合に行くコンディションを注意しながらやりなさいといわれました。

「今年一番頑張れた試合」

――2位の高橋大輔については?

 全体的に強いなと思います。まだまだ僕自身かなわないなと思いますし、技のキレや技の正確さ、どこをとっても足りないです。自分はスケーティングとか姿勢とか、まだまだやらなきゃいけないなと思っているので、(高橋に)あこがれていますし、(自分は)本当のチャンピオンじゃないなと思っています。

――全日本選手権ってどんな大会?

 日本の優勝なので、日本一うまい選手を決める(大会)と思っていますが、自分の中でそういう印象はなくて、とにかく自分のできることを頑張ろうという風に思っていました。ショートもフリーも、なかなかそろえることができず、ショートのほうも納得していないです。それでもジャンプも良かったですし、フリーも何とか耐えたので、今年一番頑張れた試合じゃないかなと思います。

――今年は世界選手権でメダルも取ったが?

 世界選手権で(銅)メダルを取ったときは表彰台に爪がかかる程度だったと思います。それでも、そこから環境が変わったり、色んな思いがめぐって、いろんなことがありましたけど、最後には一番上に立って成長したところを見せられたので、感慨深いところがあります。
 この2年間走り続けてた部分もたくさんあるので、周りの方を心配させてしまったり、感謝しきれない部分もあります。しっかり自分の中で休みを取りながら心を入れ替えて来年に向けてやりたいと思います。

卒業後は早大・人間科学部へ

フリー後のキスアンドクライ。逃げ切り優勝を決め、安堵の表情を見せた。左はオーサーコーチ 【坂本清】

――進路は?

 早稲田大学の人間科学部に入学させてもらうことになりました。カナダにいるので、通学とスケートの両立は難しいということで、通信教育課程を選ばせていただきました。推薦とか体育科ではなく、一般で受けました。

――大学では何を学びたい?

 僕たちの競技では、音とか視覚から得る情報によってだいぶ変わってきてしまうと思います。全日本という独特な舞台で、横断幕や観客の方の声援、そういうもので心がだいぶ動かされたと思います。そういう中で、体の動きだとかそういうものをいかにコントロールするか、そういうところに重点を置きながら、自分の経験と組み合わせながら、今後のスケート発展のために努力していきたいと思います。

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